一般的にビートルズといえば、「レットイットビー」や「イエスタデイ」などの当たり障りのない曲を演奏するベテランバンド、というイメージを持たれているはずです。
しかし!実はビートルズほど隠れた名曲を持っているバンドはいないのではないかというほど、まだまだ知られていない良い曲が沢山あるのです。
こちらでは、ビートルズファン歴数十年の私が、中でも「特に知られていない&良い曲」という観点で13曲を厳選してみてみました。
良い曲探索に、是非活用してみて下さい。
前期
Ask Me Why(アスク・ミー・ホワイ)
中学校時代の私が、超お気に入りとして何回も聴いていたのがこの曲。
ファーストアルバム収録曲にして、ビートルズの歴史上もほとんど話題に上がらないほどマイナーな作品ですが、めちゃくちゃ良い曲です。
何がそんなに良いのかなと考えてみたところ、イントロ部分にあるこの曲のリフともいえるフレーズ、「I love you~」部分の直前にあるブレイク、あとはジョンの裏声などにこの曲の良さがあるのだと思います。
シングル曲になってしまうほどのパンチはないけれど味わい深いメロディ、そしてそれを表現する彼らの演奏の力の抜け具合(?)が何より良いのかもしれません。
There’s A Place(ゼアズ・ア・プレイス)
私が、前述した「Ask Me Why」と双璧をなすような存在として捉えているのが、こちらの曲です。
同じくファーストアルバム収録曲ながら世間一般的にはほとんどの人に知られておらず、こういう曲を聴くほどに「もっとみんなビートルズ聴いてほしいなあ」と思ってしまいます。
まずメロディが良いし、あとは「ゼエエエエッ」、というような真似したくなってしまうキャッチーな要素を含んでいたり、あとはやっぱりコーラスも綺麗です。
考えてみるに、ファーストアルバムはオリジナル半分、カバー半分に近いような構成になっていますが、オリジナル曲は軒並み良いですね。
I’ll Be Back(アイル・ビー・バック)
こちらもジョンとポールのハーモニーが綺麗な曲で、個人的には「ビートルズでハモりが良い曲は?」と考える時、ついこの作品を思い浮かべてしまいます。
曲のイントロは「キー=A」でありながらAメロの導入は「Am」という、コード進行的にも興味深い構成持っており、曲分析の題材としても面白いです。
適度にテンポが速く、かつメロディも綺麗で、「オーウオウ、オーウオウ」という真似したくなるボーカルのフレーズもあります。
隠れた名曲と呼ぶにふさわしい魅力を持った曲です。
Baby’s In Black(ベイビーズ・イン・ブラック)
こちらもマイナーな名曲で、こんなに良い曲なのに多分ほとんどの人が知らないと思うとなんだか切なくなってこの一覧に加えてしまいました。
いわゆる「6/8拍子」のロッカバラード的なリズムを持つ曲で、曲の冒頭からジョンとポールがきちんと二声で歌っているところはこの曲の聴きどころともいえる部分です。
また、そのジョンとポールそれぞれが歌うメロディが共に良いため「どちらがメインのメロディか?」と尋ねられたところ、ポールが「両方だよ」と答えた、という逸話もかっこいい。
R&Bに敬意を払っていた彼らは、この手の曲調をやることに誇りを感じていたのかもしれません。
No Reply(ノー・リプライ)
前述の「Baby’s In Black」を含むアルバム「Beatles for Sale」の冒頭を飾る曲。
ビートルズファンには今さら取り立てて言うまでもないほどの名曲として知られていますが、やっぱりこちらも世間的な認知度は低いはずです。
本作以前のデビューからアルバム三枚の期間、ビートルズは本当にアイドルとしてトップを突っ走っていたイメージがありますが、その後にリリースされたこのアルバムで一気にアーティストとして次のレベルに移行しました。
「No reply」は直訳で「返事が無い」、ということで失恋の微妙な思いを歌った歌詞も味わい深いです。
I’ll Follow The Sun(アイル・フォロー・ザ・サン)
こちらもアルバム「Beatles for Sale」収録曲です。
アコースティックギターの音が心地いいポールの佳曲で、のちにポールが生み出すアコギ系名曲に通じる要素が含まれています。
この曲を聴いて「シンプルだ」「地味だ」という感想を持つ人もいそうなほどあっさりした構成を持つ曲で、それゆえに本作が同じアコギの名曲「Yesterday」ほど有名にならなかったのだと思いますが、そのような観点からも隠れた名曲としての素質は十分です。
冒頭にあるアコギによるリフもこの曲のトレードマークで、こういう何気ないアコギイントロもいかにもポールらしいです。
That Means a Lot(ザット・ミーンズ・ア・ロット)
こちらは「ザ・ビートルズ・アンソロジー2」に収録されている幻の曲で、オリジナルアルバムにすら収められていないという点で完全なる隠れた名曲といえそうです。
