「メロディがなかなか思い浮かばない」という方のために、こちらのページではメロディを作る練習について解説していきます。
メロディ発声のメカニズムに沿った効果的な練習なので、是非取り入れてみて下さい。
目次
「メロディ」というものの正体
「メロディ作り」は作曲の象徴的作業
「曲」や「音楽」をイメージするときに真っ先に思い浮かぶものが「メロディ」です。
作曲(=曲を作るということ)はある意味でこの「メロディ」を作る作業であり、そのような観点からメロディ作りの技術は作曲の技術であるとも言い換えることができます。
では、そのメロディ作りの技術やセンスはどのように磨いていけばいいのでしょうか。
また「メロディが思い浮かばない」という人は、どのようなトレーニングを行えばそれを打開していけるのでしょうか。
「メロディ」だけでは不完全
ポップスやロックの楽曲においては、多くの場合メロディの背景に「コード(ハーモニー)」と「リズム」が存在しています。
それは、メロディを作る際に、「どのようなハーモニーの上にそのメロディがあるのか」「そのメロディはどのようなリズムを持っているか」という要素を考慮する必要がある、ということを意味します。
ただなんとなくメロディを歌うだけでは不完全なのです。
また、それこそがメロディ作りの難しさであり、奥深さでもあります。
これを踏まえると、作曲初心者の段階では、メロディは「ハーモニーとリズム」による伴奏の上で作るべきです。
メロディ作りの技術やセンスを養いたい時、あるいは実際に作曲の作業としてメロディを考えたい時には、それが一番効率的であり実用的です。
メロディを作る練習
メロディ発声のメカニズム
ここからは、メロディを生み出す技術やセンスを向上させるための具体的なトレーニングについて考えていきます。
まず前提として、メロディを口から発する際のメカニズムは、大まかに下記のようになっています。
これら各ステップを繰り返し行い、その経験を積むことでメロディを作る技術を向上させることができます。
「メロディが思い浮かばない」という人の多くは、メロディを歌ってきた経験が少ない傾向にあります。
これは「上記ステップすべての経験に乏しい」ということで、経験がないためそれができないのは当然のことです。
その上で、メロディ作りの技術やセンスを向上させるために有効だと考えられるトレーニング方法は下記のとおりです。
1. 既存の曲を鼻歌で歌う
まず初めに行うべきトレーニングは「鼻歌を歌う」という行為です。
これは、既に頭の中にある一つのメロディを口に出して歌うことを指します。
これには、まずそこにある「メロディ」を思い浮かべることが必要です。
そこから、楽曲が持っているハーモニー・リズム・テンポなどを「メロディの背景にあるもの」として把握します。
そのうえで、これらを複合した「(音声としての)メロディ」を口から発声します。
「鼻歌を歌う」という行為が「メロディを思い浮かべて発声する」という行為そのものであるため、これを行うことがメロディ作りの訓練になります。
2. 鼻歌の題材となる曲を次々に変えて歌う
既存の曲での鼻歌に慣れたら、その次の段階として楽曲を変えます。
つまり「いろいろな曲を鼻歌で歌っていく」ということです。
楽曲が変わればメロディも変わり、あわせてハーモニーやリズムも変わります。
いろいろな曲で鼻歌を歌うことは、その変わったメロディやハーモニー、リズムを改めて正確に捉え、そしてまた発声する、ということにつながります。
これを慣れないうちはゆっくり、慣れてきたら次々と行うことで、前述の「メロディを思い浮かべて発声する」を繰り返し体感していくことができます。
お気に入りのアーティストの曲タイトルだけを眺めながら、次々と曲を切り替えてその一部分だけをひたすら歌っていく、というようなやり方はそのひとつとして考えられます。
3. 鼻歌を、ある部分でオリジナルなメロディに変形させる
ここまでの行為は「既に存在しているメロディを歌う」というものでした。
その上で、次なる段階ではメロディをオリジナルなものに変形させます。
これは、例えば「上昇していくメロディ」を持った曲があるとして、それを「あえて上昇させないメロディ」にして歌ってみる、というような行為を指します。
この「本当は〇〇なメロディだけど、それをこうしてみる」という意気込みと、「メロディを変形させる」という行為こそが「メロディ作り」の作業そのものにつながっていきます。
これをいろいろなアプローチで行い、「もっと音階の上下を激しくしたら?」とか、「もっとリズムを跳ねさせたら?」というような観点でメロディを意図的に変形させていくことができるようになっていけると理想的です。
「メロディを作る練習」とメロディ発声の各ステップとのつながり
上記でご紹介した三つのトレーニングは、「メロディ発声のメカニズム」にある三つのステップにつながるものです。
それは、すなわち下記のとおりです。
既存の曲を鼻歌で歌う
この行為は、ステップ3にある「メロディを音声として口から発する」という技術を養います。
メロディがまったく思い浮かばないというひとは、まずここから始めて「メロディの発声」そのものに慣れることを目指してください。
鼻歌の題材となる曲を次々に変えて歌う
これは、ステップ2にある「音感に沿ってメロディを把握する」につながります。
いろいろな楽曲のメロディを瞬時に歌う、という行為は「その楽曲のメロディ・ハーモニー・リズムを瞬時に把握できる」という技能を向上させます。
「なんとなくメロディを歌うことはできるけれど、そのバリエーションに乏しい」というひとはこのトレーニングを重点的に行い、いろいろなタイプのメロディを口ずさむことに慣れてください。
それと同時に、幅広く沢山の音楽を聴いてそれを吸収し、鼻歌としてそれらを表現して行けるようになるとさらに望ましいでしょう。
鼻歌を、ある部分でオリジナルなメロディに変形させる
この行為は「メロディ作り」そのものに通じる行為であり、ステップ1での「メロディを頭の中で考える」そのものであると言えます。
このトレーニングを通して、のちのちは「既存のメロディ」というきっかけが無くても、ゼロからメロディが生み出せるようになっていくはずです。
メロディ作りに強くなる本
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まとめ
ここまで、メロディを作る練習について考えてみました。
「メロディ作り」を苦手とする方は、ここまでの三つのステップについて意識しながら、是非鼻歌のトレーニングに取り組んでみて下さい。
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