作曲上達を目指すうえで、「作った曲を人に聴いてもらう」という行為は思いのほか効果的です。
この点について、先日SNSでも以下のように述べています。
作曲に慣れないうちは自分の作った曲を公開して誰かに批評されるのは恥ずかしいような怖いような感じだと思います。とはいえ、実際のところ人に聴いてもらうとめちゃくちゃ成長できる。言い換えると、上手くなりたかったら積極的に身近な誰かに自作の曲を聴いてもらい、コメントしてもらうといいです。
— うちやま|作曲の先生 (@sakkyoku_info) June 4, 2022
自分の曲を他人に聴いてもらうことは、「自分では気付けない点に気付ける」という意味で学びが多いものです。
また、他にも
- 「良い曲だね」と言ってもらえると嬉しい
- 曲を公開することが作曲のやる気につながる
などの利点もあります。
そのうえで、では「作った曲をどのようにして他人に聴いてもらえばいいか?」と考えると、ちょっと迷ってしまうのも事実です。
それを踏まえこちらでは、私の経験から自作の曲を他人に聴いてもらうため方法(手段)についていくつか考えてみます。
作曲の上達に、またモチベーションの維持に是非これらのアイディアを活用してみて下さい。
目次
ネット活用編
まず、現在「作った曲を誰かに聴いてもらう」ということを考える上で真っ先に思いつくのがネットを活用する方法です。
以下に、その代表的なものをいくつか挙げてみます。
1. SNS(X[旧Twitter]、Instagram、Facebook等)で公開
いくつかある方法の中でも最も手軽かつ効果的なのが、SNSを活用するやり方です。
「X」「Instagram」「Facebook」はその中でもビッグ3といえる存在ですが、どれも動画投稿の機能を備えています。
それらを活用すれば、フォロワーのみなさんに対して手軽にオリジナル曲を公開することができます。
メリット:すぐにコメントがもらえる、「いいね」しかない
上記三つのサービスに共通するのが
- アップした曲に対してすぐにコメントがもらえる
- 低評価のボタンが無い
という点です。
作曲の上達やモチベーションの維持を目的とする場合には、聴いてもらった人から何らかのアクションが必要ですが、SNSという性質上それは十分に満たすことができます。
また「低評価ボタンが無い」という点も思いのほか大切で、特に初心者の時点では悪い評価が気になってしまうため、そのような意味からもこれらの利用は安心です。
デメリット:曲を動画ファイルにする必要がある
公開に際しては、曲を動画ファイルとしてアップロードする必要があり、その点でやや手間がかかります。
曲を動画にするにあたり、一般的に活用されているのが以下のようなアイディアです。
- 画像や映像に歌詞のテロップを付け、そこに曲を流して動画とする
- DTMで制作した音源の場合、曲と共にDAWソフトの再生画面を映して動画にする
いずれにしても、動画として公開する以上視覚的な見栄えになんらかの配慮が必要となります。
デメリット:アップできる曲の長さに制限がある
これらSNSを利用する際には「公開できる動画の再生時間に制限がある」という点にも注意が必要です。
以下は、それぞれのサービスが公表している「アップできる動画の再生時間上限」です。
- 【X[旧Twitter]】2分20秒(140秒)
- 【Instagram】1分
- 【Facebook】120分
これらのうち、Facebookは1曲を公開するうえで時間制限がネックになることはないはずです。
反面でXとInstagramは数分程度しか公開できないため、その点でやや不利だといえるでしょう。
ポップス・ロック系の曲でも最低4分程度の長さを持っていることを考えると、公開に際してはそれらの一部分のみを収録することになりそうです。
2. YouTubeで公開
上記SNSと共に思いつくのが、YouTubeを活用する方法です。
YouTubeは現在もはや「動画版SNS」のようなサービスになっているため、その点で同じように自分の曲をアピールできます。
メリット:曲を聴いてもらいやすい、コメントをもらいやすい
YouTubeの性質上、一般ユーザーは「動画を見る」ということが当然の行為になっているため、曲を聴いてもらうこと、およびそれに対してコメントをもらうことの敷居がその分低いといえます。
これは「つぶやき」や「画像」などが主流であるX・Instagramと比べて優位となるポイントです。
メリット:アップできる動画の再生時間が長め
アップロードできる動画の時間上限が長いのも、YouTubeのメリットだといえます。
