作曲を何曲か続けていると
ああもう曲を作るのもそろそろ限界かも…
と感じてしまうことがあるはずです。
私はこれまで25年ほど作曲をしていますが、その中で同じように「ああもう限界だ」と感じたことは何度もありました。
その度に試行錯誤をしてきたわけですが、結果としてどうにかここまで作曲を続けることができています。
さらにここ10年ほどは作曲の先生として、特にその「作曲の限界」と向き合ってきました。
こちらではそんな悩みを抱える皆さんのために、限界を超えてより前向きな姿勢で作曲に取り組んでいくためのアイディアを3つほどご紹介していきます。
目次
作曲に限界を感じる理由
作曲に限界を感じる一番の理由は
メロディやコードが思いつかない
という点にあります。
「さあ曲を作ろう」と思い立っても、頭に浮かぶのは
- 以前の曲で使ったようなメロディやコード進行
- シンプルで面白みがないメロディやコード進行
- ありきたりな曲構成
など。
そんな「いまいちなメロディやコード進行や曲構成」を一曲にまとめていこうとも思えず、作曲をやりたい、またはやらなくてはいけないのにそこから先へつながっていかない…。
これがいわゆる「作曲の限界」を感じている状態ではないでしょうか。
作曲の限界を超えるためにすべきこと
極論として、魅力的なメロディやコードや曲構成が思いつきさえすれば、作曲に限界は感じないはずです。
つまり、作曲の限界を超えるためにやるべきは
「魅力的なメロディ・コード進行・曲構成」が常に考えられる状態を作る
ということだとわかります。
「作曲の限界」につながる三つの理由
私自身の経験から、魅力的なメロディ・コード進行・曲構成が考えられなくなってしまう理由は以下の三点にあります。
- 感覚だけで作曲をしている
- 新しい音楽を聴いていない
- 作曲の経験を積んでいない
これは、裏を返せば
- 感覚だけで作曲をしない(理論的な観点から作曲を進める)
- 新しい音楽を聴く
- 作曲を何度も繰り返す
の三つに取り組めば、魅力的なメロディ・コード進行・曲構成を考えられる、ということを意味します。
それぞれについて、より詳しく考えてみます。
1. 感覚だけで作曲をしている
まず、作曲に限界を感じている人の中で最も多いのが「感覚だけで作曲をしている」という状態で、これは簡単にいえば「なんとなく作曲をすること」を指します。
- 適当に思いついたメロディをつなげてみよう
- コードをなんとなくつなげて曲にしてみよう
というような、その場しのぎの作曲では早々に限界を迎えてしまうのも当然です。
そもそも、感覚だけに頼ってやる作曲は作業にむらが生まれる原因になります。
作曲のスピードもまちまちで、一曲を作るためにものすごく沢山の労力を使ってしまうことにもなります。
改善策は「作曲を学ぶこと」
上記を改善するためには、「作曲を学ぶこと」が一番効果を発揮します。
この点については、以下のページでも解説しているとおり
- 音楽理論の学習
- 作曲法の学習
- 曲分析
の三つに取り組むことをお勧めしています。
【作曲を独学で進めるときの勉強方法】これをやれば作曲は上手くなる!「上達に欠かせない5つの柱」とは?
それぞれについて、具体的には以下の通りです。
音楽理論を知って、メロディやコード進行を意図的に作り上げる
まず音楽理論の知識は、メロディやコード進行を意図的に作り上げ再現性を高めるのに役立ちます。
つまり、それらを作ることが場当たり的な作業ではなく、確固たる知識に基づいた作業になるのです。
これは、料理に例えると「レシピを得ること」に似ています。
結果として、「何をどう改善すべきか」がわかり、
思いつかない→「限界かも…」
という思考を、
思いつかない→「こうやって改善してみよう」
のように乗り越えていくことができるようになります。
作曲法は「良い曲を作るためのレシピ」
上記の音楽理論がメロディやコード進行に特化したものだとすれば、二つ目として挙げている「作曲法」はそれにとどまらない「良い曲を作るためのレシピ」のようなものです。
具体的には
- 曲展開を魅力的なものにするためのコツ
- サビをサビらしく聴かせるためのコツ
- 自分の目的とする曲調を表現するためのアイディア
などを「作曲法」として体系づけて、知識として蓄えることでそれらに対処することができるようになります。
その結果、音楽理論と同じく「限界」を改善するため具体的にどのようなことをすればいいかが自分で考えられるようになるのです。
曲分析で「曲の成り立ち」を紐解く
三つ目に挙げた「曲分析」とは、ヒット曲や自分の目指すサウンドを持った曲を作曲者の視点から紐解く作業です。
曲分析を通して、
- なぜ魅力的なのか
- なにが良いのか?
