ディミニッシュコード 概要と使い方などの解説・パッシングディミニッシュ・セブンス置換

こちらでは、コードの種類のひとつである「ディミニッシュコード」について解説していきます。

また記事後半ではディミニッシュコードの使用方法についてもあわせて取り上げ、ページ最後では動画による解説も行います。

ディミニッシュコードの概要

「ディミニッシュコード」とはコードの種類のひとつで、コード譜などにおいては「〇dim」のように表記されます。

一般的なメジャーコードやマイナーコードとは違う特殊な構成音を持っているところが、その特徴のひとつだといえます。

ディミニッシュコードの構成音と表記

ディミニッシュコードは、もとになる音(ルート音)を一番目の音として、そこから間に2音ずつを挟みながら下から順番に重ねた四つの構成音によって成り立っています。

以下の図は「ド(C)」の音をもとにした「Cディミニッシュコード」の構成音の例です。

「Cディミニッシュコード」の構成音


ディミニッシュコードはこの例のように、例えば「C」をルート音とする場合には「Cdim」のように表記されます。

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ディミニッシュコードの表記にはさまざまな種類があり、例えば「Cdim7」「Cm6(♭5)」のように表されることもあります。こちらでは、ポップス・ロックにおいて一般的な「Cdim」という表記を前提として解説を進めます。

ディミニッシュコードの特徴

上記図を見るとわかる通り、ディミニッシュコードの構成音は1オクターブ十二音の中を三音で四等分するような構造を持ちます。

そのため、例えば「ド」をルートとするディミニッシュコード(Cdim)と「レ#」をルートとするディミニッシュコード(D#dim)はそれぞれ同じ構成音を持つことになります。

この点がディミニッシュコードの最大の特徴で、これは「ド、レ#、ファ#、ラ」の構成音によって四種類のディミニッシュコードを表すことができる、ということを意味します。

【構成音「ド、レ#、ファ#、ラ」】 Cdim=D#dim=F#dim=Adim
加えて、1オクターブ内には十二音しか音が無いため、ディミニッシュコードの構成音のパターンは3種類しかない、ということになります。

このように、構成音をもとに考えるとディミニッシュコードが特殊なコードであるということが理解できるはずです。

ディミニッシュコードの代表的な使用例

以下に、ポップス・ロック等でよく見られるディミニッシュコードの代表的な使用例をご紹介します。

1. パッシングディミニッシュコードとしての使用

まずひとつ目が、「パッシングディミニッシュコード」として使用するやり方です。

これは、文字通りディミニッシュコードを「経過的(パッシング)コード」として使用するもので、具体的には

ベース音が上昇するようにつながる二つのコード間にディミニッシュコードを挿入するやり方

のことを指します。

パッシングディミニッシュコードの具体的な例

例えば「C→Dm」というコード進行があった場合、ベース音は「ド→レ」と上にあがるような形となりますが、パッシングディミニッシュコードとしてこの二つの音の間に存在している「ド#」をルートとした「C#dim」をコード間に挿入することができます(以下例)。

  • 挿入前:「C→Dm」
  • 挿入後:「C→C#dim→Dm」

これによってベースの流れが

「ド」→「ド#」→「レ」

のようになり、半音で上昇するラインが作られます。

また、この例における「C」と「C#dim」のように、パッシングディミニッシュコードとその直前のコードにはいくつかの共通した音があるため、響きがある程度維持されるところも特筆すべき点だといえます。

2. ドミナントセブンスコードの代理としての使用

もうひとつの使用方法は、ドミナントセブンスコードの置き換え(代理)としてディミニッシュコードを使うやり方です。

▼関連ページ ドミナントセブンスとドミナントモーションについて|コード進行を操る重要な働き

そもそも、ひとつのセブンスコード(「〇7」のコード)とそのルート半音上をルート音とするディミニッシュコードは共通した三つの構成音を持っています

その例として、以下に「G7」「G#dim」の構成音を示します。

  • G7の構成音=ソ、シ、レ、ファ
  • G#dimの構成音=ソ#、シ、レ、ファ
上記を見るとわかるとおり、この例では双方のコード構成音において「シ、レ、ファ」の音が共通しています

これはすなわち「それぞれのコードの響きが似ている」ということを意味しており、これを利用して「G#dim」を「G7」の代理コードとして使用することができます

以下は、それを活用したコード進行の例です。

  • 置き換え前:「F→G7→C」
  • 置き換え後:「F→G#dim→C」

ここで実施しているように、

「ドミナントセブンスコードを半音上のルートを持つディミニッシュコードで置き換える」

と覚えると理解しやすいはずです。

パッシングディミニッシュも広い意味でドミナントセブンスの代理

実のところ、既にご紹介した「パッシングディミニッシュ」もこれと同じような解釈ができます

というのも、例えば前述の「C→Dm」という例においては「セカンダリードミナント」として「A7」が連想でき、それを「Dm」の直前に挿入して

「C→A7→Dm」

とアレンジすることができます。

▼関連ページ セカンダリードミナントコード 成り立ちとその表記などをわかりやすく解説します

その上で、同じように

「ドミナントセブンスコードを半音上のルートを持つディミニッシュコードで置き換える」

という定義によって

  • 置き換え前:「C→A7→Dm」
  • 置き換え後:「C→A#dim→Dm」

とディミニッシュコードを使用することができますが、この「A#dim」はページ前半で述べた通り「ラ#、ド#、ミ、ソ」の構成音を持ち、「C#dim」にもなりえるものです。

つまり「A#dim」は「C#dim」でもあることから、

「C→A#dim→Dm」「C→C#dim→Dm

という解釈が成り立ち、

「C#dim」はセカンダリードミナント「A7」をディミニッシュコードで置き換えたもの

とも考えられます。

このことから、広義ではパッシングディミニッシュコードも「ドミナントセブンスを代理したディミニッシュコード」という概念により導かれたもの、と解釈することができます。

動画で解説

文章ではよくわからない!」という方のために、以下の動画でもディミニッシュコードについて解説しています。

是非参考にしてみてください。

まとめ

以下は、ディミニッシュコードの解説まとめです。

  • ディミニッシュコードはルート音から間に二音を挟んで重ねられた四つの構成音によって成り立つ
  • ディミニッシュコードはひとつの構成音の組み合わせで四つのコードを表すことができ、その組み合わせは3パターンしかない
  • 主な使用方法は「パッシングディミニッシュコード」と「ドミナントセブンスコードの代理」

少し取っつきにくい印象を受けるディミニッシュコードですが、上記で述べたような使いどころを基本として、主にコード進行のアクセントとして活用していけると理想的です。

まずは二つの代表的な使用方法を覚えましょう。