作曲初心者向け | 作曲超入門(5)

曲の構成

冒頭で述べたように、作曲とは「楽曲を作る」ということであり、その楽曲には長さが必要です。

ひとつのコードを拠り所として思い浮かべられたメロディは、さまざまに形を変えながら、伴奏であるコードと共に延びてつながっていくことが求められます。

それでは、メロディを「楽曲」にしていくにあたり、それはどのような構成を持っているべきなのでしょうか。

一般的に、ロック・ポップスの楽曲はクラシック音楽のような壮大な構成を持っておらず、みんなが手軽に聴けて、覚えたり歌えたりする構成を持ちます。

曲は3~5分程度の長さにまとまっている必要があって、それとあわせ、曲構成そのものにも、わかりやすさへの配慮がなされているべきです。

曲形式

すでに述べたように、楽曲には形式という概念があり、形式は曲構成の骨組みとなります。

形式のある曲からはストーリーが感じられて、それがリスナーへわかりやすさと感動を提供します

形式とは、すなわち曲の構造のことで、延びて展開したメロディやコードがどのようなまとまりでどのように配置されているかを定義するものです。

ロック・ポップスでよく用いられる、代表的な形式を改めて以下にまとめました。

A – B型

曲展開の中で、主に「Aブロック」と「Bブロック」という、二つの大きなまとまりがある形式です。

下記は、「A – B型」の形式を持つ曲の例です。

「前奏」→「A」→「B」→「間奏」~
「前奏」→「A」→「B」→「A」→「間奏」~
「前奏」→「A」→「B」→「A」→「B」→「間奏」~
上記のように、ブロックを提示する数に違いがありながらも、どれも一般的には、「A」と「B」それぞれを「陰と陽」「静と動」のように、違った性質にしていく手法や、どちらかをより印象付けたいブロック(サビ)として提示する手法がとられます。

前者では「A」「B」それぞれは互いに引き立てあうように存在していることが多く、その性質も様々です。

後者の場合には、「サビとなるブロック」と「そうではないブロック」、というような対比をつけることが求められ、サビとなるブロックは動きが多かったり音使いが特徴的であったりするなど、印象に残りやすいものとして、またサビではないブロックは、静かであったり凡庸であったりするなど、サビよりも目立たないような性質のものとして作り込んでいく必要があります。

A – B – C型

曲の中に、「Aブロック」「Bブロック」「Cブロック」という、三つの大きなまとまりがある形式です。

下記は「A – B – C型」の形式を持つ曲の例です。

「前奏」→「A」→「B」→「C」→「間奏」~
「前奏」→「A」→「A」→「B」→「C」→「間奏」~
一般的には、導入部である「A」、中間に位置して橋渡しの役割をする「B」、サビとして機能する「C」、という構成を取ることが多く、「Aブロック」から「Cブロック」に向けてだんだんと盛り上がっていく展開が頻繁に見かけられます。

この形式では、「A」は導入部であるがゆえに静かで動きの少ない性質になることが多く、また「B」は中間に位置するため、比較的自由なアプローチが許されます。

また「C(サビ)」には、「A-B型」の際と同じく印象付けるための配慮が必須となります。

あわせて、「A – B型」と比べて展開が長いため、各ブロックの長さに気を配って、リスナーを飽きさせないように構成させていくことも求められます

導入部である「A」には「続きを聴いてみたい」と思わせるような特徴的なポイントを設けたり、「B」にはサビを期待させる準備部分が盛り込まれます。


上記の二つ形式を含め、どのような形式の際にも、各ブロックをそれぞれ一度ずつ提示するだけでは曲のストーリーとして不十分で、それぞれは「1コーラス目」「2コーラス目」、というように何度か繰り返されていきます

また、上記の例のように、ほとんどの場合、各ブロックを始めたり、つないだり締めくくったりするにあたり、「前奏」や「間奏」、「後奏」がつけられて、それをもって一曲としてまとめられていきます。

一曲の構成例(A – B – C型)

「前奏 → A → B → C → 間奏 → A → B → C → 間奏 → C → 後奏」

曲全体を3~5分にまとめ上げていくことを考えると、各ブロックは長くても15秒から30秒程度となり、曲の中に配置できるブロックの要素にも限りがあることがわかります。

「曲形式」の概念を作曲に取り入れる

どのブロックを作っていくか、を考える

あるひとつのメロディを思いついて、それをダイアトニックコードを使いながら展開させていこうとしている時、前述の曲形式やブロックの概念をもとに、まずは「どの形式の、どのブロックを作っていくか」ということをおおまかに考えながら作業を進めていくと、やるべきことが明確になっていきます。

作曲のコツ
  • どの形式の、どのブロックを作っていくか」を考えながら作曲を進めていく

曲形式を意識した作曲の進め方

曲形式を意識した作曲の手順例

  1. コードの響きをもとにメロディを思いつく
  2. 作る曲の形式を決める(例:「このメロディを使って“A – B – C型”の曲を作る」)
  3. そのうえで、「A」「B」「C」のうちどのブロックを作っていくのか、を考える

