作曲初期は曲完成のハードルを下げよう

こちらでは、これから作曲を始めたい人、またはもうすでに作曲を始めていながらうまくいっていない人にお伝えしたい、

作曲の初期は完成のハードルを下げる

という点についてお伝えしていきます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。

曲が作れない初心者の多くは難しいことをやろうとしている

今回のテーマに関して、以前に以下のようなツイートをしました。

曲を作れない初心者の多くは理想が高すぎ。自分の求める音楽とはこういうものだ、作曲する以上それを作れなきゃダメだと無駄にハードルを上げて結局できずに挫折する。まずハードルは激低でいいです。段差1ミリくらいで。曲は短くていいし超簡素でいい。なにより作品を生み出す感動を味わうべきです。

このツイートで述べているとおり、「曲が作れない」と悩んでいる人の多くは、経験が乏しい初期の時点ですごく立派な曲を作ろうとしすぎています

曲を作るにあたり高い理想を掲げ、

「自分の理想とする音楽を作ってこそ作曲だ」

と考えて、いわゆるプロが作るような高品質な音楽を経験がない状態から作ろうとします

もちろん、初心者の時点でそこまで品質の高い音楽は作れないため、その「高い理想」を満たすことができず、思い通りにいかない自分に落ち込み、挫折してしまうことも多々あります。

初心者の時点ではできなくて当然

上記のような「高い理想を満たすことができない状態」は、初心者の時点ではある意味で当然です

なにごとにおいてもそうであるように、経験がない状態でプロのような成果をあげることは難しいものです。

そこで私がお伝えしたいのが、ページ冒頭でも述べた通り、

曲完成のハードルを下げる

という考え方を持つことです。

これは、簡単にいえば、「作曲初心者の時点でいきなり高い理想を満たそうとするのはやめましょう」ということを意味しています。

完成させる曲の目安

作曲を始めてから少なくとも5曲目くらいまでは、本当にシンプルな曲の完成を目指すようにしてみて下さい。

もちろん、作る曲のジャンルにもよりますが、特にポップス・ロックなどの歌のある曲を作ろうとしている場合には、童謡のように簡素な曲を作る、という姿勢でも問題ないです。

具体的には、

  • 一度聞いただけですぐ歌えるようなシンプルなメロディにする
  • 同じフレーズを何度も繰り返す
  • 使うコードは5個以下にする
  • 曲展開を単純にする(A→サビ、など)
  • 曲自体を短くする(2分以下)

などを曲作りの目安としてみてください。

作りきることを優先する

シンプルな曲の利点は、

曲の完成に時間と労力をそこまで必要としない

という点にあります。

作曲の経験は「曲を作りきること」を通して積み上がるもので、その経験によって既に述べた「高い理想」を満たすような曲が徐々に作れるようになっていきます。

そのため、初期は特に作りきる経験を積むことに重きを置く必要があり、そのためにまずは曲完成のハードルを下げる必要がある、ということです。

また、そもそもこの

いきなり難しいことをやろうとしてもできない=まずは簡単なところから始める

という考え方はすべてのことにいえるはずです。

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例えば、サッカーならボールを蹴ることから、野球ならキャッチボールから始めたりして、まずボールに慣れることを目指すはずです。

作曲も同じで、まず「作曲に慣れる」という意味で短く簡素な曲を作ることに取り組んでみて欲しいです。

そのうえで、上達に向かう経緯として作りきったものを振り返り、新たに少し上のレベルを目指して知識を入れつつより良いものを作る、といように徐々にステップアップしていくことができます

簡素な曲に愛着を持つ方法

上記を前提としたうえで、その「簡素な曲」があまりに簡素すぎて、

「こんなにレベルの低い曲を作るのか…」

と気分が萎えてしまう人も多いはずです。

そのような場合には、その「簡素な曲」に少しでもオリジナリティを盛り込むようにすると愛着が持てるようになっていくはずです。

例えば、

  • クセのあるメロディを一部に盛り込む
  • 特徴的な歌詞をつける

などはその方法だといえます。

また、

  • 身近な人を題材にする
  • 誕生日や季節のイベントなど、なんらかの企画のために作る

というように、作曲する目的やテーマのようなものを決めることも曲に愛着を持つために有効です。

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私自身も、初めて作曲をしたときには高校の日本史の先生を題材にして、仲間に笑ってもらうことを目的として曲を作りました。

作曲初期のジレンマ

この「簡素な曲だと愛着が持てない」という思いは、作曲が思うように進んでいかない多くの初心者が抱えるジレンマのようなものだといえます。

つまり、

  • 自分が理想とする質の高い良い曲を作りたい→初心者の時点ではやれることに限りがある
  • 簡単な曲なら作れる→簡単すぎるとやる気にならない

というように、相反するふたつがせめぎ合っているような状態です。

そのうえで、

作曲上達のためには曲を作りきる経験を積む必要がある

という点は変わらないため、上達を目指すうえではこのうちどちらか選んで乗り切ることが求められます

つまりそれは、

  • 理想とする曲は難しすぎる、けれど乗り切って曲を作り上げる
  • 簡素な曲はやる気にならない、けれど乗り切って曲を作り上げる

のどちらかを選ぶことを指しますが、私の経験では後者を選ぶ方が現実的で、かつ作曲の経験が積み上がる速度も速いです。

まとめ:(愛着が持てる)簡素な曲を作りきって作曲経験を積む

既に述べた通り、作曲初期には

シンプルな曲から徐々にステップアップしていく

という姿勢を持つことが大切です。

そのうえで、シンプルすぎて愛着が持てなくなってしまわないように、曲の中にわずかでも自分のオリジナリティを盛り込み、それを作曲のモチベーションに転換していけば、無理なく上達の階段を登ることができます。

現在作曲がうまくいかないと悩んでいる人は、これらを意識しつつまずは曲完成のハードルを下げて、自分なりのペースで作曲に取り組んでみて下さい。

簡素な曲でも愛着を持てるようにする、というところが重要です。

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