タイプ別 おすすめの作曲練習方法(メロディが作れない、コード進行が作れない、など)

作曲の最適な練習方法は、その人の目的や状況によって変わるものです。

こちらではそれを踏まえ、

「タイプ別 おすすめの練習方法」

と題して、タイプを四つに分類したうえでそれぞれに合ったおすすめの練習方法をご紹介していきます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。

【タイプ1】 メロディが作れない

まずひとつめが、「メロディが作れない」というタイプです。

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ここには、全くメロディが作れない人はもちろん、一応作れるけれどより良いメロディを生み出せるようになりたい、という人も含みます。

こちらに相当する人におすすめできる練習は、ギターやピアノを使った「弾き語り」です。

弾き語りは作曲の疑似体験

ポップス・ロックのボーカル曲を作るにあたり、メロディは基本的に歌いながら考えられます

その際には、

  1. 頭の中でメロディをイメージする
  2. イメージしたメロディを歌声にして発する

というような順序に沿ってメロディが生み出されますが、これを行うためには

  • メロディがイメージできる
  • イメージしたメロディを音感やリズム感によって把握できる
  • メロディを歌える

などの感覚や技術が求められます。

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また、実際のところこれらは「メロディをイメージした時点ですでに音感やリズム感が働いている」「それと同時にもう歌声としてメロディが表現されている」というように、同時進行的に行われるものです。

練習として弾き語りをおすすめしているのは、それが、上記で挙げたメロディ作りの順序を疑似体験できる行為だからです。

つまり、既存の曲を弾き語りする際にも、同じようにメロディをイメージし、それを音感やリズム感によって捉え、歌声として発する、という順序を踏んでいるため、それを何度も繰り返し行うことがそのままメロディを作る感覚を磨くことにつながっていくのです

鼻歌では少し不十分

これに似たような行為として「鼻歌を歌うこと」もメロディ作りの感覚を養う練習になりますが、こちらは弾き語りに比べて少し不十分だといえます。

というのも、ポップス・ロックのメロディ作りにおいては、

そのメロディがどんなコード進行(=ハーモニー)の中に存在するものか

という点を考慮することが重要で、メロディ単体をただ歌うだけの鼻歌ではそのあたりを体感することができないからです。

一方で、弾き語りにはギターまたはピアノを使ったコードの伴奏がつくため、すでにご紹介した「メロディをイメージする」「メロディを捉える」「歌う」などの行為を、常にコード進行が生み出す響きを聴きながら行うことができます。

弾き語りは究極の作曲練習

また、そもそも弾き語りはポップス・ロックの作曲上達につながるいろいろな効能を持った行為だといえます。

以下は、その一覧です。

  • コードの伴奏の上でメロディを抵抗なく歌う練習になる
  • いろいろなコード進行をサウンドと共に知ることができる
  • コードを演奏する練習になる
  • 曲の構成を紐解くことになる
  • 音感やリズム感が鍛えられる

もちろん、幅広い曲調の弾き語りを体験するほどにそれらが体に馴染んだり、いろいろなメロディが歌えるようになったり、ハイレベルなコードを演奏できるようにもなったりしていきます。

メロディ作りの感覚とあわせて作曲そのものの質を高める意味でも、ぜひ弾き語りに取り組んでみてほしいです。

【タイプ2】 コード進行が作れない

次は「コード進行が作れない」というタイプのひとで、この場合には「コード譜分析」の実施をおすすめします。

現在はインターネット上にさまざまなコード譜が無料で掲載されているため、

「〇〇(曲名) コード」

というようにそれらを検索して入手しつつ、音源とあわせてその内容を確認することで今すぐにでもコード譜の分析を始められます

構造による把握と吟味

分析をするうえでポイントとなるのは、「内容を構造で把握して吟味する」という点です。

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コード譜をただ見るだけで終わりにするのではなく、それを構造的な観点から自分なりに捉えて「どんな効果を生み出しているか」「どんな意図があるのか」などを考えることが分析の行為だといえます。

