大人になってから「音楽(楽器)を始めてみよう」と思い立つ人は多いものですが、具体的にどんな楽器を選べばいいかは難しいところ。
私は作曲の先生であると同時に「単なる音楽好き」でもあるため楽器に対する興味も非常に高く、これまでにいろいろな楽器に触れてきました。
以下は、私がこれまでに経験した楽器の一部です。
- ギター
- ペース
- ピアノ
- ドラム
- トランペット
- クラリネット
- ハーモニカ
- ウクレレ
- シンセサイザー
- リコーダー
- 胡弓(中国の楽器)
- パンデイロ(南米の打楽器)
- カリンバ(アフリカの楽器) など
こちらのページでは、これらの演奏経験を踏まえ、
これから音楽を始める人におすすめできる楽器はこれ!
というものを考えてみます。
私自身が持つ音楽の知見から、「その楽器を習得することでこんな音楽的な未来が望める」という点もあわせて考慮しつつご紹介しますので、是非参考にしてみて下さい。
※目的によって楽器に取り組む意味は変わるため、ご紹介の内容に優劣は無いものと捉えて下さい。
目次
おすすめ楽器(その1):ピアノ
まず、これから音楽を始めたいという人におすすめの楽器として真っ先に挙げることができるのが「ピアノ」です。
これは、私の経験や音楽的な発展性などを考慮してのものです。
ここでは「ピアノ」という呼称を使っていますが、これは電子ピアノやキーボード、オルガンなどを含む鍵盤楽器全般を指します。
理由1:簡単に音を出せる
ピアノをおすすめする一番の理由は「簡単に音を出せるから」です。
世の中には数多くの楽器がありますが、私の経験上その半分くらいはまず音を出すのが難しいです。
例えば、
- ギターやバイオリンなどの弦楽器
- トランペットやトロンボーンなどの金管楽器
- クラリネットやフルートなどの木管楽器
は、どれも初心者が音を出すのにとても苦労します。
より厳密にいえば「音」そのものは出せますが、目的とする音(例えば「ド」の音、など)を瞬時に出すことが困難です。
反面で、ピアノは鍵盤を押せばすぐ、確実に音を出すことができます。
そこには力や体格なども関係なく、これは小さな子供でも立派にピアノを演奏できてしまうことなどを考えるとよくわかります。
演奏に集中できる
楽器に取り組む目的は、当然のごとく「演奏を楽しむ」という点にあります。
そんな中で、そもそも音を出すことすらできないことで楽器に挫折してしてまうひとも多く、ここが音楽を始めるうえでの一つの壁になります。
その上で、ピアノを含む鍵盤楽器は既に述べた通り誰でも簡単に音を出せるため、その点が事前に解消されており、余計な苦労をせず純粋に「演奏を楽しむこと」に集中できます。
考え抜かれた鍵盤の配置やデザイン
またピアノの鍵盤は、多くの人がイメージできるように左から右へ、低い音から高い音へと順番に音が並んでいます。
このように、どこにどんな音があるかが瞬時にわかる楽器の構造も、目的とする音を簡単に出すという点で有利です。
上記で挙げた弦楽器・管楽器は、音の配置や音を出すための指使いがより複雑で、慣れないうちは目的とする音を探すことにも苦労します。
これらを踏まえると、ピアノは演奏に取り組むうえで、極限までその障害を取り払うよう考え抜かれた構造を持っている楽器だといえます。
理由2:いろいろな音楽に似合う
ピアノをおすすめするもう一つの理由は、「いろいろな音楽に似合う」という点です。
ピアノは本当にさまざまな音楽で活用されており、ピアノが弾けることでいろいろな音楽が楽しめてしまいます。
楽器によりジャンルの適正がある
私の経験上、やはり楽器によって
「それに似合う音楽ジャンル/あまり似合わない音楽ジャンル」
という認識はあるものです。
例えば、
- トランペットはクラシックやジャズには似合う。ポップス・ロックには似合わない。
- エレキギターはロックに合う。クラシックには合わない。
- バイオリンはクラシックには似合う。ジャズには似合わない。
など。
そんな中で、これを「ピアノ」に置き換えると、ほぼすべてに似合ってしまいます。
- クラシックに似合う
- ジャズに似合う
- ポップス・ロックに似合う
これだけオールマイティな楽器は恐らくピアノだけで、音楽的な発展性を考えてもピアノは胸を張っておすすめできる楽器だといえます。
理由3:ひとりでも楽しめる
さらなる理由として、「ひとりでも楽しめる」という点も付け加えることができます。
メロディも伴奏も、どちらも弾ける
何度か例に出している「トランペット」や「バイオリン」などが、基本的に単音をつなげた「単旋律」を演奏する楽器であるのに対して、ピアノは複数の旋律を演奏できます。
これをより簡単にいえば、ピアノにおいては
- 右手=メロディ
- 左手=伴奏
のように両手で違った旋律を奏でることができる、ということです。
それによって、ひとりでも「伴奏と、それに合うメロディ」という演奏が楽しめてしまいます。
大人がこれから楽器を始めるにあたり、この「ひとりで楽しめる」という点は思いのほか大きな意味を持つはずです。
おすすめ楽器(その2):ギター
二つ目におすすめする楽器は「ギター」です。
まず前提として、ギターは前述したピアノにある利点とは真逆となる下記の性質を持っています。
- 簡単に音が出せない
- いろいろな音楽に似合わない
これらはギターを選ぶうえでのデメリットにもなる部分ですが、それでもこれから音楽を始める人にギターをおすすめするのは以下のような理由からです。
理由1:すぐ手に取れて抱えられる、持ち運びできる
ギターの一番優れている点は「すぐ手に取れる/持ち運びできる」というところにあります。
例えば、自宅にて普段座っている場所にギターを持ってきて、テレビを見ながらでも演奏することができるという良さは、ギターならではです。
