ポップス・ロックの作曲において欠かせない「ダイアトニックコード」という概念があります。
こちらのページでは「ダイアトニックコードとはそもそも何なのか?」、そしてそれらをもとにした「コードが持つ機能」について解説していきます。
あわせて、そこに含まれる代表的なコードである「スリーコード」とその活用方法についてもご紹介します。
※ページの最後では「ダイアトニックコードをどう覚えるか?(どう割り出すか?)」という点について解説したページもご紹介しています。
解説のあとにそちらのページを確認いただくと、ダイアトニックコードについてより理解が深まるはずです。
目次
ダイアトニックコードの概要
「ダイアトニックスケール」について
「ダイアトニックコード」は「ダイアトニックスケール」という音の並び方がその名称の元になっています。
「ダイアトニックスケール」とは広い意味で「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のことを指す音楽用語で、「(法則に沿って)1オクターブを七つの音階に分けた状態」を指してそう呼ばれます。
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の並び方である「メジャースケール」や、それを「ラ」からはじめた「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ」の並び方である「マイナースケール」は共に「ダイアトニックスケール」に分類されます。
※「メジャースケール」「マイナースケール」解説ページ
メジャースケールの内容とその覚え方、割り出し方、なぜ必要なのか?について
マイナースケールの解説(ハーモニックマイナー・メロディックマイナーを含む三種について)
一般的に「ダイアトニックコード」という言葉を使う時、その多くは上記メジャースケールをもとにした「メジャーダイアトニックコード」のことを指します。
こちらではそれを前提として解説を進めていきます。
スケールをもとに作られるコードのグループ
「ダイアトニックコード(メジャーダイアトニックコード)」はメジャースケールに含まれる七つの音それぞれを起点として作られた、七つのコードによるグループです。
例えば「キー=C」のダイアトニックコードは、前述の「Cメジャースケール=ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の各音を最低音とした七つのコードによって成り立っています。
コードは「根音=ルート」と呼ばれるそれら最低音から、例えば「ド・ミ・ソ」や「レ・ファ・ラ」というように、低い音からスケールに沿って間に1音を挟みながら、音を重ねて作られます。
以下は「Cダイアトニックコード」に含まれるコードの一覧です。
例:キー=C のダイアトニックコード
コードを成り立たせている音のことを「構成音」などと呼びます。
コードの構成音を見るとわかる通り、それぞれのコードはスケール内の7音それぞれをルートとして、そこから「ド・ミ・ソ」「レ・ファ・ラ」…と音をひとつ飛ばしで重ねて作られています。
「ダイアトニックコード」はスケール内の音しか使われていない
改めて上記の表を見ると、すべてのコードが「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音だけによって成り立っていることがわかります。
スケールに沿って音を重ねているためこれは当然なのですが、言い換えればこれは「メジャースケールから外れた音が無い」ということを意味します。
ポップス・ロックの曲はメジャースケールの音を土台として成り立っており、ダイアトニックコードはそのメジャースケールをコードに置き換えたものです。
すなわち「ダイアトニックコードはあらゆるコード進行を作るうえでの基礎になる」ということです。
そして、当然のことながら「メジャースケールで歌われるメロディ」には「ダイアトニックコード(メジャーダイアトニックコード)」によって作られたコード進行がしっかりと合います。
コードの機能
スリーコード
ダイアトニックコードの中でも、「一番目(I)」「五番目(V)」「四番目(IV)」にあたるコードは特に主要なコードとして「主要三和音=スリーコード」という呼び名で扱われます。
前述の表でいう「C」「G」「F」のコードがそれにあたります。
スリーコード内の三つのコードそれぞれには、その響きをもとにした機能的役割があります。
以下はその一覧です。
- 「I(C)」= 安定(トニック:T) 「落ち着く」
- 「V(G)」= 不安定(ドミナント:D) 「落ち着かない」
- 「IV(F)」= 一時不安(サブドミナント:SD) 「少し落ち着かない」
カデンツ
前述の「安定」「不安定」「一時不安」という三つの響きはコード進行に表情を与える役割を持ち、曲の中でそれらを活用しながら文章でいう「起承転結」のようにストーリーを演出することができます。
この「コード機能によるストーリー」は「安定(トニック)に回帰する」ということを基本として、「カデンツ」という名称によって以下の三種類に整理されています。
※「T」=トニック(安定)、「D」=ドミナント(不安定)、「SD」=サブドミナント(一時不安)
- 「T → D → T」(C → G → C)
- 「T → SD → D → T」(C → F → G → C)
- 「T → SD → T」(C → F → C)
実際には、この三種をさまざまな解釈によってアレンジしていろいろなコード進行へと発展させていきます。
※関連ページ
カデンツ(終止形)の詳細とポップス・ロック作曲への応用
解説のまとめ
ここまで、ダイアトニックコードとその概要、コードの機能、カデンツについて解説してきました。
以下はそのまとめです。
- 「ダイアトニックコード」とは「スケールをもとに作られるコードのグループ」である
- 中でも「I」「V」「IV」は主要な三つのコードとして「スリーコード」と呼ばれる
- コードが持つ機能を活用して、コード進行のストーリーを演出する
既に述べた通り、ダイアトニックコードはコード進行を作るうえでの基本となるものです。
上記をもとに、スリーコードを実際に鳴らしながらそれぞれのコードの響きを体感してみて下さい。
関連ページ
以下のページでは「ダイアトニックコードの覚え方(割り出し方)」について解説しています。
こちらも是非参考にしてみて下さい。
ダイアトニックコードの覚え方(割り出し方)
音楽理論について詳しく知る

PDFのコード表ダウンロードさせて頂きました!便利です!ありがとうございます。
質問なのですが、ルートがマイナーのとき、ダイアトニックはどのようになるのですか?
まだウェブページの全てを読み終えたわけではないので、既述でしたらごめんなさい。
HAL さん
コメントありがとうございます。そしてPDFのファイルも使っていただいているようでありがたいです。
マイナーの場合のダイアトニックコードですが、一覧からVImを確認して、それを「Im」と考えダイアトニックコードの他コードを特定することができます。そちらにも是非ご活用ください。
わたしはダイアトニックコード暗記できない人間なので
アプリ使い始めましたw
https://play.google.com/store/apps/details?id=air.air.com.masareukey.DiatonicChordtoolforFree&hl=ja
暗記できるようになりたい~!!
ながされ星 さん
コメントありがとうございます。暗記しなくてもアプリや紙の一覧で確認しながらやっていくのも全然ありだと思います。何曲もやっていくうちに多分覚えちゃうと思います。