「ビートルズアンソロジー」にはこのようなアウトテイクを探す楽しさもあり、その中でも「これは良い曲だ」と聴くほどに好きになってしまったのが本作です。
作詞・作曲はポールで、実はこの作品にはいろいろな改良が加えられ、こねくり回した結果お蔵入りとなってしまった、という切ない歴史があります(笑)。
このバージョンできちんと作り込んでいたら、今頃オリジナルアルバムに収録されてみんなに知られる名曲になったのかなあ、と思わず想像してしまいます。
中期
You Won’t See Me(ユー・ウォント・シー・ミー)
ビートルズの曲の中ではポップな部類に入るものだと思いますが、初めて聴いたとき「こんないい曲あるの!?」と驚いたことを覚えています。
コーラスワークが重視されているため、ある意味で初期ビートルズの流れを汲むものといえるかもしれません。
中期ビートルズならではのアーティスティックな感性も含まれており、程よくオシャレです。
シンプルな構成で聴く人によってはさっぱりした曲だという印象をうけるかもしれませんが、良いメロディが詰まっています。
I’m Only Sleeping(アイム・オンリー・スリーピング)
サイケデリックな雰囲気満載の、ジョンの名曲です。
この時期の音源からジョンの声にはフランジャー(エフェクト)が顕著にかかり出しますが、個人的にはこの曲におけるボーカルがその初期的な例だと認識しています。
また、中期ビートルズサウンドの象徴ともいえる「逆回転」のサウンドも堪能できて、「ウーフー」系のコーラスも含め、ちょっと怪しげなサウンドも必聴です。
アコギの音が鋭くて、あまり言及されませんがベースの音も太くてかっこいいです。
Got To Get You Into My Life(ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ)
こちらも一般的にはかなりマイナーな曲ですが、ポールが管楽器を前面に押し出した「ブラスロック」を表現した曲ともいわれています。
そのコンセプトのとおりサウンドは派手で、力強さもあります。
タイトルになっている「Got to Get You into My Life!」というフレーズをポールがバシッと決める部分がかっこよくて、つい真似して歌いたくなってしまいます。
ポールはソロになってから、実際にブラスセクションを従えてこの曲をライブで演奏しています。
Your Mother Should Know(ユア・マザー・シュッド・ノウ)
こちらはポールが生み出した中期~後期の名曲で、ファンの間ではMusicVideoもよく知られています。
ビートルズはもともとロックバンドかつライブバンドであるにも関わらずポールがどんどん毛色の違う曲を導入していったことで音楽的な幅を広げたわけですが、この曲がまさにその「ロックバンドらしくない曲」にあたるものではないかと思っています。
「チャンチャンチャン…」と刻まれるピアノになぜだかジーンとしてしまうこの曲も、ひとつのブロックを繰り返すだけの単純な構成でありながらなぜかじっくりと聴けてしまいます。
考えてみると、ポールはこの時期から積極的にピアノ曲を生み出しているように思えます。
後期
Happiness is a Warm Gun(ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン)
ジョンが作った、ロックでサイケデリックで攻撃的な曲です。
全体的にサウンドは荒々しく、途中では変拍子も入ります。
アルバム「ザ・ビートルズ(ホワイトアルバム)」収録曲のため制作時期としては中期から後期にあたりますが、この手の曲を聴くとビートルズのスタジオワークも板についてきたなあと感じます。
特に、「無難な曲をやるバンド」と思っている人にこそ聴いてほしい曲で、多くの人がイメージするものとは全く違ったビートルズがそこにいます。
Two Of Us(トゥ・オブ・アス)
ファンにとってはレットイットビーのオープニングナンバーとして馴染み深い曲ですが、やっぱりこの作品も世の中にあまり浸透していないはずです。
「アイ・アム・サム」という映画に本作のカバーバージョンが使われたことから、映画好きな方は曲の存在だけご存知かもしれないですね。
牧歌的なアレンジが本作の魅力で、ポールお得意の味わい深いメロディが楽しめます。
ジョンとポールが二声で歌っているところも注目すべきポイントですが、「You and I have…」以降のポールのボーカルがどこか切なげで良いです。
まとめ
ここまでビートルズの隠れた名曲についてご紹介してきました。
他のビートルズ系曲紹介記事との兼ね合いもありましたが、まだまだここで紹介しきれない良い曲が山ほどあります。
世の中に知られている曲は本当に氷山の一角だと思いますので、是非みなさんもアルバムを聴きながら、自分なりの「隠れた名曲」を探してみて下さい。
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