他のあらゆることと同じように、作曲も繰り返しやるほどに上達します。
また、常に曲作りをしているとそれが習慣となって、取り組むこと自体が大変ではなくなっていきます。
この点について、先日以下のようなツイートをしました。
よくギターを1日弾かないと3日分下手になるとか言われますが、それは作曲も同じような感じで、少しやらないだけで曲作りの感覚は結構衰えます。上達したいなら常に作曲の感覚を磨いておいたほうがよくて、毎日鼻歌でもいいのでオリジナルなメロディを考えるようにするのがおすすめです。
— 内山 敦支 (@sakkyoku_info) March 14, 2020
ここでつぶやいているとおり、少し作曲から離れるだけでその感覚はかなり衰えてしまうため、上達を目指す場合には毎日曲作りに関する何かに取り組むことをお勧めしています。
ということで、こちらのページでは「毎日作曲をやること」の効果と、そのためのアイディアについて解説していきます。
目次
毎日作曲をすることの効果
自発的に行動を起こさなければいけない
そもそも曲作りは
です。
そのため、上達するためには必然的に
- 音楽を聴くこと=インプット
- 音楽を作ること=アウトプット
が求められます。
恐らく「作曲をしたい」と考えるほとんどの人が音楽を日常的に聴いているはずですので、このうち前者にあたる「音楽を聴くこと」は努力をせずとも実施できているものです。
問題となるのが後者の「音楽を作ること」で、これは「さあ、作ろう」と実際に行動を起こさない限り満たすことができません。
やることによって上達できる
この点については以下のページでも解説していますが、作曲を上達させてくれるのは「作曲」そのものです。

つまりこれは「やることによって上達していく」というような原理で、そこには
- 作業そのものに慣れてしまう
- コツをつかめる
などの理由があります。
こちらのページでテーマとしている「毎日作曲をやる」はまさにこの点に相当する行為で、日常的に作曲に取り組むことで作曲という作業そのものに慣れ、コツをつかむことをその目的としています。
毎日作曲をやるための方法
ひとえに「毎日作曲をやる」といっても、思いのほかそれを実現するのは難しいものです。
ここからは、どのようにそれを実行していけばいいのかという点についてより詳しく考えていきます。
1. 作曲に取り掛かるための敷居を下げる
まず真っ先に思い浮かぶのが「作曲に取り掛かるための敷居を下げる」ということです。
これは「『さあ、作曲をやろう』と思ったらすぐに取り掛かれる状態を作ること」を意味します。
作曲のスタイルによってもその状態はさまざまですが、例えばギターやピアノなどを使って作曲する場合には具体的に以下のような案を挙げることができます。
- 楽器をすぐ手に取れるようにしておく
- 思いついたメロディやコード進行をすぐに記録できるようにしておく(録音環境、ノート、ペンなど)
このように書き出すとあまりに当たり前だと感じられてしまいますが、例えばギターをすぐ手に取って瞬時に作曲に取り掛かれる状態があるだけで、作曲に向かう労力は大きく軽減されます。
作曲にPCのみを活用している場合
作曲にPC(DTM)のみを活用している人は、DAWソフト立ち上げたり、周辺機器のセッティングやスピーカー・ヘッドフォンの準備など、作曲に取り掛かるにあたり上記以上に時間が掛かってしまうものです。
これには、例えばスイッチ一つですぐに環境を回復できるようにしておいたり、常に作曲用のPCとDAWソフトは立ち上げっぱなしにしておくなど、いくつかの対応策が考えられます。
最も理想的なのは瞬時に作曲できるよう別途楽器を用意することで、普段DTMを使って作業をしている人でも曲アイディアのスケッチ用に別途キーボード等を活用している人は案外多いです。
2. 作曲を定時で行う
上記で述べたように、曲をアウトプットしていくにはなんとなくアイディアが浮かぶのを待つのではなく、「さあ、やろう」と自ら行動を起こしていくことが求められます。
そのためにお勧めなのが「作曲を『定時で行う作業』にしてしまう」というやり方です。
これを行うためには、そもそも根本的にスケジュールを見直すことが必要です。
作曲に使える時間を見極め、設定する
作曲には物理的に時間が掛かるため、毎日作曲に取り掛かるということはその分毎日そこに時間を割くことを意味します。
そのため、自分の日々の行動を見直し、どのポイントでどれほど作曲に時間が使えそうかを改めて考えます。
例えば、
- 寝るまでにある2~3時間のうち1時間を作曲に使う
