【作曲の上達に効く行為】作曲版の「PDCA」に似たいくつかの行動によって効率良く上達を図る

作曲の先生として活動している内山です。

先日、「作曲の上達」というテーマで以下のツイートをしました。


作曲の上達に効く行為

  1. 適当に作らず方針を立ててから作る
  2. 新しい技術や知識を必ずひとつ取り入れて作る
  3. しっかり作りきる
  4. 作った後に何ができて何ができなかったかを振り返る
  5. 作った曲を他人に聴いてもらう
  6. 継続して作り続ける

実は3の「曲を作りきる」がとても大事です

上記で述べているように、曲作りの技術を向上させたかったらただ漫然と取り組むのではなく、そこにはなんらかの行動が必要です

こちらでは、それらについてより詳しく解説していきます。

「作曲の上達に効く行為」は作曲版の「PDCA」

冒頭で挙げた「作曲の上達に効く行為」を改めて整理したものが、下記の一覧です。

  1. 適当に作らず方針を立ててから作る(計画)
  2. 新しい技術や知識を必ずひとつ取り入れて作る(改善)
  3. しっかり作りきる(やりきる)
  4. 作った後に何ができて何ができなかったかを振り返る(反省)
  5. 作った曲を他人に聴いてもらう(評価)
  6. 作り続ける(継続)

これを見ると、ビジネスの現場でよく目にする「PDCA」に近いものがあると感じます。


「PDCA」とは

  • Plan(計画)
  • Do(実施)
  • Check(評価)
  • Action(改善)

を意味するもので、これらをもとにした「PDCAサイクル」を回すことによって、業務や製品の品質をより良いものへと改善していくことができる、というようなことがよく語られます。


作曲の上達も要はこれと同じで、つまるところこれらは、なんとなく曲を作るのではなく「目的を持って作るべき」ということを意味するものです。

これ以降で、それぞれをより詳しく掘り下げてみます。

1. 適当に作らず方針を立ててから作る(計画)

まず、作曲を始めるにあたり大切なのが

なんらかの方針やテーマを決めてから作り始める

ということです。

曲作りを実施するにあたり、「さあやろう」といきなり作業に取り掛かってしまう人は案外多いものです。

ここではそれを回避し、事前にある程度の方向性を定めます

方向性を明確にする

ここで述べている「方針」や「テーマ」とは、主に以下のようなものを指します。

  • 曲が持つ雰囲気や曲調
  • 曲のリズムやテンポ
  • サンプルとなる曲(「『〇〇』みたいな感じの曲」というイメージ)
  • 曲を作る目的

※関連ページ 作曲におけるテーマの決め方|テーマを決めると作曲しやすくなる(やることを絞りイメージを膨らませる)

上記のページでも述べているように、これらの「方針」「テーマ」を定める理由は、

「曲作りの方向性を明確にする」=やるべきことをイメージしやすくする

という点にあります。

例えばメロディを一つ思い浮かべるにしても、ただ「なんかいいメロディないかな」と考えるより、

「『卒業ソング』として、みんなが感動するようなメロディを作ろう」

というように取り組む方が、圧倒的にイメージを膨らませやすいです。

このように、ざっくりでもいいので「どんな曲にしたいか」を事前に考えることで、目指すべき方向性がはっきりとし、それが曲の持つ「説得力」につながります。

曲の要素を具体的に想定する

また上記一覧でも挙げたように、曲が持つ要素をより具体的に想定することもできます

これは、例えば

  • 「テンポは〇〇にしよう」
  • 「〇〇というコードやそれを組み込んだコード進行を活用しよう」
  • 「サビのメロディは短いフレーズを繰り返す形にしよう」

などの考えをもとにして、曲作りに取り組むことを意味します。

それによって、漠然とした「〇〇な感じ」というイメージよりも、さらに具体的な作業内容を連想できるようになります

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これを実施するためには、ある程度の作曲経験と、その要素がどのような効果を生むかを理解しておく必要があります。

2. 新しい技術や知識を必ずひとつ取り入れて作る(改善)

次に挙げたのが、「新しい技術や知識を取り入れて作曲をする」という点です。

ここでは前述の「PDCA」にならってこれを「改善」としていますが、正確には「向上」のようなものとしてご理解ください。

技術が積み上がる

この点について、ツイートでも以下のように述べています。


作曲上達に「新しい技術や知識を必ずひとつ取り入れて曲を作る」というやり方は効果あります。ある生徒さんで、

知識を習う

それを取り入れて一曲作る

曲の仕上がりを振り返る

というサイクルを回し続けて、めきめき上達したひとがいます。端的にいえば「常に向上心を持つ」ということですね。

ここで挙げているのはある生徒さんの実例ですが、彼は新しいコードの使い方や曲構成のテクニックなどを学ぶと、次の曲で必ずそれらを取り入れることを心掛けていました。

結果として仕上がる曲にはそれまでになかった要素や観点が必ず盛り込まれることになり、さらにそれらは以下のような具合で積み上がっていきます。

  • Aという技術を入れて一曲作る(使える技術=A)
  • 次の曲ではBという技術を取り入れる(使える技術=AとB)
  • 次の次の曲ではCという技術を取り入れる(使える技術=AとBとC)

結果として、作曲の際に使える技術の幅がどんどん広がっていきます

方針やテーマが前提となる

もちろん、ここには前述した「方針」や「テーマ」が関連しており、「それを遂行するために新たな技術を取り入れる」という観点が必要です。

あくまでも作るべき曲の方向性を定め、その他のことはそれに沿うように決められていくものと理解して下さい。

3. しっかり作りきる(やりきる)