一般ユーザーレベルでは15分程度が上限の目安となっており、一曲を公開するにあたり十分です。
また、条件をクリアすれば次第にアップできる動画の時間上限も伸びていきます。
既にアップされている動画を見る限り数時間の動画でも投稿できてしまうようです。
デメリット:低評価のボタンがある
YouTubeの利用を考えるうえで議論になるのが、「低評価ボタン」の存在です。
作った曲を聴いてもらい、なんらかのコミュニケーションをとるにあたって悪い評価はやはり気になるもので、その点を心配する人にとってはこれがデメリットとなります。
とはいえそれがリスナーの正直な意見であり、低評価をバネに曲を改善させたり、それを無視することもできるはずです。
YouTubeを利用する以上低評価ボタンは避けられないため、それと上手に付き合うような姿勢が必要だといえます。
デメリット:動画としてアップロードする必要がある
前述したSNSの利用例と同じく、YouTubeでも当然のように曲は動画としてアップロードする必要があります。
動画投稿サービスである以上SNSよりも動画の質が求められますが、既にご紹介したような観点から動画が作れればそれで問題ありません。
3. SoundCloudで公開
「音楽系SNS」に分類されるサービスは、自作曲を公開するのに最も適しているといえます。
中でも「SoundCloud」はその最有力といえる存在ですが、日本語化されていないことから国内の利用が思いのほか進んでいないのが現状です。
メリット:音声ファイルをアップできる
これまでにご紹介した各種SNSやYouTubeが、動画によるアップロードを基本としていたのに対し、SoundCloudは音声ファイルのままアップロードが可能です。
「曲を聴いてもらう」という目的を果たすうえで、これはメリットだといえるでしょう。
SoundCloudは音楽のアップロードがサービスの主体であるため、音源の再生、リピート、スキップ、シャッフルなど、音楽プレーヤーとしての利便性にも配慮されています。
メリット:自分の曲でプレイリストを作ることができる
上記でも述べたように、SoundCloudは音楽の視聴環境に配慮されている延長で「プレイリスト」の機能も兼ね備えており、自分が作った曲をそのような形でまとめておくことも可能です。
XやInstagram等の各種SNSが基本的に曲単体でのアップロードとなるところ、作曲者としての世界観を伝える意味でこれはメリットになります。
メリット:他サービスとの連携もできる
また、他のサービスとの連携も柔軟に設計されており、例えばFacebookにSoundCloudのリンクを埋め込んだりすることが簡単にできてしまいます。
自分のブログやWebサイトに自作曲のプレイリストを設置することも可能で、それをライブラリのように活用している人も多いです。
デメリット:日本語化されていない
SoundCloudは上記のように「オリジナル曲の公開」を考えるうえでこの上ないサービスですが、それらを阻む一番のデメリットとなっているのが「日本語に対応していない」という点です。
他SNSと同様にコメント機能を有していながらも、すべてが英語での対応となってしまうため、やはりそれがコメントのもらいづらさにつながってしまいます。
これらを踏まえると、SoundCloudの音楽プレーヤーとしての使いやすさのみを目的として、「音源の再生環境」として使用することが、現時点での最も有効な活用方法だといえそうです。
4. ライブ配信サービスで演奏
作った曲を自分で歌ったり演奏したりする人は、ライブ配信サービスを通して曲を公開する方法も考えられます。
現在利用できる主なサービスの一覧は、下記の通りです。
- SHOWROOM
- LINE LIVE
- 17LIVE
- ニコニコ生放送
- YouTube(ライブ機能)
- ツイキャス
メリット:生の言葉を添えて公開できる
ライブ配信サービスのメリットは「直接伝えることができる」という点です。
どのような経緯でオリジナル曲を作ったのか、または歌詞に込めた思いなど、作った曲について直接作曲者として言葉を添えることができるのは、ライブ配信ならではです。
それによってリスナーの聴く姿勢や、曲に対する印象も変わるはずです。
メリット:リスナーからリアルタイムでコメントをもらえる
多くのサービスが視聴者からのリアルタイムでのコメント投稿機能を有しており、披露した自作曲に対して直接その場で評価をもらうことができます。
この点も、ライブ配信サービスならではのメリットだといえるでしょう。
デメリット:なんらかのパフォーマンスが必要
