目次
ブロックそれぞれを差別化する
曲の中に起伏を作り、ストーリーを感じてもらう
既に述べた通り、作曲とは「楽曲を作ること」で、リスナーは曲からストーリーを感じます。
そのために楽曲には長さが必要ですが、それとあわせて、起伏のある構成をいかにして提示するか、という点にも配慮が必要です。
もちろん、起伏が無く淡々と展開し終わっていく作風を目指すことは可能ですが、とりわけボーカルが入った親しみやすい音楽を作曲する場合には、そこになんらかのストーリーやドラマが求められます。
それは、童謡のようにコンパクトでコミカルなものであったり、また重厚なバラードのように感動的なものであったり、またはダンスミュージックのように一定のリズムをもとに徐々に展開していくようなものであったり、その種類はさまざまです。
ブロックの性質を明確に打ち出す
起伏のある構成を作るためには、各ブロックの提示の仕方に気を配り、リスナーにそれを感じてもらうようブロックや曲全体を作り込んでいく必要があります。
AメロをAメロだとわかってもらうための気遣い、サビをサビだとわかってもらうための気遣いを曲に反映させたり、各ブロックごとの要素や構成に対比をつけて、それぞれを明確に差別化していくことで楽曲にストーリーが生まれていきます。
これを踏まえると、作曲においては、それぞれのブロックで、メロディ・ハーモニー・リズムの三要素を用いて違ったことをやるべきで、そうするほどに場面転換が明確になっていきます。
- それぞれのブロックにおいて、メロディ・ハーモニー・リズムの三要素を用いて違ったこと行い、明確に場面転換を演出する
ブロックを次なるものへと発展させて一曲としてまとめていく際に、具体的には以下の通り、いくつかの点について検討され、曲は構成されていきます。
メロディの性質(音符や休符の種類)を変える
メロディの持つリズム的性質を捉える
メロディには、既に述べたように、音の上下に加えて「どんなリズムを持っているか」という側面があります。
それらは「音が伸びているか」「短く切れているか」「畳み掛けるようにつながっているか」、というような観点で分類することができます。
また、メロディに使われている音符や休符の種類を確認することで、メロディの持つリズム的な性質の分類を明確に行っていくこともできます。
例えば、細かく刻んだり、畳み掛けるような雰囲気のあるメロディにおいては、メロディに音価の小さな8分音符や16分音符などが多く使われているはずです。
そのようなメロディでは、短い間隔で次の音が鳴っていくことで、細かいアクセントが生まれ、そこからせわしない雰囲気が感じられます。
それとは反対に、ゆったりとした雰囲気を持つメロディでは、2分音符や4分音符など、音価の大きい音符が多く使われ、相対的に休符の数が多くなります。
【細かく刻むメロディ】
メロディの形 | 「タタタタ・・・」 |
主体となる音符 | 8分音符、16分音符 |
メロディが持つ雰囲気 | せわしない、勢いがある、等 |
【長く伸ばすメロディ】
メロディの形 | 「ターターター・・・」 |
主体となる音符 | 2分音符、4分音符 |
メロディが持つ雰囲気 | ゆったり、落ち着く、等 |
音符や休符の種類、数を変えて、メロディを差別化する
例えば、あるブロックを「細かく刻むメロディ」を中心に据えて作り込んでいた場合、次なるブロックでは、それとは違った性質を持つ「長く伸ばすメロディ」が主体となるように作り込んでいきます。
メロディの持つ性質をブロックによって変えることで、そこから感じられる雰囲気にも違いを持たせ、リスナーに場面転換を提示することができる、という仕組みです。
- 「細かく刻むメロディ」を主体としてブロックが作られている
- そのブロックからは「せわしない」「勢いがある」などの雰囲気が感じられる
- 次なるブロックでは「長く伸ばすメロディ」を主体として作り込む
- それにより次なるブロックでは「ゆったり」「落ち着く」などの雰囲気が生まれる
- それぞれのブロックが持つ雰囲気を差別化できる
- それにより、ブロックが変わったこと(場面転換)を明確に提示できる
上記の流れのように、具体的には、現在のブロックで、メロディに「8分音符」や「16分音符」を多く使っていることを確認できたら、次なるブロックでは、前述したように「2分音符」や「4分音符」など、音価の大きい音符を主体としてメロディを作り込んでいきます。
また、そもそも、前ブロックとは全く違った雰囲気を提示するのか、あるいはあえて同じような雰囲気を提示するのか、というようなことも検討されながらブロックは作られていきます。
アクセントの置き方によっては、同じような音符を主体としながらもメロディの持つ雰囲気を変えることはできますが、根本的に雰囲気を変えたい場合には、明確に違った種類の音符を使う必要があります。
特に、「A → B → C(サビ)型」での「B → C(サビ)サビ」の箇所など「サビへ場面転換した」ということをリスナーへ強烈に印象付けるためにはメロディの性質そのものを変えるべきです。
「細かい音符を多用するBメロ」の後は「音を伸ばすメロディ」によってサビを作ったり、それとは逆に、「音を伸ばすBメロ」があれば、次なるサビでは「音を畳み掛けるようなメロディ」を多く使ったりして、ブロックそれぞれを対比させるように作り込んでいきます。
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