「カノン進行」によって作られている洋楽曲をもとに、そのいろいろなバリエーションを勉強する【全14曲】

定番のコード進行として愛用されている「カノン進行」ですが、既存の曲ではそのアイディアがさまざまな曲調に活用されています。

中でも洋楽には多くのバリエーションがあるため、こちらではそれらをまとめることで、作曲におけるカノン進行の活用方法を探ってみます。

※「カノン進行」の詳細については、以下のページをご確認下さい。
「カノン進行」によるコードのつなげ方と例|定番のコード進行とそのアレンジについて

カノン進行の簡単なおさらい

ここで取り上げる「カノン進行」とは、上記の解説ページでも述べているとおり、以下のような形を持ったコード進行のことを指す言葉です。

C→G→Am→Em→F→C→F→G
これは「キー=C」の例ですが、こちらでご紹介する曲のすべてがなんらかの形でこのコード進行を活用したものとなっています。

カノン進行を活用した洋楽曲(1970年代以前リリース)

「Spicks And Specks(Bee Gees)」


ピアノのサウンドがさわやかな本作は、カノン進行を使った洋楽曲としてよく引き合いに出される曲です。

曲は冒頭からカノン進行そのものをメインテーマとする形で繰り返し、さらに中盤辺りでそれをそのまま転調させてさらに繰り返すような構成となっています。

このように、ただひたすら連続させるだけでも曲として成立してしまうところが、カノン進行の使い勝手の良さだといえるでしょう。

「Pictures Of Lily(The Who)」


こちらの例では、「0分46秒」あたりから明確にカノン進行だと感じられるようなコードの流れが取り入れられています。

ロックらしく、各コードのアクセントを強めに押し出しているところが特徴的で、これはバンドサウンドにおいてカノン進行を活用するためのアイディアとなりそうです。

この曲の様に、カノン進行は完成されたハーモニーを持っているため、コーラスも綺麗に乗せることができます

「All the Young Dudes(David Bowie)」


カノン進行はバラード曲にも程良く似合いますが、こちらの作品における活用方法はまさにその好例といえます。

本作ではカノン進行の前半のコードをそのまま活用し、そこからわずかにアレンジを加える形で少し切ない雰囲気を盛り込んでいます。

このようにカノン進行の前半を残し、後半の展開にひとひねり加えるやり方は作曲の手法としてそのまま流用できそうです。

「No Woman No Cry(Bob Marley & The Wailers)」


個人的に「ああこの曲もカノン進行パターンか」と気づかされたのが本作で、有名な曲すぎてそうは感じられないほどコード進行が曲に馴染んでいます。

こちらもバラード曲における活用例のひとつで、ボブ・マーリーがレゲエ系のシンガーであることからそこに裏打ちのアクセントが付けられています。

全体のリズムも適度にハネており、こちらもこのカノン進行の流れをひたすら繰り返す形で展開していきます。

「Go West(Pet Shop Boys)」


カノン進行は軽快なサウンドにも活用できて、本作はそのひとつの例といえます。

前述した「バラード曲におけるカノン進行」がどこか神聖な雰囲気を生み出していたのに対し、アレンジの仕方によってはこのようにやや能天気なサウンドに作り込むこともできます。

カノン進行の万能性を感じる曲です。

カノン進行を活用した洋楽曲(1980年代リリース)

「Dreamtime(Daryl Hall)」


ZARDの「負けないで」のイントロの元ネタとも言われている本作も、カノン進行を活用した曲として知られています。

このように、いわゆる80年代ロック調のサウンドにもカノン進行は馴染み、規則正しく刻まれるドラムのサウンドに合わせてコードがスムーズに切り替わっていく心地良さがあります。

イントロ、サビなど、本作においてもカノン進行がメインのコードとして扱われています。

「I Should Be So Lucky(Kylie Minogue)」


80年代のヒット曲である本作は、カノン進行のアレンジによって作られた曲として知られています。

これはサビ部分のコード進行を指すもので、実際のコード進行は、カノン進行にあるようなトニックコード(「キー=C」でいう「C」)で始まらず、サブドミナントコード(キー=C」でいう「F」)から始めるような流れをとっています

それでも、コードが強い繋がりを持ってスムーズに切り替わっていく流れからはカノン進行に近い説得力があり、アレンジ型として作曲の参考にできそうです。

カノン進行を活用した洋楽曲(1990年代リリース)