具体的には、

  • コード譜のキー
  • キーを前提としてコードがどのような度数のつながりになっているか
  • 各コードがどのような機能的位置づけを持っているか

などを実際のサウンドとともに考えていくことで、分析で目にしたコードと同じような展開を自分でも作れるようになっていきます。

分析力を身につけることが目的

コード譜分析の効果は、

  1. 分析力(=判断力)が身につく
  2. いろいろなコード進行を(構造によって)知ることができる

という二点にあり、このうち特に「1」を意識することが大切です。

作曲中に「〇〇のコードを使ってみよう」と考えられるか否かは、そのコードを知っている(ネタとしてストックされている)ことはもちろん、上記で挙げた「分析力(判断力)」によって最適なコード進行を自分なりに導き出せるかどうかにかかっています。

そのような意味から、ただネタ集めを目的としていろいろなコード譜を確認するよりも、ひとつの曲にきちんと向き合い、それを構造的な観点からきちんと読み解く姿勢が必要だといえます。

もちろんネタにもできる

もちろん、コード譜を分析していく中で気になったコード進行があればそれをどこかに書き留めておくこともできます。

これはいわば直接的なネタ集めの行為としても解釈できますが、その時にも

  • 「キー」
  • 「ダイアトニックコード」
  • 「コードの度数」

などをもとに、コード進行を構造として記録しておけると理想的です

【タイプ3】 曲の仕上がりに納得できない

次に挙げられるのが、「自分が作った曲の仕上がりに納得できない」というタイプです。

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これは既に挙げていた「メロディが作れない」「コード進行が作れない」などにもつながるものだといえますが、もう少し高いレベルで、漠然と自分の曲に満足できないような状態を指します

このタイプにおすすめできるのが、「曲分析」の作業です。

なぜ良いか?がわかる

上記でご紹介していた「コード譜の分析」よりもさらに突っ込んで、

  • 自分の好きな曲
  • 何回も聴いてしまう曲
  • 長らくたくさんの人からヒット曲として支持されている曲

などをさまざまな観点から分析することで、既に述べた「分析力」を曲そのものに対して発揮できるようになっていきます

分析できる要素は、

  • メロディ
  • コード進行
  • 曲の展開
  • サウンド
  • 歌詞
  • アーティストの人間性

など挙げだしたらきりがないですが、それらをより深く紐解いて内容を吟味することで、

「良い曲」の何が良いか?(なぜ良いか?)

が自分なりに見えてきます。

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これは、言い方を変えると「良い曲にするための目安・道しるべ」のようなものを持てる状態に近いです。

それが自分なりにわかれば、それに沿って曲作りを進めることで、自分でも満足度の高い曲が作れるようになっていきます。

絶対的な答えではなく「自分なりの尺度」を持つこと

もちろん音楽に正解はないため、曲分析によって絶対的な答えを探そうとすること自体が無意味だといえます

ただ、こちらも既に述べた通り、ネタ集めを目的とするのではなく「分析力をつけること」を目的として分析に取り組んでいくと自分なりの尺度が持てるようになるため、それが曲作りのときのよりよい判断につながっていきます。

それを踏まえ、こちらでも分析の曲数よりも分析の質を重視することを忘れないでください。

【タイプ4】曲を問題なく作れている

最後に挙げられるのが

  • 不自由なく曲作りができている
  • 自分の曲にもある程度満足している

という人でさらに上を目指したい、というタイプです。

こちらにおすすめできるのは、「とにかく曲を作るたくさん作る」ということです。

経験を重ねて幅を広げる

いろいろなところで述べているとおり、作曲は作曲を通して上達するものです

曲をたくさん作るとその分経験がたまり、作曲の柔軟性や対応力のようなものが身についていきます。

そのため、

  1. たくさんの曲を作り切ることによって経験を重ねる
  2. いろいろな曲を作って作れる幅を広げる

というふたつを繰り返すように取り組むと、今よりもさらに柔軟に作曲できるようになり、作曲レベルも向上することでより良い曲も作れるようになっていきます

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またこれに加えて、既にご紹介した「曲分析」も作曲する感覚をさらに磨くような行為だといえるため、並行して取り組んでいけるとより望ましいです。

まとめ

以下はここまでに述べた、「タイプ別 おすすめの練習内容」のまとめです。

  • タイプ1:メロディが作れない→弾き語り
  • タイプ2:コード進行が作れない→コード譜の分析
  • タイプ3:曲の仕上がりに納得できない→曲分析
  • タイプ4:問題なく作れていてさらに上を目指したい→たくさん作る

ご自身のタイプに合わせて、ぜひ力の入れどころを探ってみて下さい。

最終的に目指すべき状態が「タイプ4」だといえます。

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