こちらのページでは、先日購入したトラベルギターの定番「マーチン バックパッカー」の操作性や品質・サウンドなどについてレビューしていきます。
ギター歴25年以上、これまでギブソン・マーチン・テイラー・ヤマハなどさまざまなアコギを弾いてきた私が「やっぱりバックパッカーかなあ」と結局選んでしまった、その理由もお伝えします。
是非比較検討の材料にしてみて下さい。
外観について
以下がこの度購入したバックパッカーの全体像です。
各部の詳細は以下の通りです。
ボディ
まずバックパッカーといえばこのボディ形状と薄さかなと思います。
アコギでありながらこれだけ薄く作られているというのは、取り回しや持ち運びを考えるとありがたいです。
また、特徴的なボディの形については昔から賛否ありますが、やっぱりインパクトは大きいですね。
演奏感やボディバランスについては後述します。
木材
木材のつまり具合や質感については、マーチン製ということでやはりきちんとしている印象です。
今回トラベルギター購入にあたりいろいろなギターを試奏しましたが、特にこの部分が一番の違いでした。
トップの木材は「ソリッドスプルース」ということでスプルースの単板なのですが、木目が綺麗で塗装や仕上げなどにも高級感があります。
本来ミニギターに鳴りを期待するのはお門違いですが、このトップのおかげで演奏の時も木がしっかりと鳴ってくれます。
※手頃な値段のギターは、個人的に安価な木材と塗装のベタ塗り感によって木目が覆われてしまっているような印象を受けます…。
以下はバックの画像です。
バックは「ソリッドトーンウッド」となっており、こちらも単板です。
木目が綺麗でボディ角の丸みも綺麗です。
ペグ
ペグはマーチンのロゴが入ったもので、詳細はわかりませんがゴトー系ペグの質感です。
私自身、年々チューニングに対してシビアになってきていますが、このあたりの安定感はやはり演奏していて安心できます。
回転もスムーズでストレスも無いです。
ブリッジ
ブリッジは昔ながらのピン仕様です。
サドルが微妙に波打っていて、サウンドへのこだわりが感じられます。
トップやバックと同じくブリッジそのものもしっかりと作り込まれており、演奏している時にブリッジが変に振動してしまうようなことが無く安心できます。
ネック・指板
指板の材質は「リッチライト」というもので、耳馴染みが無い名前なので調べてみたところ天然木材ではなく近年開発された人工の素材とのこと。
見た目はエボニーのように深い色合いをしています。
演奏感は後述しますが、適度な硬さがあって個人的にも良い印象を持ちました。
ギブソン等の高級ギターにも最近多く使用されている素材のようで、ファンも多いと感じます。
ネックもきちんと作られており、ボディ近くにはストラップ用のピンが付けられています。
サウンドホール
サウンドホールまわりは通常のアコギ的な作りとそこまで大差ないですが、それでもホールの角部分などはやはり丁寧に作られている印象です。
中にマーチンのステッカーが貼られています。
操作性・演奏感など
ネックの握りについて
まずネックを握った感じですが、正直若干太いです。
これは私が普段エレキを弾きなれていて、かつアコギもテイラー製のギターを弾いているからでもありますが、持ち替えた時にぼってりした感覚があります。
試奏の時に上記のような外観から入って、いざ握ってみるとこの感じだったため、ちょっと「あれ?」と思ってしまったのも確かです。
このあたりは人によっても違うかと思います。そこまでこだわりが無い人にとっては「よくあるアコギのネックの握り」というものでもありそうです。
ボディバランスや弾きやすさについて
前述した通りマーチンのバックパッカーといえばこのボディ形状が一番の特徴で、これを指して「弾きづらい」や「抱えた時のバランスが悪い」などと、ネガティブな意見がいくつか挙げられています。
では実際その操作性はどうかというと…やはり「普通のアコギのようにはいかない」というところはあるかなと思います。
反面でこの辺りは「ミニギター(トラベルギター)」というギターの特性によるところが大きいと思っていて、ボディバランスについては試奏した他のミニギターもあまり大差ありませんでした。
ボディを小さく薄くするほどに抱えた時のバランスは崩れますし、ボディの表面積も狭くなって通常のアコギのように弾くことができなくなるのは避けられないんだなと痛感しました。
ボディ形状の操作性への影響
バックパッカー特有のこのボディ形状ですが、ではこの形が演奏にどう影響するかといえば、まずサウンドホールのまわりに余白がないのでここに指を置くようなプレイができません。
わずかなスペースはありますが、よくフィンガーピッキングなどでやる小指を置くようなプレイをするほどの広さは無いと感じます。
また、通常あぐらをかいて座りながらギターを弾くような時にはギターのボディを右ももの上に乗せるような形になりますが、バックパッカーではその感覚が変わります。
というのも、この形状によっていわゆるアコギ全般にある「くびれ」が無くなっているので、結果としてサウンドホールがすごく下の方に位置することになるのです。
この演奏感が普通のアコギに慣れている人ほど不思議だと感じるはずです。
このような理由から、後程ご紹介する動画で弾かれているようにストラップをつけるスタイルがこのギターをしっかり弾くときの基本になるのかなと思います。
演奏感やサウンドについて
演奏の具合やサウンドについては、斎藤誠さんが演奏している以下の動画を確認いただくとよくわかるかと思います。
この動画のとおり、(弾き手の演奏が上手いというのももちろんありますが)サウンドはミニギター的に小さくまとまっているわけではなくてそれなりに広がりがあると感じられます。
特にマーチンを弾いた経験がある人からすると、バックパッカーの音を聴いて「あ、マーチンの音だ」という感想を第一に持つはずです。
それくらいマーチンらしいサウンドを持っていると感じます。
ストロークでかき鳴らすも良し、フィンガーピッキング的に静かな演奏をするも良し、というマーチンならではの万能なギターです。
前述の「リッチライト」の指板についても違和感はなく、個人的にはテイラーのアコギで弾いているエボニーの指板と同じような感覚で弾けています。
またサウンドに奥行については、やはりミニギターであるため通常のアコギ程のダイナミクスはないのですが、それがまたウクレレ的な手軽さも生んでいるように思います。
このギターに決めた理由
ここまで述べたように、いろいろな点をチェックしつつ私は最終的にこのギターに決めたわけですが、主にその理由となったのは以下の点です。
- 木材やパーツなど、ギター本体の作りが丁寧
- 音が良い
- せっかく買うんだからやっぱりマーチンを…という安心感
上記三点は「他のミニギターと比較した場合に」という前提によるものです。
現在いくつかのトラベルギター(ミニギター)が出回っていて、試奏した感覚も含めどれも確かに一長一短あります。
それでも、やはり決め手となったのはバックパッカーの安心感かなと思います。
ネックが多少ぼってりしいても、若干弾きづらさがあっても、やっぱり自分は作りが丁寧で音が良くて安心できるメーカーのものを選ぶんだなあと客観的に振り返っています。
あれから何度か家の外に持ち出して弾いてきていますが、操作性や演奏感にも変わらず満足しています。
まとめ
マーチン「バックパッカー」の操作性や品質・サウンドなどについてここまで解説してきました。
最後に、上記では触れていない点として、やはりこのサイズと軽さは持ち運びの面でとても便利だと感じます。
そういう意味でも、やっぱりバックパッカーがトラベルギターの代表格なのかなという気がします。
ここまで述べてきた内容は私の個人的な感想ですが、是非検討の材料にしてもらえるとありがたいです!
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