こちらのページでは、ビートルズのロックな曲をご紹介していきます。
私が小学校六年生でビートルズに出会ってから、彼らの音楽を聴きこむほどにいわゆる世間一般的なビートルズのイメージとは違った「ロックでかっこいい曲」が沢山あるんだなあとその都度感動してきました。
作曲の参考にはもちろん、バンド演奏目的でロックなビートルズの曲を探している方なども是非活用していただけるとありがたいです。
※こちらで選んでいる曲はそもそもすべてロックな雰囲気を持っていますが、その中でもさらに「ロック度」という尺度で、曲を分けて掲載しています。
ロック度:☆
While My Guitar Gently Weeps(ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス)
- 作詞作曲:George Harrison
- アルバム:「The Beatles(ホワイトアルバム)」
イントロのピアノが印象的な本作はジョージによる作詞作曲で、ファンの間では「ジョージ三大名曲」の一つとして位置づけられています。
※他二曲は(一般的に)「Here Comes The Sun」と「Something」
マイナー調のもの悲しいロックなサウンドには、ジョンやポールの作る曲とはまた違った味わいがあります。
クラプトンのギター
本作を語る時に避けて通れないのが「クラプトンがリードギターを弾いている」という点です。
実際彼の弾くリードギターは冴え渡っていて、この曲が持つロックな雰囲気を盛り上げるのに大きく貢献しています。
当時険悪なムードだったレコーディングに、ジョージが親友のクラプトンを招きリフレッシュを図った、というのもよく知られた逸話です。
I’ve Got A Feeling(アイヴ・ガッタ・フィーリング)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Let It Be」
ビートルズの歴史において割と軽視されがちな本作ですが、アルバム「Let It Be」の中でもかなりのロックなサウンドを持った作品だと思います。
ポールのボーカルは完全に円熟していて、シャウトあり、朗々と伸びやかに歌う部分ありと無敵状態です。
ギターの音も尖っていて、またエレクトリックピアノがアレンジに厚みを出しています。
ジョンとポールがそれぞれにやりあう
ハイライトといえるのは2分45秒以降、ジョンとポールがそれぞれに別のメロディを歌う部分です。
これにはアルバムのレコーディングスタイルも大きく影響していますが、バンド崩壊寸前だったあの頃にこういうコラボが実現できているのは大きいです。
Revolution(レボリューション)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Past Masters, Volume Two」
軽快なポップスのようなふりをして実は結構攻撃的なのがこちらの曲。
冒頭でジョンが「ギャギャギャギャ…!」と弾くギターの音も、直後のシャウトも、リンゴのドラムも、彼らのコーラスも、すべてがロックでかっこいいです。
髪を伸ばしてラフな格好で演奏を楽しむ彼らには、アイドル時代には無い風格があります。
いくつかの「レボリューション」派生版
本作はもともとゆったりしたテンポを持った曲で、シングル曲としてリリースするためにテンポを速めたり、いろいろな変化を経てこの形となっています。
それにより、元バージョンをアレンジした「レボリューション1」と「レボリューション9」という曲が生まれましたが、このあたりとの違いを聴き比べるのもまたこの曲の楽しみ方のひとつ。
「レボリューション9」における「ナンバーナイン…ナンバーナイン…」という例のリフレインも、実は結構ロックだったりします。
ロック度:☆☆
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band(サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」
やたらと長い名前のアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のタイトル曲として、ポールが意識的に「ロック」を表現したのがこの曲です。
上記は架空のバンド名で、サウンドは重く、ボーカルのメロディラインもブルージー、そしてビッグバンドという想定で途中に管楽器の音も入ります。
このアルバムあたりから、ビートルズは単なるミュージシャンではなく「アーティスト」になっていったように感じます。
ジミヘンカバー版も有名
ビートルズの演奏する「ロック」を肌で感じ取り、ジミ・ヘンドリックスがこの曲を自身のバンドでさらにロックなサウンドとしてカバーしたことも有名です。
また、アルバムのエンディングあたりには本作の再現バージョンである「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)」も収められており、彼らの作品群の中でも重要な曲として位置づけられています。
作詞作曲者であるポールもこの曲を気に入っているようで、ソロになってからも折に触れて披露しています。
