作曲におけるメロディの作り方 リズム、使うべき音、音の進め方を意識することがポイント

こちらのページでは、作曲におけるメロディの作り方(考え方)について解説していきます。

ポイントとなるのは

  • リズムを意識する(音を刻むか、伸ばすか)
  • 使うべき音を意識する(どんな音を使うか)
  • 音の進め方を意識する(音階を順番に上下させるか、跳躍させるか)

などです。

導入:メロディは本来「歌うように作るもの」

ポップス・ロック等の「ボーカルメロディ」がある曲を前提とすると、そもそもメロディは基本的に歌って作ります

▼関連ページ 歌もの(ボーカルメロディのある曲)を作曲するためのコツ|歌いやすい、歌いたくなる曲を作るためには?

これは

  • 歌っても無理がない
  • 歌いたくなる

などの要素がメロディに求められるからで、歌いながら作ることによってそれらを確認することができます

こちらのページテーマとしている「メロディの作り方」を考えるにあたり、まず初めに考慮すべきはこの点です。

これについて、先日以下のようなツイートをしています。

ポップス・ロックにおけるメロディ作りの最終形は「スラスラと歌うように」です。音階やリズムを意識して楽器や画面であれこれ音を組み換えてメロディを作ってるうちはまだ人工的で、それを自然に歌って作れるようになると、ようやくメロディに説得力が生まれてきます。追求すべきはそこ=説得力です。

上記でも述べているように、本来ポップス・ロック等におけるメロディは音をひとつずつ組み立てて人工的に作るものではなく、自然な音の流れを感じながら歌うように作るべきものです。

この

「メロディを考える=自由に歌う」

というイメージを持つことが、メロディ作りを成功させるための鍵となります。

実用的なメロディの作り方(実際にこんなことを考えながらメロディを歌っている)

メロディを作る=自由に歌う際に、頭の中では主に以下に挙げる三つのことを考えながらアイディアを膨らませていきます。

  • 音を刻むか/伸ばすか
  • キーとスケールへの意識
  • 順次進行か/跳躍進行か

これらは、そのまま「メロディの作り方」につながるものです。

それぞれについて、これ以降で詳しく解説します。

1. 音を刻むか、伸ばすか

メロディには「リズム」という側面があり、これらは平たくいえば

  • 「タタタ…」と刻むか
  • 「ターー…」と伸ばすか

を意味するものです。

「さあメロディを作ろう」と考え音をつなげるとき、

「タタタタ~」

のように音を刻んでメロディを組み立てるか、または

「タ~~タ~~タ~」

音を伸ばすようにメロディを組み立てるかを考えます。

また、これらを複合させて

「タタタ~~~タ~~」

のように、「前半を刻んで後半を伸ばす」というような形にすることもできます。

既存曲での例

以下は、上記で挙げた「刻む/伸ばす」という観点を確認できる楽曲例、「おどるポンポコリン」です。

この曲の歌い出し部分にある

なんでもかんでも…

というメロディは、リズムによって紐解くと

タタタタタタタタ…

という形になっていることがわかります。

これは、既に述べた「音を刻むメロディ」に相当するものです。

反面で、サビ冒頭にある

ピーヒャラピーヒャラ・パッパパラパ

とうメロディは

タータタタータタ・タッタタタタ

という形のリズムになっており、ここでは「ター」と伸びる音と、歯切れよく跳ねるような音が組み合わされています

「刻む/伸ばす感じで…」という意識を持って歌う

ここで述べている「リズム」の観点をメロディ作りに反映させることは、より具体的には、

「刻む感じで…」/「伸ばす感じで…」というような意識を持ってメロディを作る

ということだといえます。

ここには曲の持つテンポや拍子も関係しますが、大まかにメロディはこのような「リズム的な観点」をもとに作られるものと認識して下さい。

メロディ作りのコツ(1)
「音を刻む感じで…/伸ばす感じで…」という意識を持って作る

2. 音階やキーの意識を持つ

曲には「キー」という概念があり、本来メロディは基本的にそのキーの音階(=スケール)によって作られるものです。

▼関連ページ キー(音楽)について キー=「中心音」と「まとまりのある音のグループ」を意味する言葉

例えば「キー=Cメジャー」というとき、そこでは

「Cメジャースケール=ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」

を使ってメロディが作られます。

メロディ作りを成功させるためにはこの「キー」と「スケール」を意識することが大切で、これはそのままメロディ作りの方法につながるものです。

既存曲における例

以下は、上記で例として挙げた「キー=Cメジャー」によって作られた「HOWEVER(GLAY)」という楽曲です。


本作におけるサビ冒頭のメロディを音階に直すと、以下のようになります。

たえまなく・そそぐ・あいのなを・えいえんと・よぶことが
レミミレド・ドドレ・ミミミファミ・ミファソードド・ミファソードド

これを見ると、上記で挙げたメロディのすべてが「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のみによって成り立っているとわかります。

