音楽理論 | ドミナントセブンスとドミナントモーション

こちらの記事では、コード進行の理解に欠かせない「ドミナントセブンス」という名前を持ったコード、およびそのコードを活用した「ドミナントモーション」という概念について解説していきます。

「ドミナントセブンスコード」「ドミナントモーション」の概要

「ドミナントセブンスコード」とは、アルファベット一文字で表すことが出来るコード(「C」や「G」など)に、数字の「7」を付加して表記した「C7」や「G7」のようなコードを指す言葉です。

これらは、通常「〇〇セブン(例:シーセブン、ジーセブン)」などと呼ばれることがほとんどですが、コード進行の機能的な意味合いをそこに含む場合「ドミナントセブンス」として呼称されることが多いです。

「ドミナントモーション」とは、ダイアトニックコード内の「V7(キー=CでいうG7)」が「I(キー=CでいうC)」に進行する場合、その動きを指して呼ばれる言葉です。

※例えば「G7 → C」というコード進行がある場合、「あ~、この『G7』の動きはドミナントモーションだね~」というようなかたちでこの言葉を使います。

これらの言葉の理解には「コードの構成音」に関する知識、および「そもそも『ドミナント』とは何か?」という知識が必要となります。

下記より、順を追ってご説明します。

予備知識

「コードの構成音」について

「C」や「G」などの「アルファベット一文字で表すことができるコード」は、「1度」「長3度」「完全5度」と呼ばれる三つの音から成り立っています。

下記は「C」の構成音の例です。

「C」の構成音


  • ド(1度)、ミ(長3度)、ソ(完全5度)

この構成音は「C」や「G」などの「メジャーコード」というコードの性質を決定付けるものです。

メジャーコードに「短7度」を付加する

その上で、ここに「短7度」と呼ばれる音を付加することで、これを「〇〇7」というコードに変形させることができます。

下記は、前述の「C」に「短7度」を加えた「C7」の構成音の例です。

「C7」の構成音


  • ド(1度)、ミ(長3度)、ソ(完全5度)、シ♭(短7度)
この「メジャーコード(1度・長3度・完全5度)」に「短7度」を付加した「〇〇7」という名前を持つコードのことを「ドミナントセブンス」と呼びます。

反面で、既に述べた通りポピュラー音楽においてこれらのコード単体を指す場合、一般的には「〇〇セブン」という呼び名が使われます。

「ドミナントモーション」とは?

「V」は「I」に進みたがる

「ドミナント」とは、通常「メジャースケールの五番目の音」を指す言葉です。

※「Cメジャースケール(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)」における「ソ」の音

この音は、同メジャースケールの一番目の音(上記例でいう「ド」の音)に進みたがる性質を持っています。

これをダイアトニックコードに置き換えると、例えば「Cダイアトニックコード」における五番目のコード「G」は「ドミナントコード」として解釈できます。

このコードは、スケールと同様に「Cダイアトニックコード」の一番目のコード「トニックコード=C」に進みたがる性質を持っています。

前述の「ドミナントセブンスコード」という名称はこの「ドミナントコード」に関連するものです。

ダイアトニックコードにおける「ドミナント→トニック(V → I)」という構成において、その「V」を「V7」とするような場合に「ドミナントセブンス」という呼び方を使用する、ということです。

なぜ「V7」とするのか?

「ドミナントセブンスコード」は前述のとおり「1度」「長3度」「完全5度」「短7度」によって作られるコードです。

この中で、「長3度」と「短7度」によって作られる音程は「増4度」と呼ばれ、数ある音程の中でも不安定な音程として扱われます。

そのことから、「ドミナントセブンスコード」は「不安定な響きを持ったコード」として解釈されるます。

これを、既に述べた「VはIに進みたがる」という性質と複合させたのが「ドミナントモーション」の概念です。

「ドミナントモーション」の成り立ち

例として、まずキー=Cにおけるコード「G(V)」は、その性質上「C(I)」に進みたがる(強い結びつきを持っている)ため、下記のようなコード構成が考えられます。

G → C(V → I)
これは、キー=Cにおいて「『G』というコードが鳴ったらその後に『C』の響きが連想できる」ということを意味します。

また、これは言い方を変えれば「『G』の後に『C』鳴ると心地良い」ということにもつながります。

その上で、ここでの「G(V)」をさらに「G7(V7)」とします。

そうすることで、この構成に「G7(V7)の不安定な響きがC(I)によって解消される」という意味合いがあわせて含まれることになります。

G7 → C(V7 → I)

「G7」のあとの「C」が、既に述べた「音の動き」としての心地良さと、「『増4度』の音程が解消される」という心地良さの両方を併せ持つ、ということです。

「V → I」に比べて、「V7 → I」の方がさらに強い結びつきを持ったコードの進み方となるため、通常「I」のコードをはっきりと提示したい場合などにこの「V7」が使用されます。

そのような意味合いを持ったこの「V7 → I」の動きを、音楽理論上「ドミナントモーション」という呼び名によって扱っています。

ドミナントモーションはマイナーキーにおいても活用され、この場合には「V7 → Im」という構成となります。

まとめ

ここまで、「ドミナントセブンスコード」および「ドミナントモーション」について解説しました。

説明をまとめると下記のようになります。

  • 「ドミナントセブンスコード」とは「メジャーコード(1度・長3度・完全5度)」に「短7度」を付加した「〇〇7」という名前を持つコードのこと
  • 「ドミナントモーション」とは、ダイアトニックコードにおける「V7 → I」のこと
  • 多くの場合、上記ドミナントモーションの意味合いを持つ「V7」が「ドミナントセブンスコード」と呼ばれる
  • 一般的に「〇〇7」は「〇〇セブンス」と呼ばれる
  • 「ドミナントモーション」とは、「VはIに進みたがる」という性質と「V7の不安定な響きをIが解消する」という性質を複合した概念

ストーリーが感じられるコードを構築するにあたって、これらの概念は欠かせないものとなります。

是非実際の作曲の中で活用しながら、その響きと効果を体感してください。

「ドミナントモーション」は「コード進行の熟語」のようなものです。
次の記事では、音と音の強い結びつきを意味する「強進行」の概念について解説しています。→ 次の記事「音楽理論 | 終止の種類」