こちらのページではR&Bやそれを含む洋楽全般によくみられる「ループ構成」を活用した曲作りについて解説していきます。
洋楽的な雰囲気を出すことができる「ループ構成」
コード進行をあえて展開させない
こちらのサイトでも扱っているように、一般的な日本のポップス・ロックにおいてコード進行は展開していくものです。
例えば、
- Aメロ=シンプルな展開にする
- Bメロ=コード進行を少し多彩にして場面転換させる
- サビ=個性的なコード進行を沢山盛り込んでドラマチックで印象的な雰囲気を出す
などのやり方によって、コード進行には変化が加えられます。
これはいわばJ-POP的なセオリーで、このスタイルに沿ってコードや曲を構築していくとある程度は標準的な曲が作れる、という型のようなものです。
それに反して、いわゆる「ループ」と呼ばれる構成によって出来上がっている曲が存在しており、この場合基本的にコード進行は短い構成を何度も繰り返します。
海外のR&Bなどはまさにその好例です。
ループ構成の実例
R&Bにおいては、同じコード進行の反復に音楽的な心地良さを感じてもらう、というのが作曲の意図にもなっています。
これには沢山の例がありますが、例えば最近の私のお気に入りであるThe Weekendの「I Feel It Coming」などもその一つです。
中間で少し変化がありますが、基本的には冒頭から最後まで、ほぼ同じコードの響きを繰り返しながら曲が展開していきます。
ひとつのコード進行でいくつものメロディを考える
このような曲を作曲する場合には、ひとつのコード進行でいくつものメロディを考えるセンスが求められます。
この際の発想方法や作曲の技術は、冒頭でご紹介した「A→B→サビ」形式の曲を作る場合とはまた違ったものです。
繰り返し方やループ素材にも配慮が必要
このような曲を作る場合、ただ単にコード進行を繰り返すだけではあまりに単調な曲になってしまいます。
部分的にコードを少し変えたり、リズム的なアクセントを変えたり、反復に耐えらえるような配慮が必要です。
またループさせるコード進行そのものも、ある程度は聴き応えのあるものにするべきです。
これはコードそのものの響きを多彩なものにしたり、アレンジで華やかさを出すことを指します。
R&Bなどにおいてテンションコードやオンコード等の複雑なコードが活用されるのは、こういった音楽性が関係しているとも考えられます。
これらを踏まえると、ループ構成の曲作りは前述の「A→B→サビ」型の曲を既にマスターした人が取り組むものであり、よりレベルの高い作曲手法の一つであると言えそうです。
反面で、ループのコードとその上に乗るメロディが上手くハマれば案外曲になってしまうため、「洋楽的・R&B的な曲を作ってみたい!」という方は、是非チャレンジしてみて下さい。
ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る
作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