Day Tripper(デイ・トリッパー)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Past Masters, Volume Two」
本作のイントロで聴けるフレーズは、おそらくビートルズの曲の中で最もよく知られたギターリフであり、そのような意味からもやはり「ロックな曲」としてこちらを選びました。
とはいえ、この曲になにかドラマチックな展開があるかといわれるとそうでもなく、構成は案外シンプルです。
曲全体を通して上記のギターリフが貫かれていて、いかにも中期ビートルズらしいサウンドだと感じます。
見逃されがちなコーラスワーク
この曲は前述のギターリフがあまりに有名なためどうしても話題がそちらにいってしまいがちですが、実はコーラスワークにも魅力があります。
曲の8割くらいはボーカルが二声になっており、特にブリッジ部分におけるファルセットのハモりは綺麗です。
その「綺麗」からは逆に不気味な感じも受けるのですが、これはタイトルにある「trip」という言葉による影響かもしれません。
Don’t Let Me Down(ドント・レット・ミー・ダウン)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Past Masters, Volume Two」
ジョンが作詞作曲した、ロックバラード的な曲調を持つ作品。
個人的には、ジョンがビートルズキャリアの最後に作り上げた正統派ロックと捉えています。
実質的なビートルズの解散ライブである「ルーフトップコンサート」での演奏シーンも有名です。
「がっかりさせないで」がいまいちわからない
レコーディングの時期的に、アルバム「Let It Be」に収録されていてもおかしくないのですが、なぜか本作はそこから外されてしまっています。
また「I’m in love for the first time」という歌詞があるようにこの曲はラブソングだとされていますが、連呼される「Don’t let me down(がっかりさせないで)」というセリフがどこにつながるのか、何度聴いてもいまいちわかりません(笑)。
ポールが奏でるベースラインもロックですね。
Paperback Writer(ペイパーバック・ライター)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Past Masters, Volume Two」
こちらも中期ビートルズを代表するロック曲で、オリジナルアルバムには未収録ですが時期的には「リバルバー」の頃にあたります。
前述した「デイ・トリッパー」にも通じる「綺麗=不気味」なコーラスワークには、ついついハモってマネしたくなってしまう魅力があります。
また、抜けのいいドラムの音にブンブン唸るベースは本作のロックなサウンドを象徴するものです。
ポールが作り出す歌詞の世界
タイトルにある「ペイパーバック・ライター」とは、海外でいう「大衆向け作家」のこと。
作家志望の主人公が自分自身を売り込む、という歌詞の世界はいかにもポールらしいものだと感じます。
ビートルズがツアーをやめてしまう狭間の時期に作られた曲、としても知られています。
Drive My Car(ドライヴ・マイ・カー)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Rubber Soul」
中期の名盤「Rubber Soul」の冒頭を飾るこの曲もやはりロックなムードに満ちています。
「Baby, you can drive my car」という歌詞はいわば本作におけるサビの一節ですが、この部分のメロディがなんともブルージーで、いつ聴いてもロックだと感じます。
その他全体的にメロディが不穏で、「デビュー当時のアイドルビートルズはどこにいっちゃったの?」と思えるほど大人びていてカッコイイです。
楽器のフレージングがとにかくロック
「Rubber Soul」の一つ前のアルバム「Help!」がまだどこかポップだったことを思うと、リリース当時にファンのみなさんが受けた衝撃は相当なものだったはずです。
この曲はアレンジも秀逸で、有名な「三連のピアノ」はもとより、ギターのイントロフレーズ、歌メロバックで弾かれているギターのカウンターフレーズなど、丁寧に時間を掛けて作り込まれていると感じます。
「beep beep’m beep beep yeah」というファルセットのコーラスは、彼らなりのR&B的表現なのかもしれません。
ロック度:☆☆☆
Hey Bulldog(ヘイ・ブルドッグ)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Yellow Submarine」
おそらくほとんどの人が知らない、めちゃくちゃロックでカッコイイ曲が本作です。
収録されているアルバムも「Yellow Submarine」というマイナーなもので、「ヘイ〇〇」というタイトルからは多くの人が「ヘイ・ジュード」を連想するはずですが、Music Videoの雰囲気も含めロックな曲として是非お勧めしておきたいです。
歌詞の内容は詩的かつサイケデリックで、それがまた本作の魅力になっています。
どんどん怪しくなるアウトロ
タイトルに関連して、曲の音源には犬の鳴き真似が収められています。
