こちらのページでは、コードの種類のひとつである「セブンスコード」について、その成り立ちや意味などを詳しく解説していきます。
通常の三和音のコードに文字通り「7度」=「セブンス」を付加するセブンスコードは、響きがより複雑になるため少しおしゃれなサウンドを演出したり、R&Bなどの都会的な曲調を表現するのに重宝します。
簡単に導入できるコードなので、これ以降の解説を参考に是非作曲に活用してみて下さい。
※記事最後には動画による解説も行います。
目次
コードの基本についておさらい
セブンスコードの解説の前に、まずコードの基本的な成り立ちについて簡単におさらいしておきましょう。
コードの基本は三和音
一般的に「コード(和音)」は三つ以上の音の集まりのことを指します。
コードには基礎の音となる「1度(ルート)」の音と、そこから数えた「3度」「5度」にあたる音が含まれ、これら「1度」「3度」「5度」によって三つの音を使ったコード=「三和音」が形成されます。
ダイアトニックコードについて
ポップス・ロックにおいて、基本的にコードには「メジャースケール」(「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の並び方)の上に成り立つ「ダイアトニックコード」が活用されます。
※ダイアトニックコード解説ページ
ダイアトニックコードとスリーコード(成り立ちとコードの役割などについて)
ダイアトニックコード内のそれぞれのコードは、メジャースケールの各音を起点(1度)として、そこからスケールに沿って「3度」と「5度」を重ねることで作られます。
以下は、「Cメジャースケール」をもとにした「Cダイアトニックコード」に含まれる「C(I)」と「Dm(IIm)」の構成音を示した図です。
「C(I)」の構成音
- ド(1度)、ミ(3度)、ソ(5度)
「Dm(IIm)」の構成音

- レ(1度)、ファ(3度)、ラ(5度)
それぞれ、起点となる音(「ド」「レ」)に対して「3度」「5度」に当たる音が重ねられ三和音が出来上がっています。
※コードに関する基本的な内容については、以下のページにて詳しく解説しています。
【コード(和音)とは?】 音楽で扱われている「コード」はどのように成り立っているか?を考える
セブンスコードの概要
上記で解説した三和音のコードは構成音が三つしかないため響きがシンプルで、それにより三和音のみを使ったコード進行は曲調によって雰囲気がやや単調だと感じてしまうことがあります。
そのような場合に、コードの構成音をより多彩にする「セブンスコード」の活用を検討することができます。
コードの構成音を増やす
「セブンスコード」は冒頭で述べた通り、三和音に「7度」にあたる音が付加されたコードです。
「1度」「3度」「5度」「7度」の四つの構成音を持つことから「四和音」とも呼ばれます。
以下はセブンスコードの一つである「G7」の構成音を示したものです。
例:「G7」の構成音
- ソ(1度)、シ(3度)、レ(5度)、ファ(7度)
ダイアトニックコードの四和音
ダイアトニックコードにおけるセブンスコードは、前述の「3度」「5度」と同じように、さらに「7度」の音を付加する形で作られます。
以下は、前述の三和音コード「C」「Dm」に、さらにスケールに沿って7度の音を付加した図です。
「C(I)」に7度の音を付加した例(「CM7」)
- ド(1度)、ミ(3度)、ソ(5度)、シ(7度)
「Dm(IIm)」に7度の音を付加した例(「Dm7」)

- レ(1度)、ファ(3度)、ラ(5度)、ド(7度)
二種類のセブンスコード
前述の「CM7」は「C」に「M7」が付加されたもの、「Dm7」は「Dm」に「7」が付加されたものです。
このように、ひと口に「セブンスコード」と言ってもコードに対して「7」が付く場合と「M7」が付く場合の二つのケースが存在します。
「7度」には二種類ある
以下の図は、既にご紹介した「CM7」「Dm7」の鍵盤の配置を横一列に並べて表記したものです。
それぞれのコードは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」というスケールに沿って「ド・ミ・ソ・シ」「レ・ファ・ラ・ド」と単に音を重ねているだけです。
それなのに、構成音の「1度」から「7度」までの長さには、それぞれで以下のように違いが生まれていることがわかります。
同じ「7度」でも、スケール内の音の配置によってこのように「1度」との間にある音の数が「10音」になる場合と「9音」になる場合があるのです。
これが前述した「セブンスコードは『M7』と『7』の二つのケースに分れる」ということの理由です。
すなわち「7度」には二種類の音が存在し、それぞれは以下の条件によって「長7度(ちょうななど)」「短7度(たんななど)」に分類されます。
- 「1度」~「7度」の間に10音の隔たりがあるもの=「長7度」
- 「1度」~「7度」の間に9音の隔たりがあるもの=「短7度」
前述の例「CM7」は、「C」というコードに「長7度」が付加されている、ということを表しています。
ダイアトニックコードにおける「7度」は「長・短」が決まっている
もちろんここでの例における「C(I)」に「短7度(7)」を付加した「C7(I7)」というコードも存在します。
その場合には「短7度=スケールに無い音」が付加されることになるため、「C7(I7)」というコードはダイアトニックコードに無いコード(=ノンダイアトニックコード)として扱われます。
他六つのコードにも同じことが言えて、これは「ダイアトニックコードとしてその四和音を使用したい場合『長7度』『短7度』のどちらを付加するべきかが決まっている」ということを意味します。
ダイアトニックコード内の各コードを四和音にした一覧
これまでを踏まえダイアトニックコード内の各コードを四和音として表記したものが下記一覧です。
ダイアトニックコードの四和音での表記:キー=Cでの例
IM7 | IIm7 | IIIm7 | IVM7 | V7 | VIm7 | VIIm7-5 |
CM7 | Dm7 | Em7 | FM7 | G7 | Am7 | Bm7-5 |
動画で解説
「文章ではよくわからない!」という方のために下記動画でもセブンスコードについて解説しています。
是非参考にしてみてください。
まとめ
下記はセブンスコードのまとめです。
- 基本となる三和音に7度の音を付加して四和音とすることができる
- セブンスには「短7度」「長7度」の二種類がある
セブンスコードを活用することによってコードそのものが持つ響きを華やかにすることができるため、特にジャズやR&Bなどの都会的なサウンドを目指す際には是非このアイディアを活用してみて下さい。
次の記事ではセブンスコードの先にある概念である「テンションコード」について解説しています。
テンションコード|概要とコード表記、コード進行例などの解説
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