このように、楽器を弾くにあたりあまりかしこまらず、普段と変わらない感覚で向き合えるところは演奏への敷居を下げるために大きな意味を持ちます。
一方、ピアノはある程度の大きさを持つため基本的には据え置きとなり、演奏するためには自分がピアノの前にしっかりと座る必要があります。そこから、それが演奏に向かう敷居の高さにつながってしまうこともあります。
理由2:ポピュラー音楽では圧倒的な存在感がある
また、ギターがポップス・ロックなどにおいて圧倒的な存在感を持っている、という点も、この楽器をおすすめする理由のひとつです。
既に述べた通り、楽器にはある程度「それに似合う音楽ジャンル」がありますが、特に現在広く親しまれているポピュラー系の音楽においては、ギターによる演奏機会は多いです。
例えばバンドに参加したり、また歌に伴奏を付けたり、という局面においてギターが弾けると、それが活躍の場になるはずです。
ギターはピアノと同じく、単音の旋律も、また和音(コード)も演奏できるため、ポップスの弾き語りをしたり、ロック系の音楽でリードギター的な演奏に取り組んだりと、楽しみ方もさまざまです。
総じて、(若干演奏に慣れは必要であるものの)身近な音楽を気楽に演奏できるという点でギターがそれに一番似合っていると考えられます。
おすすめ楽器(その3):ウクレレ
次におすすめできる楽器は「ウクレレ」です。
理由1:歌うための伴奏として楽しめる
ウクレレは「ギターを小さくしたようなもの」とも解釈できますが、ギターが単音と和音の両方を楽しめる楽器であるのに対し、ウクレレはより和音(コード)演奏の比重が大きい楽器です。
つまり、単音をリードギター的に弾くことはあまりなく、どちらかといえば歌や他主旋律を支える伴奏にまわることが多い、ということです。
そこからギターでいう「弾き語り」を楽しむような感覚で、ウクレレに取り組むことができます。
ギターをおすすめする理由として挙げたように、ポップス・ロック系を気軽に弾いて歌いながら楽しむ、という意味でもウクレレは最適です。
理由2:ギターよりもさらに小さく、手軽
またウクレレはギターに比べてより小さいため、ギター以上に気兼ねなく手に取ることができます。
アコースティックなボディは軽く、持ち上げるのも抱えるのも簡単です。
小さく軽い楽器であることから音も比較的小さくて、その点も「気兼ねなく演奏できる」というところにつながるはずです。
そこまで場所も取らないことから、部屋の片隅に置いておき、好きな時にポロンポロンと弾くことができます。
理由3:ギターよりも簡単
ギターとの比較としてもうひとつ挙げられるのが、弦の数が少なく、その分演奏が簡単だということです。
ギター、ウクレレ、それぞれの弦の数は、
- ギター=6本
- ウクレレ=4本
となっており、ウクレレの弦はギターより2本少ないです。
そのため、弦を押さえる指の形もギターよりシンプルだといえます。
ウクレレはギターに似た楽器であり、それよりもさらに小さく、軽く、そして構造がシンプルであるため演奏の難易度もギター以上に低い、という点がおすすめのポイントです。
おすすめ楽器(その4):ハーモニカ(クロマチックハーモニカ)
ここまで、主に和音を演奏できる三種の楽器をご紹介してきましたが、最後に単音による旋律を奏でる楽器として「ハーモニカ」をおすすめします。
これは、いわゆる子供の頃に吹いたりしたことのあるシンプルなハーモニカではなく、より柔軟な演奏ができる、以下のような「クロマチックハーモニカ」のことを指しています。
ボディについているレバーを操作することで、ピアノやギターと同じようにいろいろな音を柔軟に表現できます。
理由1:単旋律を奏でる楽器でありながら音を出しやすく、かつ広範囲の音域
既に述べたように、トランペットやサックス、フルートなどの単旋律を奏でる楽器はどれも、基本的に音を出すのにある程度のコツが必要です。
そんな中で、クロマチックハーモニカは簡単に音が出せます。
それでいて3オクターブの音域に対応しており、いろいろな音楽を吹くことができる、という点もこの楽器をおすすめする理由です。
理由2:小さくて場所を取らない
また、ハーモニカはなんといっても小さく、場所を取らないという点にも魅力があります。
上記で挙げたトランペットやサックスなどはそれなりに大きいため、部屋に置いておくために場所を取ります。
音量も小さめで、ウクレレと同じように部屋の片隅にそれとなく置いておき吹きたい時に吹く、ということができてしまいます。
理由3:思いのほかいろいろな音楽ジャンルに似合う
また、ハーモニカというと「子供向け」、または「ブルースハープ」のイメージが強いですが、それ以外のジャンルにも思いのほか似合います。
例えば、以下はジャズハーモニカ奏者の演奏動画ですが、これを見ると大人がこれから始める楽器として、クロマチックハーモニカが取り組みがいのある楽器だと感じられるはずです。
これ以外にも、もちろんポップスやロック、ブルースやカントリーなどにもハーモニカは似合うため、個人的にはサックスなどと同じように、いろいろなところで演奏を楽しめると思っています。
総括
ここまで、これから音楽を始める人におすすめの楽器として、
- ピアノ
- ギター
- ウクレレ
- クロマチックハーモニカ
の4つを紹介しましたが、やはりすべてを凌駕する魅力を持っているのがピアノです。
その次点がギター、また、お手軽派にはウクレレです。
そして単旋律を奏でる楽器に挑戦したい方にはクロマチックハーモニカがおすすめできます。
こちらでご紹介した内容を、これから始める音楽ライフの参考にしていただけるとありがたいです。
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