これをやっているのはポールらしいのですが、やっぱり何をやらせても器用にこなすなあと感心してしまいます。
それを含むエンディングの部分ではジョンがいきなり高らかに笑いだしたり、音が何層にも重なったりして、怪しさが増していきます。
I Feel Fine(アイ・フィール・ファイン)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Past Masters, Volume One」
こちらもギターリフが有名な曲で、初期ビートルズの持つロックな雰囲気が集約されている曲ともいえそうです。
イントロで確認できる「ビョ~ン!」というギターのノイズは、本来偶発的におきる音響トラブル(ハウリング)をあえて採用した、この曲の代名詞のようなものです。
コーラスワークにもアイドル時代の面影が残っており、まだ中期ビートルズで確認できるような不気味さはないですね(笑)。
ジョージの上手さに気付く曲
往年のビートルズファンの中には、この曲のロックなギターリフに挑戦した人も多いはずですが、演奏してみると思いのほか難しいことがわかります。
これをスタジアムライブなどで涼しい顔をして弾いてしまうジョージを見ると、やっぱり相当レベルが高いんだなと気づかされます。
あと、実はドラムのハイハットも結構細かく刻んでいたりするなど、そのあたりを発見するのも楽しいものです。
Taxman(タックスマン)
- 作詞作曲:George Harrison
- アルバム:「Revolver」
「ビートルズ」「ロック」を考える時にやっぱり外せないのが本作です。
それまでジョンとポールに押されていまいちセンスを発揮できずにいたジョージが、中期の名盤でオープニングナンバーを任されるまでになったことを思うと、感慨深いものがあります。
「Taxman=税金取り」という、社会風刺的な内容を歌詞にしている辺りもロックです。
ギターのサウンドがロック
この曲のイメージを決定付けているのがポールの弾くベースラインと、そこに絡むクランチギターのサウンド。
曲冒頭のギターはコードでいうところの「D7」のサウンドにあたりますが、このセブンスの音が攻撃的で、刺されるような鋭さを持っています。
55秒あたりからボーカルとコーラスの絡みもさらに複雑になって、よりロックな雰囲気が増していきます。
Helter Skelter(ヘルター・スケルター)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「The Beatles(ホワイトアルバム)」
「ポールがハードロックを表現した曲」ともいわれているのがこの曲で、その後に数多くのハードロック系グループが本作をカバーしています。
とはいえ、やはり当時のエフェクト技術もあるのか後続のカバーバージョンに比べると本家の音源はまだ優しい方で、騒がしさが重視されているようにも感じます。
収録されているホワイトアルバムの中でも異質な存在となっており、ポールが個人的にやりたかったことをやった結果こうなったんだろうなあと推測できます。
初期バージョンの方がよりロック?
企画盤の「ザ・ビートルズ・アンソロジー3」には、本作の初期形態であるスローテンポのバージョンが収録されています。
採用された正式版に比べてよりヘビーな雰囲気があり、ある意味ではそちらの方がよりロックなのではないかという見方もされています。
曲の最後でリンゴが叫ぶ「指にまめができちゃった!」というセリフも有名です。
The End(ジ・エンド)
- 作詞作曲:Lennon-McCartney
- アルバム:「Abbey Road」
最後にご紹介するのは、ビートルズのラストアルバム収録曲であり、かつタイトル「The End」のとおり「彼らの活動を締めくくる曲」という位置付けにもなっているこちらの作品です。
アルバム収録曲の流れでは長いメドレーの最後にこの曲が登場し、それまでの曲で一度もやってこなかったメンバー全員による楽器のソロが繰り広げられていきます。
その中でもリンゴのドラムソロは必聴で、これを聴くと「ああビートルズのこれまでのサウンドは、このパワフルなドラムに支えられてきたんだなあ」としみじみしてしまいます。
ギターソロの順番
上記ドラムソロのあと、いわゆる他三人による「ギターバトル」が展開されます。
演奏は「ポール」→「ジョージ」→「ジョン」の順番であるとされていますが、そこで聴くことができるのは、やはりそれぞれの個性が色濃く反映されたロックなソロです。
ポールは聴きたくなるフレーズ、ジョージは玄人っぽいテクニカルなフレーズ、ジョンは「聴けよ!」といわんばかりのアクの強いフレーズをそれぞれに演奏します。
最後の最後にこのようなロックサウンドを持ってくるあたりに、ビートルズの原点を感じます。
まとめ
ここまで、ビートルズの「ロックでかっこいい曲」をご紹介してきました。
正直、このジャンルに分類される曲は他にもまだまだ沢山ありますが、なかでもこちらで挙げている曲は多くの人が「ロック」だと感じるはずです。
中期~後期の作品には現代のロックに通じる革新的な曲が沢山あるので、是非みなさんもアルバムを通してお気に入りの曲を探してみて下さい。
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