「なんだかやる気が出ないな~」というときには、音楽によって気分をリフレッシュさせることができます。
というわけで、こちらでは日頃から作曲講師としていろいろな曲を聴いている私が、そんな時に効果を発揮してくれる「やる気が出る曲」を、洋楽に限定して年代順にご紹介します。
1970年代以前
Cicago「Beginnings」
バラード系の曲で有名なシカゴも、1960~70年代はポップで明るい曲を沢山演奏しています。
特に本作はタイトルの通り「始まり」を歌う前向きな曲で、やる気を出したい時にぴったりなサウンドと曲調を持っています。
「オオオオ~」というフレーズは、この曲のトレードマークともいえるものです。
Stevie Wonder「Signed, Sealed, Delivered I’m Yours」
スティービーといえば1970年代以降、アルバムをセルフプロデュースし始めたあたりからその才能が爆発していきますが、本作はまさにその起点ともなる時期に書かれたものです。
恋人の元に戻ってきてしまった自分を自虐的に歌う楽曲は、そんな歌詞の内容をコミカルに盛り上げるような、カラッとしたさわやかな雰囲気を持っています。
聴いているだけで、テンションが高揚する曲です。
Curtis Mayfield「Move On Up」
ソウル・R&B系のアーティストとして有名なカーティスの代表曲ともいえる本作。
曲の冒頭で高らかに鳴らされるブラスのサウンドが、まさにやる気を高めてくれるような、きらびやかなイントロになっています。
ドラムやパーカッションの刻みも細かくて、このあたりはまさにソウル~民族音楽的な解釈のアレンジだといえます。
Doobie Brothers「China Grove」
イントロのギターリフが印象的な、ドゥービー最大のヒット曲です。
いわゆるロック的な華やかさのある曲で、本作の力強いメロディラインや曲構成などを聴いているとパワーがみなぎってきます。
この時期の彼らは純粋なバンドでありながらグルーヴィーなロックを追求していて、アルバムにもそのような曲が多く収録されています。
ABBA「Dancing Queen」
ABBAの代表作として、ミュージカル映画「マンマ・ミーア!」でもクローズアップされました。
サビは特に華やかな雰囲気に仕上げられていて、にぎやかでハッピーで幸せな気分になれるサウンドを持っています。
メロディラインにも厚みを生んでいるのが、ABBAの武器でもあるこのダブルボーカルです。
1980年代
Sheena Easton「9 to 5 (Morning Train)」
アイドル的な魅力を持った1981年当時のシーナ・イーストンの歌声にはツヤがあって、明るく前向きな気分にぴったりです。
跳ねるリズムとサビの手拍子で、聴いていると思わずステップを踏みたくなります。
特筆すべきはどことなく上品な雰囲気があるところで、それが長く愛される本作の魅力となっています。
Quincy Jones「Ai No Corrida」
クインシーが1981年にリリースしたアルバム「The Dude」の一曲目に収録された本作。
当時既に主流となっていたブラックコンテンポラリーのサウンドをふんだんに盛り込んだ仕上がりで、メロディーラインやハーモニーには若干物悲しい雰囲気がありますが横ノリのグルーヴが気分を盛り上げてくれます。
この当時はマイケル・ジャクソンのプロデュースを通してクインシーアレンジが冴えわたっており、聴いていてスキが無いと感じます。
The Police「Every Little Thing She Does Is Magic」
ロックにレゲエを融合させた独特な音楽性で知られているポリスですが、本作はファンタジックな要素をより強調した楽曲となっています。
サビに向かって徐々に高まっていくテンションと、サビの突き抜けるような華やかさが本作の魅力です。
スティングはこの曲を気に入っているようで、ソロになってからもライブの定番曲として度々演奏しています。
Wham!「Wake Me Up Before You Go Go」
ワムといえば「ラストクリスマス」を真っ先に思い出す人も多いはずですが、実はかなりのポップ職人で、数々の良い曲を残しています。
特にこの曲はタイトルや歌詞の内容を含めやる気を高めるのにぴったりな作品です。
サビはもちろん親しみやすいですが、個人的にはサビまでに向かうメロディの流れに本作の素晴らしさがあると思っています。
The Style Council「Shout to the Top!」
ストリングスの力強いイントロが印象的な本作は、爽やかな雰囲気を持った彼らの代表作として知られています。
そのオシャレなサウンドとは裏腹に歌詞の内容は結構辛辣で、「Shout to the Top!」=トップに向かって叫べ、と社会的なメッセージを伝えています。
行動を起こそうという気分にさせてくれる、という意味で「やる気の出る曲」としてこちらに加えました。
Luther Vandross「Stop To Love」