「Cryin’(Aerosmith)」


90年代に入ると、メタルブームの余波、およびオルタナ・グランジロックブーム、ブリットポップブームなどによってまたさまざまなバンドが活躍し始めます。

カノン進行はそれらのバンドサウンドにも柔軟に活用されていきますが、中でもロックバラードにそれを取り入れた例として本作はよく知られています。

ここでは曲の冒頭ブロックと、邦楽におけるサビにあたる部分にカノン進行が使われており、コードを中途半端な形で終わらせるなど、若干のアレンジが加えられています

「Basket Case(Green Day)」


グリーン・デイの代表作におけるカノン進行の使用例も有名で、このようなパンク風のサウンドにも違和感なく溶け込んでしまうところがカノン進行の素晴らしさだといえます。

もちろん、サウンドのフォーマットになっているのはロックであるため、そこにはある程度の個性も盛り込まれています。

バンドで演奏する疾走感のあるオリジナル曲にカノン進行を流用する際、本作がそのサンプルとなるはずです。

「Whatever(Oasis)」


オアシスもカノン進行を愛用していたバンドとして知られており、この楽曲ではそれを土台としつつ、そこにややアレンジを加えてコードの流れをよりシンプルにしています。

カノン進行を語る時にクローズアップされるのがベースの動きで、本作の冒頭ブロックにおける「G→F#→E→D」というベースの順次進行はその象徴的なものです。

彼らのバックグラウンドを考えると、本作のサウンドは中期ビートルズの影響が大きそうですが、このようにミディアムテンポのサウンドでもカノン進行は活用できます。

「Don’t Look Back In Anger(Oasis)」


オアシスの楽曲において、カノン進行を活用した例としてもうひとつ知られているのが本作です。

イギリスではこの曲が「国歌」のような存在になっているらしいですが、そこからもカノン進行の親しみやすさをうかがい知ることができます。

こちらでもカノン進行をアレンジし、中間のコードにひねりをくわえることによってスケール外の音を盛り込んでいます。

「Hook(Blues Traveler)」


日本ではあまり知られていないブルース系のバンド「ブルース・トラベラー」のシングル曲にも、カノン進行が使われています。

本作の骨組みとなっているのは「カントリーロック」とも呼べるようなサウンドで、クリーントーンのエレキギターやカントリー調のコーラスなどにカノン進行の流れが程良く馴染んでいます

ここでも前述した「Don’t Look Back In Anger」と同様に、中間のコードに若干のアレンジが加えられています

カノン進行を活用した洋楽曲(2000年代以降リリース)

「Welcome To The Black Parade(My Chemical Romance)」

[youtube]

2000年代に入ってもカノン進行は健在ですが、コードの響きが文字通りクラシカルな雰囲気を持っているため、そのような「古き良き曲調」を意識した楽曲に多く活用されている印象を受けます。

本作もその例といえるようなサウンドを持っており、方向性は既にご紹介したデヴィッド・ボウイの「All the Young Dudes」などに近いと感じます。

このように、現代の楽曲においても壮大な雰囲気を押し出す際にカノン進行のアイディアがそのまま活用できそうです

「Memories(Maroon 5)」


マルーン5はロックをはじめとしてR&B、AOR、ソウルなどさまざまなジャンルをルーツに持つバンドとして知られていますが、本作は上記で述べたような「古き良き音楽」のムードを意図的に押し出したような作風となっています。

曲を通してカノン進行が何度も繰り返され、コード進行と共にサウンドもシンプルにすることでより素朴な曲調に仕上げられていると感じます。

「シンプルな曲にしたい」というとき、この楽曲にあるようなカノン進行の活用方法が検討できるはずです。

まとめ

ここでまとめたように、洋楽では古くは1960年代から、また最近の曲に至るまでポピュラーソングにカノン進行が長く、そして幅広い曲調に活用されています

もちろんこれら以外にもまだまだ沢山の曲が存在していますが、比較的知られている曲に限定してもこれだけ集められるということから、カノン進行がいかに親しみやすいコード進行かということがよくわかります。

これらを参考にしつつ、是非このカノン進行を作曲に活用してみて下さい。

ボブ・マーリーの「No Woman No Cry」は心にしみます。