こちらでは「ロックな曲の作曲」について、動画での実演をもとに解説していきます。
曲作りの流れ
曲作りの前提
ロックな雰囲気を持った曲を作るにあたって、「ロック的である」と感じられる下記の要素を曲に盛り込むことを前提とします。
- ♭系のコード
- シンプルな構成
- パワーコード
ここでの「♭系のコード」とは、すなわち「♭III」「♭VI」「♭VII」の三つを指します。
今回の曲では「キー=C」として進めていくため、これらは「E♭」「A♭」「B♭」となります。
「シンプルな構成」とは、展開がドラマチックでなかったり、繰り返しを多く入れることでわかりやすい構成にする、ということです。
また「パワーコード」は曲そのものではなく奏法=表現方法を意味しますが、コードによる演奏にパワーコードを活用することで、単なるストロークよりもロック的な雰囲気を演出することが出来ます。
Aメロの制作
今回「キー=C」として作業を進めていくため、まず頭のコードを「Cダイアトニックコード」の「I」にあたる「C」として設定します。
「C」のコードを鳴らしながら、その後に前述の「E♭」「A♭」「B♭」を絡めつつメロディを考えます。
コードの構成、メロディともにシンプルなものを目指すため、展開が短め(四小節程度)になるように収めていきます。
結果的に、完成したコード進行は下記のとおりです。
※二回繰り返し
この上に四小節のメロディが乗り、これをひとつのブロック(Aメロ)とします。
Bメロの制作
Bメロでは、Aメロにない要素を盛り込むほどにブロックが変わったことを明確に提示できます。
そのため、まず「Aメロがどのような要素を持っているか」ということを整理します。
Aメロの要素
- 冒頭のコード:C
- メロディの始め方:ブロック頭と同時
- メロディの形:タータ
そのうえで、これらと違う要素を含むように、「Bメロにあると望ましい要素」を決めていきます。
Bメロにあると望ましい要素
- 冒頭のコード:C以外(Fなど)
- メロディの始め方:ブロック頭より前・後
- メロディの形:タタタ
この方針をもとに、下記の構成を組み立てました。
コードが展開しすぎずに「F→C」という流れを短く繰り返しているところが「Aメロとの差別化」という点でのポイントです。
また、メロディはブロック頭よりも後から始めて、「タタタ…」と刻むような形としています。
サビの制作
サビもBメロと同じく、直前のブロック(Bメロ)にない要素を盛り込みます。
サビにあると望ましい要素
- 冒頭のコード:F以外(Cなど)
- メロディの始め方:ブロックより前
- メロディの形:ター
ここから、サビを下記の構成としました。
C→B♭→A♭→F7
※二回繰り返し
基本的に四小節のコード構成を繰り返す形で展開させています。
またメロディも小さなまとまりを繰り返しており、シンプルで伝わりやすい形としています。
まとめ
一般的な「A→B→サビ」という展開を持った曲ですが、前提として決めていた「♭系のコード類」と「シンプルな構成」「パワーコードの演奏」によりロック的な雰囲気が感じられる曲に仕上がっています。
また、クラシカルな曲調から遠ざける意味でダイアトニックコードの中でもマイナー系のコードをあえて排除しています。
ブロックごとの差別化をしっかりと行って、構成面で聴き応えのあるものにすることで、シンプルなメロディ・コード進行でも作品性を高めていくことができます。