- 早起きして、朝出勤する前の30分を曲作りにあてる
など、時間をなんとか調節すれば日々30分から1時間程度を捻出することは恐らくできるはずです。
また、日常生活が忙しすぎてその時間すら設けることができないという人は…残念ながらこちらでテーマとしている「毎日作曲」を実現できません。
3. やることを定型化する
毎日作曲を続けていくうえでもうひとつ効果的なのが「作業の定型化」です。
これは前述した「定時で行う作業にする」に似ており、やることを「定型的な作業」にすることであれこれと頭を悩ませることなく、瞬時に作曲に取り掛かることを目的とするものです。
おすすめは「弾き語りでメロディを考える行為」
これを実現するうえでお勧めなのが、「楽器弾き語りでメロディを考える行為」です。
以下はそのポイントです。
1. 定時になったらギターを抱える、またはピアノに向き合う
まず、既に決めた「定時」になったらあれこれと考えることなく楽器に向き合います。
この「あれこれと考えることなく」という点が、作曲を定時化してしまうことの効果ともいえる部分です。
2. 上記と共に、「楽器の音」と「自分の歌声」を録音できるレコーダー(スマホのボイスメモなど)、ノートとペンを用意し、録音・記録できる状態にしておく
作曲を行う上では、自分の生み出したものを記録することが重要であるため、この点をあわせて整えます。
スマホのボイスメモならすぐに手に取れて、またノートやペンなどもあらかじめ用意しておくことができます。
3. 楽器をコードで弾き、そこで思いつくメロディを「ラララ…」などで口ずさむ
思いのままにコードを弾き、メロディを歌って考えていきます。
これが「作曲」の中心となる行為です。
コードが思い浮かばないという人は、別途コードブックや既存の曲のコード譜などを用意し、それを参考にしてみるものいいでしょう。
4. 少しでもメロディらしいものが思いついたら、それをすぐにレコーダーに録音し、コード進行は書き留める
「3」の作業を通してメロディが考えられたら、それを弾き語りによってレコーダーに録音します。
またあわせてコード進行をノートに書き留めることも忘れないようにして下さい。
この時、コード進行に通番を振ったり時間などを併記しておくと、録音の音源とコード進行を簡単に紐づけることができるようになります。
5. あらかじめ決めた時間の間、それを続ける
「定時化」によって決めた時間の間、上記の行為を続けて作曲のアイディア(メロディとコード進行)を沢山溜めていきます。
作曲したものを本格的に曲として組み立てる
上記の「定時化」「定型化」によって生み出すことができたメロディ・コード進行は、別の時間を使って改めて吟味し、実際に一曲へと展開させていくことができます。
このように
- メロディやコード進行を考えること
- 一曲をきちんと作り込むこと
のそれぞれを分けて行うことが、毎日作曲を続けるうえでのコツです。
毎日の作曲は「コツや感覚を磨く」に集中する
そもそも、毎日の作曲によって「1日に1曲」のように完成度の高い曲を連日完成させていくのはほぼ不可能です。
かといって、1曲に対して数日を使いなんとか曲を完成させていくのも、「毎日作曲する」を満たすうえで少し違うようにも思えます。
そのため、日々の作曲は
- メロディとコード進行を生み出す=アイディアを出すこと
と割り切るほうがより健全で、それによって本来の目的であった「作曲するコツや感覚を磨くこと」を満たすことができます。
一週間で1曲の完成を目指す
もちろん、思いついたメロディやコード進行を1曲にまとめるためには別の時間が必要となるため、例えば
- 一週間のうち5日は「弾き語り作曲」によってメロディとコード進行を生み出す
- 残り2日で生み出したアイディアを吟味して1曲にまとめ上げる
というような計画で進めれば、毎日作曲をしつつ、曲を随時完成させていくことができるはずです。
まとめ
ここまで、毎日作曲することについてあれこれと考えてきました。
以下は解説のまとめです。
- 毎日作曲をすることでコツをつかみ、感覚を磨いておくことができる。
- 「敷居を下げる」「定時化する」「定型化する」という三点が続けるコツ
- 「アイディア出し」と「曲の完成」を分けて行うのがおすすめ
例えば上記に沿って作業を繰り返すと、一週間のうちにかなりの数のメロディやコード進行が溜まっていきます。
作曲する感覚が磨かれ、かつ曲も次々と完成していく良さもあるため、本格的に作曲へ取り組む際には是非この「毎日作曲する」を実行してみて下さい。
作曲が上達する「曲分析」について知る