つまり、

「キー=Cメジャー」の音使いにのみによってメロディが組み立てられている

ということです。

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いろいろなヒット曲をこのように「音階」という点から紐解くと、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のようなわずかな数の音からでも多彩なメロディを生み出せることが理解できます。

まずキーを決め、使うべき音を明らかにする

この「キー」と「スケール」をメロディ作りに置き換えると、

  • メロディを作るにあたり、まず「キー」を決める
  • そのキーのスケールを使ってメロディを作る

という二点を挙げることができます。

これによって使うべき音が明確になり、「メロディをどんな音へ展開させていけばいいかわからない」という悩みを減らすことができます

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これを踏まえると、何も決めず完全に鼻歌でメロディを歌って作っていくやり方はその分難易度が高いといえます。
メロディ作りのコツ(2)
キーを決め、そのキーの音を使ってメロディを歌う

3. 音階を順番に上下させるか、跳躍させるか

上記で述べた「キー」と「スケール」を念頭に置いてメロディを歌う際には、例えば「キー=Cメジャー」の場合、

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」

の音階を「どのように上下させるか?」という観点を持つことが求められます。

これは、

  • 音を順番に上下させるか(ド→レ、など)
  • 音を跳躍させて上下させるか(ド→ソ、など)

という観点が必要になるということで、この選択によってメロディの雰囲気は大きく変わります。

より具体的には

「ドレミファ~」

というように音階を順番に上げてメロディを歌うか、または

「ドソシ~」

のように音階を跳躍させてメロディを歌うかが考えられ、メロディ作りにおいてはこのような点を意識することも求められます。

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前述したリズム的観点と同じく、もちろん両者を混合させることもできます。(「順番」のあと「跳躍」を入れる、など)

「順次進行」を基本として「跳躍進行」をそこに加える

上記で述べた「順番に…」「跳躍させて…」という発想は、音楽的には

  • 順次進行
  • 跳躍進行

などと呼ばれる概念です。

▼関連ページ 「順次進行」「跳躍進行」の解説と、それらを活用したメロディ作りのアイディア

詳しい解説は上記ページに譲りますが、それぞれは

  • 【順次進行】スムーズ(自然)な雰囲気、インパクト小さめ
  • 【跳躍進行】派手(いびつ)な雰囲気、インパクト大きめ

というような特性を持っており、メロディ作りにおいてはこれらを程良く混ぜ合わせることができると理想的です。

順次進行が多すぎると歌いやすく聴きやすい反面インパクトの少ない(=個性の感じられない)メロディになってしまい、また反面で跳躍進行が多いと個性は出るものの、聴いていてぎこちないメロディになってしまうこともあります。

これらを踏まえると、メロディは

  • 基本的に順次進行で作り込む
  • 個性を出すために少し跳躍進行を加える

というところを狙って作るべきだといえるでしょう。

メロディ作りのコツ(3)
「順次進行」を基本として、そこに「跳躍進行」を混ぜてメロディを歌う

まとめ:上記で挙げた三つの観点を掛け合わせる

今回挙げた

  • 音を刻むか/伸ばすか
  • キーとスケールへの意識
  • 順次進行か/跳躍進行か

という三点は、もちろんメロディの中で共存するものです。

これは、例えば

音を刻む&スケールに沿って音を進める&音を跳躍進行させる

というような観点によってメロディが成り立っている、ということを意味します。

メロディ作りを進めるうえでは、これらの点を掛け合わせるような意識を持つことが求められます。

補足

以下のページでは、メロディ作りのコツがわかる「メロディ作りに強くなる本」についてご紹介しています。 「メロディ作りに強くなる本」のご紹介

慣れないうちは人工的に、徐々に自然に

ページ冒頭でも述べた通り、本来メロディは歌うようにスラスラと作られるべきものです。

ここで挙げたコツはあくまでもメロディ作りに慣れていない段階でその糸口をつかむためのもので、理想的な形である「歌うように」を人工的に再現するための概念として理解して下さい。

この行為を通してメロディ作りの感覚を養い、そこからスラスラとメロディを歌っていけるようになることを目指してください。

このコツを活用し、何度も歌うことでメロディ作りに慣れましょう。

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