ツーファイブとは?(概要と基本的な成り立ち、活用方法、マイナーキーにおける例など)

作曲やジャズの演奏などでよく耳にする「ツーファイブ」とは、ある特定のコードの流れを指す音楽用語です。

このツーファイブは、数多くあるコード進行の中でも結びつきの強い形として広く親しまれています。

こちらのページではその「ツーファイブ」の詳細や、それが作曲や演奏の中でどのように活用されているか、という点について解説していきます。

ツーファイブの概要

前提となるダイアトニックコードの知識

ツーファイブを理解するうえで前提となるのが「ダイアトニックコード」の知識です。

※「ダイアトニックコード」解説ページ
ダイアトニックコードとスリーコード(成り立ちとコードの役割などについて)

上記ページでもご説明している通り、ダイアトニックコードとはスケール上に作られたコードのグループのことです。

ポップス・ロックの作曲においては、音使いの土台となる「メジャースケール」「マイナースケール」という存在があり、それらの音を活用して「メジャーダイアトニックコード」「マイナーダイアトニックコード」が作られます。

今回題材としている「ツーファイブ」とは、このダイアトニックコードにおける「二番目→五番目(II→V)」というコードの流れを指すものです。

「機能的な必然性」と「強進行」をあわせ持つ

以下は例として、「Cダイアトニックコード(四和音)」にある七つのコードと、それを活用したツーファイブの形を示したものです。

CM7,Dm7,Em7,FM7,G7,Am7,Bm7-5

[IM7,IIm7,IIIm7,IVM7,V7,VIm7,VIIm7-5]

Dm7→G7(IIm7→V7)

この「II→V」というコードの動きは、「サブドミナント→ドミナント」という自然な機能の流れを持っています。

さらには、上記「Dm7→G7」でルート音が「レ→ソ」という流れを作っているように、スケール内の「II→V」という音の流れは「強進行(強い音の進み方)」にあたるものです。

すなわち、ツーファイブの流れは「機能的な必然性」と「強進行」をあわせ持つものである、ということです。

このような理由から、この「ツーファイブ」はコード進行の象徴のようなものとして扱われ、お互いに強い結びつきを持つものとして様々な場面で活用されます。

ツーファイブワン

ツーファイブにある「V7」は、通常ドミナントセブンスとしてトニック(I)につながるもの(V7→I)です。

そのため、ツーファイブのあとにトニックを配置した「IIm7→V7→IM7」の形も、「ツーファイブワン」という名称としてその延長に存在しています。

この「ツーファイブワン」は「サブドミナント→ドミナント→トニック」という機能の流れを網羅し、それら三種の機能的なつながりを端的に表したものとしても広く知られています。

四和音・三和音いずれもツーファイブと認識される

ツーファイブを語る時には、上記の通りコードに7度の音が頻繁に付加されます。

これは、響きを豊かにしたり、それぞれのコードが持つ機能を明確にして結びつきを強めたりする、といういくつかの理由によるものです。

特にジャズなどで「ツーファイブ」といえば、この四和音の形(IIm7→V7)を指すことがほとんどですが、もちろん三和音の形(IIm→V)も「ツーファイブ」として扱うことができます。

さらには両者をミックスして、例えば以下のように片方のコードのみを四和音とした形も一般的に「ツーファイブ」として認識されます。

  • Dm→G7(IIm→V7)
  • Dm7→G(IIm7→V)

上記を踏まえ、こちらでは一般的な四和音の「IIm7→V7」を活用して解説を進めていきます。

マイナーキーのツーファイブ

既にご紹介した「Dm7→G7(IIm7→V7)」という例は「キー=C」というメジャーキーを前提としたものでしたが、マイナーキーでもツーファイブを作ることができます

以下は「Aマイナーダイアトニックコード」にある七つのコードと、それを活用したツーファイブの例です。

Am7,Bm7-5,CM7,Dm7,Em7,FM7,G7

[Im7,IIm7-5,IIIM7,IVm7,Vm7,VIM7,VII7]

Bm7-5→E7(IIm7-5→V7)