などを「音楽理論」「作曲法」的な観点から考えることでそれらが実例に結びつき、曲の成り立ちが理解できるようになります。
そこから自分でもそれを作れるようになっていくのです。
※以下のページでは、曲分析のマニュアルについてもご紹介していますのであわせて参考にしてみて下さい。
「曲分析マニュアル」のご紹介
2. 新しい音楽を聴いていない
次に、「作曲の限界」の原因として考えられるのが「新しい音楽を聴いていない」という点です。
そもそも作曲は「自分の中に取り入れた音楽を外に出す行為」であるため、インプットの量が必然的にアウトプットの質へとつながります。
より簡単にいえば、
沢山聴くほど沢山作れるようになる
ということです。
改善策は「沢山、幅広く音楽を聴く」
これを改善するためには、とにかく音楽を沢山聴いてください。
最近はネットやスマホアプリなどを活用して、お金をかけることなく大量の音楽を聴くことができるようになりました。
以下はそのアイディアの一例です。
- 定額制音楽サービス(Spotify、Apple Musicなど)でいろいろなアーティストの音楽を聴く
- YouTubeで音楽を聴く
- ラジオアプリ(Radikoなど)で音楽系FM放送などを聴く
- 音楽系SNS(Sound Cloudなど)でプロ・アマ問わず沢山の音楽を聴く
ここに挙げたのはあくまでも例で、まだまだアイディア次第でいろいろな音楽に触れることができるはずです。
それだけ沢山の音楽を聴けば、インプットが増えることになるため「アイディアが何も思い浮かばない…」という状態はなくなっていくはずです。
幅広く聴くことが大切
音楽を聴くうえで心掛けるべきは「幅広く、いろいろな音楽を聴くようにする」ということです。
自分が慣れ親しんだ狭い範囲の音楽を聴いているだけでは作曲に限界を感じてしまうのも当然で、それを改善するためには
「いかにそれまでの枠を飛び越えるか?」
という点に意識を向ける必要があります。
それには、上記で挙げたような方法をもとに、特にこれまで自分が聴いてこなかったようなアーティストやジャンルの曲を積極的に追求する姿勢を持つことが大切です。
そこから新たなインスピレーションを得て、それままでにない新しいメロディやコード進行が考えられるようになっていきます。
3. 作曲の経験を積んでいない
「作曲に限界」につながる原因の三つ目は「作曲の経験を積んでいない」という点です。
何ごとにおいてもそうであるように、慣れないことはやはりうまくいかないもので、これは単純な「経験値の差」ともいえます。
改善策は「とにかく作曲を繰り返す」
これを改善させるためには、とにかく作曲を繰り返す以外に方法がありません。
上記で挙げた
- 作曲を学ぶ
- 音楽を幅広く沢山聴く
という二点を満たしたら、後はそこで得た知識を最大限に活用して作曲をすることです。
とにかく何度も曲を作って、それを振り返り、そこからまた新たな曲を作るというサイクルをまわしていきます。
それを繰り返していくことで「曲を作る」という作業そのものに慣れ、「限界」とう状態は徐々に緩和されていくはずです。
曲をきちんと作りきる
作曲を繰り返すうえで大切なポイントが「曲を作りきる」ということで、この点を守らずに苦慮している人が案外多いです。
何となくメロディとコードを思い浮かべてみる
↓
それっぽいものが中途半端に完成した
↓
「なんだかイマイチだな」と放り投げて次に取り掛かる
という、このようなことを繰り返していては、作曲レベルが上がっていかないのも当然です。
一曲をきちんと完成させることでそれが成果となり、自信にもなります。
また一曲を作ることで見えてくることも沢山あり、そこから自分に足りないものや、次の曲を作るためのアイディアやモチベーションが生まれることもあります。
曲作りを繰り返すうえでこれは基本となるため、特に「作りきる」という点に注意して取り組むようにしてみて下さい。
作曲の限界を超える「5つの柱」
ここまでに挙げた
- 音楽理論の学習
- 作曲法の学習
- 曲分析
- 曲を幅広く沢山聴く
- 曲を作る
という点は、既にご紹介したページでも解説している「作曲上達に欠かせない5つの柱」そのものです。
作曲の限界を超え、それまで以上に作曲レベルを向上させていきたい時には、この「5つの柱」の概念が大きな意味を持ちます。
それらに取り組むための付属となるページも掲載していますので、参考にしていただけるとありがたいです。
まとめ
「作曲の限界を超える」という点に絞ってここまで解説してきましたが、詰まるところ
常により良い曲を作ろうとする探究心
のようなものが、それに最も効果を発揮するということがわかります。
上記で挙げた
- 作曲を学ぶ
- 音楽を聴く
- 曲を作る
という三つを通して是非限界を乗り越え、自分を誇れるような名曲を生み出して下さい。