ここ数年で作曲の代名詞とも言える存在となってしまった「DTM」ですが、作曲の勉強をするにあたって、やはりDTMについてもあわせて学んだ方がいいのでしょうか?
こちらでは、そんなことについて少し考えてみます。
DTMの役割
「DTM」は「通らなければならない道」?
DTM(デスクトップミュージック)とはPCやスマホを使った音楽制作の総称です。
大体2005年以降に一般にも浸透し始めて、いまでは「作曲」=「DTM」と考える人もいるくらいです。
それでは作曲を志すみなさんにとってDTMは通らなければいけない道なのでしょうか?
その答えは、「やりたい音楽による」となります。
DTMで曲を整える
DTMによる音楽制作は「音楽を聴くことのできる状態にする作業」であると言い換えることができます。
作曲、というよりは「編曲」に近い作業です。
例えば「ラララ~」と歌ったメロディの背景で「〇〇な感じでドラムが鳴っていて」とか「〇〇な雰囲気のコーラスが付いていて」などを表現するために活用するものです。
難しい説明は省きますが、実際に理想とする音やフレーズをその通り録音して、その「ラララ~」のメロディと共に音源として聴くことができます。
そのDTMで実現できる「編曲」は「作曲」とは微妙に違うもので、それぞれは「作曲=曲を作る作業」と「編曲=曲を整える作業」というように定義することができます。
「編曲」が「作曲」を兼ねる
でもここで混同してしまうのが「編曲を兼ねた作曲」がある、ということです。
例えばクラシックなどは、楽器の編成により「ここでバイオリンがこんなフレーズを弾いて」「その次にフルートがこんな感じで」という楽器の演奏の流れそのものが曲である、と言えます。
最近のEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)と言われるクラブ系のサウンドも、音の鳴り方が曲そのものを表しています。
一方で、多くの人がイメージすることができる「ボーカルのある曲」、いわゆるポップスやロックは一般的に「作曲」と「編曲」を分けて考えます。
「作曲」=「曲を作る作業」では「メロディ」と「コード」が検討されます。
そして「編曲」=「曲を整える作業」では、「それらをどんな風に演奏するか」ということが検討されます。
例えば「『ラララ~』というメロディの背景に『C』というコードが必要!」ということを作曲で考え、それとは別に「それをピアノによって表現しよう!」ということが考えられる、ということです。
結局のところDTMは必要なのか?
まずは後回しで良い
冒頭の質問に話を戻すと、DTMは既に述べた通り「編曲」を実現するためのツールであるため、ポップスやロックなどの「ボーカルのある曲」を作りたいみなさんにとってはひとまず後回しでも良いもの、となります。
「DTMは通るべき道なのか?」という問いに「やりたい音楽による」とお答えしたのはそういった理由からです。
※これが「EDMを作りたい」となると、また違った話になってきます…。
みなさんがまず覚えるべき(やるべき)ことは「作曲」であって、「それをどんな風に演奏するのか?」ということ(=編曲)は曲ができてから考えればいいのです。
もちろん、「曲の仕上がりを考慮しながら作曲をしていきたい」という気持ちを持つのは悪いことではないです。
でも、「作曲初心者」という、やることの多い段階において「DTMも覚えなきゃだめなのか。。」となると作業の負担が大きいですよね。
そういった意味で、ここは思い切って「DTMは作曲に慣れてから覚える」として対処してしまっても構わないと思います。
DTMはPCやスマホ上でソフトを操作することでもあるので「DTMを覚えなくてもいい」と割り切るだけで気持ちが楽になるひとも多いはずです。
まとめ
ここまで「作曲の学習と同じくDTMを学ぶべきなのか?」ということについて考えてきました。
「作曲」と「編曲」は似ているようで違うもの、また違うようで結構関連性のあるものです。
個人的には、まずは作曲をしっかりと覚えてから、その知識をベースとして編曲を覚えたほうがよりスムーズだと考えています。
初心者のみなさんはまず「メロディ」と「コード」による根本的な作曲技術を学ぶことに集中して、そこからより発展的にDTMを学ぶような流れをぜひ検討してみて下さい。
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