こちらでもメジャーキーと同じく「二番目→五番目」というコードの流れによりツーファイブが作られています。

また、五番目のコードがダイアトニックコード内では「Em7(Vm7)」でありながらツーファイブで「E7(V7)」となっているのは、ドミナントセブンスとしての機能を明確にさせるためです。

詳しい解説はこちらでは割愛しますが、そもそもツーファイブが「サブドミナント→ドミナント」という機能の流れを含むもの(=そこからトニックへの流れを前提とするもの)であるため、五番目のコードにはこのように「V7」が活用されます。

※関連ページ
マイナースケール(ハーモニックマイナー・メロディックマイナーを含む三種の解説)

「IIm7」が「IIm7-5」となる

マイナーキーのツーファイブを考えるうえでポイントとなるのは「IIm7-5」という存在です。

メジャーキーでは「IIm7」だったものがマイナーキーでは「IIm7-5」となり、「IIm7-5→V7」という形でツーファイブが作られます。

これを前述の「ツーファイブワン」で表せば「IIm7-5→V7→Im」という形となり、言い方を変えればこれは「マイナーにつながるツーファイブは『IIm7-5→V7』になる」ということを意味します。

ツーファイブの活用方法

セットで扱われる

ツーファイブ(IIm7→V7)にある二つのコードは既に述べた通り強い結びつきを持っているため、コード進行の中では頻繁にセットで扱われます

具体的には、「『V7』の前には『IIm7』があってもいいよね」という論理のもとに、「V7」の前に「IIm7」を挿入する形でこのツーファイブを活用します。

以下は、「キー=C」における「G7(V7)」の前に「Dm7(IIm7)」を挿入した例です。

挿入前:C → Am → G7[I → VIm → V7]
挿入後:C → Am → Dm7-G7[I → VIm → IIm7-V7]
ここでは「G7(V7)」を分割するようにツーファイブが活用されています。

このようなアイディアはリハーモナイズの一種として頻繁に活用されます。

※リハーモナイズ解説ページ
リハーモナイズの解説|概要と考え方、やり方や実例などを詳しく説明します

その他コードへの活用

上記アイディアはドミナントセブンスとしての機能を持つコードすべてに流用できます

以下は同じく「キー=C」において、セカンダリードミナントコードを含む構成にツーファイブを適用した例です。

挿入前:C → E7 → Am[I → III7 → VIm]
挿入後:C → Bm7-5 → E7 → Am[I → VIIm7-5 → III7 → VIm]
この例では、セカンダリードミナントコード「E7」とその後のコード「Am」を「V7→Im(E7→Am)」と見立てて、「ツーファイブワン」の形となるよう直前に「Bm7-5(VIIm7-5)」を挿入しています。

前述の「Aマイナーダイアトニックコード」の例でご説明した通り、「V7→Im(ファイブワン)」がマイナーに着地していることから、ここでは「IIm7-5」が活用されているところがポイントです。

このように、ツーファイブの向かい先が「メジャー」「マイナー」のいずれかによって、「ツー(II)」にあたる部分を「IIm7」とするか「IIm7-5」とするかが変わります

※また上記はあくまで基本的な例で、マイナーに着地するツーファイブの構成で「IIm7」が活用される例もあります。

まとめ

ここまでツーファイブの概要と活用例について解説してきました。

まとめは以下の通りです。

  • 「ツーファイブ」とは、このダイアトニックコードにおける「二番目→五番目(II→V)」というコードの流れを指すもの
  • ツーファイブの流れは「機能的な必然性」と「強進行」をあわせ持つ
  • マイナーにつながるツーファイブは『IIm7-5→V7』になる
  • ツーファイブはセットとして、「V7」の直前に「IIm7またはIIm7-5」を挿入するように活用される

ご説明した通り、ツーファイブは「サブドミナント→ドミナント」というコードのスムーズな流れを表現するのに欠かせない概念です。

また、ドミナントセブンスをツーファイブに発展させることにより、コードの響きをより豊かにすることもできます。

いろいろな曲のコードにも数多くの「ツーファイブ」が含まれているため、曲分析を通してその使いどころを確認してみて下さい

ツーファイブによってコード進行を複雑にしていくことができます。