次に挙げたのが「曲を作りきる」という点で、これは冒頭のツイートでも述べたようにとても大事な心掛けです。

曲を作りきる感覚が身につけられない

作曲に興味を持ち、何曲か作り始めた人に多いのが

曲を完成させずに短いフレーズやコード進行などをなんとなく沢山作り散らかしてしまう

というケースです。

私がよく例え話として挙げるように、これは、

「陶芸家が皿を作りまくって素焼きまでして割りまくっている状態」

に似ています。

メロディやコードのつながりを適当に思い浮かべ、ある程度できたところで「ああやっぱりだめだ」とそれをボツにする…。

これでは作品は一向に仕上がっていきませんし、曲を作りきる感覚も身につけられないため、上達ももちろんできません

「曲」を作るということ

難しいことは抜きにして、まずこの「曲をきちんと一曲作りきる」という点を意識するだけでも、作曲上達にはぐっと近づきます。

より正確には、短いフレーズやコード進行をなんとなく作るのは「作曲」ではなく

  • フレーズ作り
  • コード進行のアイディア出し

のようなもので、作曲の技術を高めたかったらやはり「曲」を作る必要がある、ということです。

そこに、前述した「方針」や「新しい知識」などを加えることができれば、より理想的です。

4. 作った後に何ができて何ができなかったかを振り返る(反省)

次に、曲を作った後はここで挙げたように必ずそれを振り返り、

  • 何ができて何ができなかったのか
  • 良かった点/良くなかった点
  • 次はこうしたい、という抱負や改善点

などを洗い出します。

それによって、作曲が「やりっぱなしの作業」ではなく、次につながる過程となるのです。

完成した曲とそれを作った工程を分析する

作った曲を振り返るには、

  • 自分の曲がどのような要素によって成り立ち、どんな雰囲気を生み出しているか
  • どのような作業を通してその完成形に辿り着いたか

などを明確にしておく必要があります。

これには「分析力」のようなものが必要となりますが、これは日頃から曲分析に取り組むことで、徐々に養われるものです。

以下のページでは、その点について詳しく解説しています。 「曲分析」を習慣にすると作曲が上達する、というお話(曲分析の概要や効果などについて)

自分で振り返るのが難しい場合

また、長い時間曲に向き合っているとその良し悪しが段々とわからなくなっていくのも事実です。

そのような点から、この「反省」の作業では自分以外の誰かの力を借りることも検討できます(後述)。

5. 作った曲を他人に聴いてもらう(評価)

次に挙げたのが「PDCA」における「Check=評価」に相当するもので、上記での述べたように、ここでは「完成した曲を誰かに聴いてもらう」という行為がそれにあたります。

なんらかのフィードバックをもらう

作った曲を自分の中に溜め込んでいるだけでは、それが実際のところどんな品質を持っているかがいまいちわからないものです。

裏を返せばそれは、曲を誰かに聴いてもらえば客観的な評価がすぐに得られるということを意味します。

現在はインターネットも活用できることから、

  • SNSで曲ができたことを知らせる
  • YouTubeに動画としてアップする
  • 自分のサイトに曲を集約し常に聴ける状態にしておく

などの方法を駆使し、多くの人に曲を届けることができます。

※関連ページ 【作曲】作った曲を公開するための手段を考える|聴いてもらうことでさらなる上達を目指す

とはいえ、「作曲の上達」という目的を踏まえるとやはりなんらかのフィードバックは必要となるため、ある程度コミュニケーションの取れる人に限定して曲を公開した方がより意味があるともいえます

そのような点を踏まえ、旧来の方法(=友達・知り合いに聴いてもらう、家族に聴いてもらう)を併用することも忘れないでください。

6. 作り続ける(継続)

最後のひとつが「曲を作り続ける」という点で、これが「作曲の上達」に関する最大にして最も重要な取り組みであるといえます。

すべてのことにいえる「継続」の重要性

他すべてに言えることですが、そもそも上達を目指すためには長い時間をかけ、繰り返しそれに取り組むことが欠かせません

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これは作曲も同じで、たった数曲作っただけで見違えるほど作曲が上手くなる、ということはまずないと考えて下さい。

ここまでに述べたいくつかの点を実施し、それをもとに何度も作曲に取り組むことで、少しずつ技術が向上していきます

「考えること」が欠かせない

また、作曲を継続させるうえで「ただ続ければいい」と勘違いされることがよくありますが、この点にも注意が必要です

これは「続けられることもひとつの才能」という言葉があるように、「継続させること」自体が目的になってしまっているケースです。

上達を目指す場合にはやはりこれではダメで、前述した

  • 方針を立てる
  • 新しい技術や知識を学ぶ
  • 作った曲を振り返る

という点などを含めた「考えること」が欠かせません。

ただ漫然と続けているだけではいつまでたっても変化はしないものと肝に銘じておく必要があります。

番外編:上達に欠かせない5つの柱

ここまで作曲上達に必要な行動をいくつか述べましたが、以下のページではより具体的な勉強内容に絞り「作曲の上達に欠かせない5つの柱」を解説しています。

【作曲を独学で進めるときの勉強方法】これをやれば作曲は上手くなる!「上達に欠かせない5つの柱」とは?

まとめ

上記で挙げたいくつかの行為をより実用的ものとして整理すると、まず

  • 曲を作りきる
  • 曲作りを継続させる

という二点が作曲活動の根幹となります。

そして、その他に挙げた

  • 方針を立ててから作る
  • 新しい技術や知識を必ずひとつ取り入れて作る
  • 作った曲を振り返る
  • 曲を他人に聴いてもらう

という四点がそれを補完するものになる、ということがいえます。

是非これらを指針にしていただき、中身の濃い作曲活動を目指してもらえるとありがたいです。

やはり作曲にもPDCAの概念が必要です。