こちらのページでは、「Aメロ」「Bメロ」「サビ」などのブロック冒頭の印象を左右する「メロディの始め方」という概念について解説していきます。
簡単に実施できて効果の高い手法であるため、是非活用してみて下さい。
目次
メロディの始め方パターン
ブロック冒頭のメロディをどのように始めるかによって、そのブロックがリスナーに与える印象は大きく変わります。
具体的には三種類ある始め方のうちからどれを選択するべきか、という配慮が必要になりますが、以下はその概要です。
- ブロックの冒頭と同時に始める
- ブロックの冒頭より前から始める
- ブロックの冒頭より後から始める
これ以降、それぞれについてより詳しく解説していきます。
メロディの始め方(1)ブロックの冒頭と同時に始める
ブロック冒頭におけるメロディの始め方として最も標準的に利用されているのが「ブロックの冒頭と同時に始めるメロディ」です。
これを表したのが下記の図です。
図にある通り、ブロック冒頭にある小節の頭と同時にメロディが始められています。
有名な曲の例では、SMAPの「世界に一つだけの花」のサビのメロディなどがこの形にあたります。
この「同時」の形は、ブロック冒頭の小節と同じアクセントでメロディが始められるためメロディの勢いに違和感がなく、すんなりと聴き入れてもらえるという特徴を持っています。
メロディの始め方(2)ブロックの冒頭より前から始める
二つ目は、勢いを持ったメロディを演出する際などに活用される「ブロックの冒頭より前から始めるメロディ」です。
これを図で表すと下記のような形となります。
ブロックの冒頭の小節頭をまたぐような形でメロディが始められていることがわかります。
有名な曲の例では、サザンオールスターズの「TSUNAMI」のサビのメロディなどがこの形にあたります。
この形のメロディは、メロディだけがそのブロックを先取りしているような雰囲気を生み出す特徴を持っています。
そのためリズム的なアクセントがメロディ側に生まれ、メロディそのものに勢いがついているように聴こえます。
このTSUNAMIの例のように、サビのメロディに勢いを付けたい場合などによく活用されます。
メロディの始め方(3)ブロックの冒頭より後から始める
三つ目は落ち着いた雰囲気を生み出す「ブロックの冒頭より後から始めるメロディ」です。
この形を表したものが下記の図です。
図を見るとわかるように、ブロックの冒頭から少し空白をあけて、その後にメロディが始まっています。
有名な曲の例では、「上を向いて歩こう」のAメロのメロディなどがこの形にあたります。
ブロックの冒頭より後からメロディが始まることによって、そこにわずかな空白が生まれますが、それがアクセントとなりメロディがどっしりとしたものに聴こえるところがこの形の特徴です。
「上を向いて歩こう」のように、曲の導入部分などで少し落ち着いた雰囲気を演出したい場合などによく活用されます。
「メロディの始め方」の曲構成への活用
三つそれぞれの性質を把握して、求める雰囲気に合わせ配置する
既にお伝えした通り三種の始め方のそれぞれに聴覚上の特徴があり、それに見合った場所に適用することでそれぞれをより効果的に活用することができます。
具体的には、下記のようなアイディアが検討できます。
- 「前から」の形はメロディに勢いが生まれるためサビに活用する
- 「後から」の形は落ち着いた雰囲気が生まれるため導入部分のブロックに活用する
- サビを落ち着いた雰囲気にしたいので「後から」の形でメロディを始める
- Aメロはすんなりと曲に向き合って欲しいので「同時」の形でメロディを始める
ポイントとなるのは、曲の中でどのような雰囲気を演出したいかをあらかじめ決めておき、それを実現できるようなメロディの始め方を採用するということです。
三種の始め方をバランスよく配置する、またはあえて偏らせる
一般的に曲にはいくつかのブロックが存在することになりますが、それぞれのブロックに対して三種の始め方をどのように割り振るか、という観点も重要です。
例えば「Aメロは同時」「Bメロは後から」「サビは前から」というような形で、三種をバランスよく割り振ることが検討できます。
これらを考慮することですべてのブロック冒頭におけるメロディの印象が変わるため、それぞれが差別化され、リスナーに対して場面転換を明確に提示することができるようになります。
また、その反面で「すべてのブロックを『同時』の始め方で作り込む」というようなこともできます。
その際には各ブロックの冒頭におけるメロディの雰囲気がすべて似たようなものになってしまうため、その他の要素によって差別化を図るのが望ましいでしょう。
まとめ
ここまでブロック冒頭におけるメロディの始め方について解説しました。
この概念は「三種類の中からどれかを選ぶ」という意味で、比較的簡単に曲作りに導入することができるはずです。
単純なことでありながら案外大きな効果をもたらすため、曲作りをする際には必ずこの点について検討することを心掛けて下さい。
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