この例のように、思いついたメロディをもとに、「A – B – C型」の曲を作る、と決めた場合、作る曲の「A – B – C型」とはどんな雰囲気を持ったものなのか、そのうえで、作っているメロディは「Aブロック」「Bブロック」「Cブロック」のうち、どの部分としてまとめていくのか、を考えていきます。

導入部として落ち着いた雰囲気のある「Aブロック」を想定しているとして、そのブロックをこれから作っていくのであれば、そこにサビほどのインパクトは必要なく、導入部としての聴きやすさを優先するような意識が必要となるはずです。

そのため、メロディは、「落ち着いた雰囲気を感じられるものにする」という方針のもと、音を伸ばすような音符の使い方をしたり、ところどころにメロディが切れる「空白」の部分を盛り込んだり、「Aブロック」としてふさわしいものに仕上がっていくよう発展させていくことが求められます。

また、コード進行においては、聴きやすさに配慮するのであればコードチェンジを頻繁に行わず、静かな印象を持たせる、というようなアイディアも効果的でしょう。

作曲の手順例(つづき)

  1. 現在のメロディをもとに「Aブロックを作っていく」と決める
  2. 「Aブロックは導入部とするため、静かなものとして作り込んでいく」という意識を持つ
  3. 音を伸ばす」「空白を設ける」等のアイディアによりメロディを作っていく
  4. コードチェンジの回数を減らす」というアイディアによりコード進行を作っていく

上記例とは別に、例えば現在のフレーズをサビとして展開させていくのであれば、リスナーがそれをサビだと認識できるような、インパクトのある構成として作り込んでいく必要があります

音域を意識的に広くとって華やかな雰囲気を出したり、メロディをリズミカルにつなげたり、またコードチェンジのタイミングを多くしたりなど、サビらしさを出すことを考えながらブロックを作り上げることが求められます。


作曲に慣れていない段階においては、意図する通りのメロディやコード進行を自在に作りこむことは難しいため、まずは「A – B型」などの、ブロックの数が少ない形式を選ぶと作業が進めやすいでしょう

その際、「A」「B」のどちらかをサビとするのではなく、それぞれのブロックが互いを引き立てあうような構成にしていくと、より自由な発想で取り組んでいけるはずです。

わかりやすさへの配慮

把握しやすい構成を提示する

リスナーは、潜在的に楽曲の構成を把握しながら音楽を聴いています。

フレーズが延びてつながっていくとき、そこに構成面でのわかりやすさがあると、楽曲は捉えどころのあるものになって、その楽曲は親しみやすいものとして認識されます。

構成面でのわかりやすさとは規則性繰り返しを指していて、フレーズの構成、コード進行、ブロックの小節数などに規則性や繰り返しを設けることで、それらがわかりやすさを生みます。

以下は、わかりやすさに配慮したフレーズと、そうでないものの比較例です。

a:ドレミ・ドレミ・ドレミファ
b:ドレミ・ソ・ミファレド
この例では、一聴してaの方に親しみやすさを感じるはずです。

「ドレミ・ドレミ」という繰り返しによって構成に規則性が生まれていて、つながっているフレーズがひとつのパッケージのように、意味のあるものに感じられます。

それとは反対に、bには構成に規則性がないため散漫な雰囲気があって、フレーズのつながりに意味を感じられません

また、下記はコード進行においてわかりやすさに配慮した構成と、そうでないものの比較例です。

a:C → F → G → C → F → G
b:C → Dm → G → Em → F
フレーズの例と同様に、aは構成を容易に把握でき、反面でbはコードの構成意図がわかりづらく、ただ単にコードが並んでいるだけのように感じられます。

繰り返しによる規則性

上記のフレーズとコードの双方の例に共通していることは、ある程度のまとまりを一定の間隔で繰り返している、ということで、これはロック・ポップスの曲構成を考える上での原点となります。

「メロディやコードを延ばして展開させる」という行為には「繰り返してつなげる」という意味が含まれているため、展開を考える際には「どのようにそれらを繰り返しながら延ばしていくか」、という発想のもとに作業を行っていくべきです。

繰り返しの手法にルールは無く、直接的に同じことを繰り返すやり方はもちろんのこと、他にもさまざまな解釈が用いられています。

下記は繰り返しのアイディア例です。

  • コード進行だけを繰り返し、メロディは発展させる
  • 短いフレーズを繰り返し、コード進行は展開させる
  • リズムだけを単調に繰り返し、メロディとコードは展開させる
  • 4小節以上にまたがるような大きな構成そのものを繰り返す

これら以外にも、そのやり方はさまざまで、さらにはこれらを踏まえたうえで、あえて繰り返さない構成を意図的に演出することも頻繁に行われています。

メロディとコードを大きなものへと展開させていく際には、前述した「曲形式」と「繰り返しの概念」を意識しながら、親しみやすい曲にしていくような配慮をもとに構成を組み立てていけると理想的でしょう。

次の記事は、個性的なコード進行を作るために欠かせない、ダイアトニックコード以外のコード「ノンダイアトニックコード」について、です。 → 次の記事「初心者向け | 作曲超入門(6)」