ライブ配信サービスはその名の通り自分自身が直接出演者になるため、顔出しをする/しないに関わらず、演奏したり、喋ったり、というなんらかのパフォーマンスが必要になります。
そのような行為が苦手だという人には、この点がデメリットになってしまいます。
つまり「生の言葉を添えることができる」という一方で、パフォーマンスが苦手な人にはそれがデメリットにもなってしまう、ということです。
また、基本的に弾き語り等の生演奏によって曲を披露することが前提にもなるため、DTMなどで曲を作っている人にはあまり向かない方法だといえるでしょう。
※もちろん、ライブ配信の中でなんらかの方法によって自作曲の音源を再生することもできます。
番外編1:定額制音楽サービス(サブスクリプション)で配信
ネットを使ってオリジナル曲を公開するにあたり、定額制音楽サービス(サブスクリプション)を活用してより直接的に音源を配信してしまう方法も考えられます。
これは、「作った曲に対して評価をもらう」というテーマからは少しずれるものですが、多くの有名アーティストやプロミュージシャンと同じ環境で自分の曲を聴いてもらうことができます。
低料金で各種サブスクリプションに参加できる
いまや「レコード会社」「メジャーレーベル」「インディーズ」というような枠は無くなり、誰もが平等にサブスクリプションサービスから世界に向けて音源を配信できる環境が整っています。
「TuneCore」などはその取りまとめをしている存在として有名で、1曲あたり年間数千円程度で「Apple Music」「Spotify」「LINE MUSIC」などに自分の曲を配信できます。
サブスクリプションサービスで音源を公開する以上、ある程度の音質や音源としての完成度が求められます。
自分の作った曲を公開するという点を考えるにあたり、このような方法を活用することも検討できます。
番外編2:音楽販売サービスで配布
自作の曲を直接的に公開する方法としてもうひとつ挙げられるのが、音楽(音源)配布サービスで自分の作った曲を素材として配布したり販売したりするやり方です。
「Audiostock」や「Dova Syndrome」などは中でも有名で、これらのサービスを曲の認知に活用したり、また有料販売を通してその収益を副収入としている人などもいます。
こちらも、上記で挙げた「定額制音楽サービス」の活用と同じく作品の公開や評価というよりも「配布」や「販売」という位置付けとなり、また同じく作品には品質の高さが求められます。
リアル活用編
作った曲の公開=他人に聴いてもらうことを考えるうえで、もちろんネットを使わない昔ながらの方法も活用できます。
これらはあえて整理するまでもありませんが、以下にその例をいくつか挙げます。
- 友達や知り合いに聴いてもらう
- ライブで演奏して広く大勢の人に聴いてもらう
- 作曲教室等に通って先生に聴いてもらう
これらは、上記でご紹介した「ネットを活用する方法」をリアルに置き換えたものともいえるでしょう。
経験者に「作曲的な視点で聴いてもらう」ということ
ここまでに挙げたいくつかの方法の中で、ひとつだけ他と異なるのが上記の「作曲教室等に通って先生に聴いてもらう」というアイディアです。
こちらのみが「作曲者とリスナー」という関係ではなく、聴き手(先生)の側に「作曲」の視点が入ります。
つまり、その分曲を聴いた感想に「より良くするためには?」という内容が含まれ、作曲の上達を目指すうえで効果をもたらします。
自分の作った曲をより実用的な観点から評価してもらいたい、というひとは、このように作曲経験者をその対象に選ぶことがお勧めです。
まとめ
曲公開の手段についてまとめてみましたが、曲を批評されることについては以下のような投稿もしています。
作曲初心者のころ、まじめに自分の曲を聴いてもらって批評されるとわりと心にグサグサきます。 私も当時同じような経験をしてますが、グサグサきながらも自分の強みと弱みがわかり、どこを伸ばしてどこを補強すべきかをそれで把握してました。学べることは多く、そしてグサグサにもそのうち慣れます。
— うちやま|作曲の先生 (@sakkyoku_info) December 20, 2022
あれこれと言われてしまうことに抵抗のある人も多いはずですが、ここでも述べているように、それによって見えて来るものは本当に多く「作曲の上達」という点からそれがとても意味のある取り組みになります。
曲を公開することで人から得られる評価を積極的に受け、それを素直に受け止めたり参考にしたりすることで作曲上達のきっかけとしてほしいです。
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