ブルースコードの概要とコード進行の例・バリエーション(ジャズブルースなど)

こちらではブルースコードの概要とそれを活用したコード進行の例について解説していきます。

あわせて、記事最後では動画による解説も行います。

ブルースコードの概要

ダイアトニックコード内の「I」「IV」を四和音として表現する場合、通常は「長七度」が付加されメジャーセブンス「IM7」「IVM7」として活用されます。

下記はキー=Cにおける「IM7」「IVM7」と、その構成音を表したものです。

CM7(IM7)=ド、ミ、ソ、シ
FM7(IVM7)=ファ、ラ、ド、ミ

※セブンスコード(四和音コード)解説ページ
セブンスコードの解説 コードに「7度」の音を含む四和音、その成り立ちと詳細について
上記とは別に、ブルースの曲調においてはそれらに「短七度」が付加された「I7」「IV7」を活用することがあります。

下記は同じくキー=Cにおける「I7」「IV7」と、その構成音を表したものです。

C7(I7)=ド、ミ、ソ、シ♭
F7(IV7)=ファ、ラ、ド、ミ♭

「〇7」となることで、それぞれのコードにおいて「シ」「ミ」がフラットしていることがわかります。

これらの音はメジャースケール内における「短七度」「短三度」で、一般的に「ブルースらしい響きを持った音」(=ブルーノート)であるとされています。

ブルースらしい曲調を演出する際にはこれら「I7」「IV7」のコードが頻繁に活用され、それらは通常の「I」「IV」と同じ位置づけで扱われます。

「サウンドにブルースらしい雰囲気を出すため『I』『IV』のそれぞれを『I7』『IV7』にすることができる」と覚えると把握しやすいはずです。

ブルースコードを活用したコード進行の例

最もシンプルなブルースコード進行

既に述べた通り、「I7」「IV7」それぞれのコードは通常の「I」「IV」と同じ位置づけで扱われます

下記はブルースセッションなどで頻繁に活用される12小節のコード構成を表したもの(キー=C)です。

C7 F7 C7 C7
F7 F7 C7 C7
G7 F7 C7 C7

「C(I)」「F(IV)」「G(V)」の三つのコードのみによる12小節の構成であるため、これを「スリーコード・12小節」などと呼びます。

冒頭でご説明した通り「C」「F」のそれぞれは「C7」「F7」として扱われており、それぞれのセブンスの音によってブルージーな雰囲気が生まれていることがわかります。

また、ここにある「G7」はドミナントセブンスという扱いとなりますが、従来のような「G7→C」という流れを取らず、「G7→F7」と進行しているところも特徴の一つです。

ここでの例のように、スリーコード・12小節でブルース進行を作る場合、「スリーコードのすべてを『〇7』とする」という感覚で、「I7」「IV7」は慣例的に使用されます。

ジャズブルースの典型的なブルースコード進行

上記の「スリーコード・12小節」の構成は、ジャズの題材としても頻繁に取り上げられます。

また、多くの場合それらにはなんらかのアレンジが加えられます。

以下はジャズのセッションなどでよく演奏されるブルースコード進行の典型例です。

C7 F7 C7 Gm7,C7
F7 F7 C7 A7
Dm7 G7 C7 C7

ところどころにモダンジャズの代名詞ともいえるツーファイブの構成(「Gm7→C7」や「Dm7→G7」)が組み込まれています。

また8小節目の「A7」はセカンダリードミナントとして機能していることがわかります。

※ツーファイブ解説ページ
ツーファイブとは?(概要と基本的な成り立ち、活用方法、マイナーキーにおける例など)

※セカンダリードミナント解説ページ
セカンダリードミナントコード 成り立ちとその表記などをわかりやすく解説します

ジャズブルースのアレンジ型ブルースコード進行

上記例以外にも、ジャズでは「スリーコード・12小節」の構成に様々なアレンジが加えられ演奏されます。

以下は前述の「典型例」をより複雑にアレンジした例です。

C7 F7 C7 Gm7,C7
F7 F#dim C7 Em7,A7
Dm7 G7 Em7,A7 Dm7,G7

この構成ではさらにツーファイブの部分が増えており、八小節目以降はツーファイブを連結する形となっています。

また、六小節目にあるディミニッシュコード「F#dim」は、直前にある「F7」を発展させた装飾的な意味合いで導入されています。

この構成を土台として、部分的にマイナーセブンスコードを「〇m7-5」の形としたり、コードにテンションの音を付加したりしてアレンジすることもあります。

一般的なコード進行におけるブルースコードの利用

上記のブルース構成以外にも「I7」「IV7」は活用されます。

下記は、一般的なダイアトニックコードの構成の中で「IV7」を活用したコード構成例(キー=C)です。

C → Am → F7 → G7
(I → VIm → IV7 → V7)

実際に音を聴くことで、「F7(IV7)」が持つブルージーな響きを体感できるはずです。

この例においても、あくまで「F7(IV7)」は通常の「IV」と同じくサブドミナントの機能を持つコードとして使用されます。

「ブルース的な雰囲気を出す」という意図から、装飾的に「〇7」の形が導入されています。

動画で解説

文章ではよくわからない!」という方のために、下記動画でもブルースコードについて、実演を交え解説しています。

是非参考にしてみてください。

まとめ

ここまで、ブルースコードの概要とそれを活用したコード進行の例について解説してきました。

以下はそのまとめです。

  • 「I」「IV」を「I7」「IV7」として利用することができる
  • 上記それぞれのコードには「ブルースっぽい音」が含まれるので、それらを使用することでブルージーな雰囲気を出すことができる
  • 「スリーコード・12小節」の構成ではすべてのコードをセブンスとする
  • ジャズではさまざまなアレンジによって「スリーコード・12小節」の構成が演奏される
  • 一般的なコード構成でも「I7」「IV7」を使用することで部分的にブルース的な雰囲気を盛り込むことができる

ご紹介した通りブルースコードはジャズによく登場しますが、ロックな雰囲気を持った曲におけるコード進行のアクセントとしても重宝するはずです。

気軽に活用しながら、その響きを体感してみて下さい。

スリーコード・12小節はコード進行の定番です。

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