日本ではほとんど知られていないR&Bの大御所「ルーサー・ヴァンドロス」の、1980年代の作品です。
ロマンチック路線に強みがある彼も、軽快なリズムを持つ楽曲をいくつもリリースしており、この曲は中でも都会的なムードとさわやかさを兼ね備えています。
楽曲とは直接関係ありませんが、このミュージックビデオがいかにも80年代な感じで好きです。
Red Hot Chili Peppers「Stone Cold Bush」
「やる気を出す」という点で、ちょっと毛色の違ったものも入れておこうと思い加えたのがこちらの曲です。
いまやすっかり大人になってしまったレッチリの若かりし頃の作品ですが、当時は彼らも突飛なことをやるバンドとして認識されていました。
本作はその集大成のような魅力を持っており、攻撃的なギターのサウンドと、ベース・ドラムが生み出す鋭いリズムが気分を盛り上げてくれます。
1990年代
Michael Jackson「Black Or White」
90年代のマイケルはもうすっかりスターの風格で、1991年にリリースされたこちらの作品はそれを体現したようなもの。
人種差別問題を扱った曲として、ミュージックビデオでもさまざまな国の人たちと各地のダンスの踊るマイケルが描かれています。
エレキギターのカッティングは本作を象徴するフレーズとして有名です。
Lisa Loeb & Nine Stories「Waiting For Wednesday」
アコギ系女性シンガーとして90年代から活躍しているリサ・ローブですが、ファーストアルバムに収められたこの曲からはバンドサウンドの中に爽やかな決意のようなものが感じられます。
「前を向いて歩きだす」というような気分にさせてくれる曲調で、歌詞にもそのような言葉が散りばめられています。
アルバムの仕上がりも素晴らしく、気になった人は是非そちらもチェックしてみて欲しいです。
Third Eye Blind「Semi-Charmed Life」
彼らの出世作ともなったこちらの楽曲は、イントロの「トゥットゥットゥ~」というフレーズが特徴的。
曲を通してループされる伴奏も軽快で、サウンドとしては「やる気の出る曲」にぴったりです。
歌詞には当時の若者らしい、少しやんちゃな内容も歌われているようで、どちらかといえば雰囲気で楽しむ作品かもしれません。
Sting「Brand New Day」
ソロになったスティングが90年代にいろいろな名曲を生み出して、その後に辿り着いた哲学的な曲がこちらの作品です。
イントロなどに盛り込まれているハーモニカのサウンドは、実はスティービー・ワンダーによって演奏されているもので、そのような意味からも聴く価値があります。
「Brand New Day」というタイトルの通り、気持ちを新たにして何かを始めるのに最適な楽曲です。
2000年代以降
R. Kelly「Happy People」
R.ケリーは2000年代に入り「シカゴステップ」と呼ばれるダンスを意識した楽曲を数多くリリースしており、本作はその中でも代表的なものとして知られています。
文字通りステップを踏みたくなるようなリズムと、タイトルにあるハッピーな雰囲気がこの曲の一番の魅力で、個人的にはやる気を出したい時、または前向きな気分になりたい時に最もお勧めできる曲です。
彼の作るステップ系の作品はどれも素晴らしく、それがアルバムを探索する楽しさにもつながるはずです。
Pharrell Williams「Happy」
前述したR.ケリーの作品と同じく「ハッピー」をモチーフにしたファレル・ウィリアムスの楽曲で、こちらは比較的認知度も高いはずです。
さまざまな年齢・性別の人間がストリートやその他いろいろな場所を踊りながら歩く、というこのミュージックビデオがよく知られており、音楽のみならずこの映像によってやる気を高めることもできそうです。
ひたすら能天気でポジティブな歌詞も楽しめます。
Mark Ronson「Uptown Funk」 ft. Bruno Mars
こちらはブルーノ・マーズの名を一気に有名にしてしまった彼の出世作かつ世界的に売れたヒット作で、テンションを上げるのには最適なサウンドを持っています。
70年代後期~80年代のファンクミュージックを意識したアレンジは、ギターとベースの絡み合いや管楽器のアクセントが心地良く、体を動かしたくなってしまう魅力があります。
いわゆるパーティソングとしても通用する華やかさがあり、とにかく陽気な気分になりたい時に一役買ってくれるはずです。
Taylor Swift「Shake It Off」
最後にご紹介するのは、テイラー・スウィフトがコミカルなパフォーマンスをするミュージックビデオが楽しい本作です。
2000年代以降の作品としてご紹介しているこれまでの曲と同じく、こちらも踊りたくなる作風で気分を盛り上げてくれます。
彼女はもともとカントリー系のミュージシャンとしてそのキャリアを始めていますが、それを考えると本作を含むいろいろな曲での幅広い表現力に圧倒させられます。
まとめ
ここまで「やる気が出る曲」というテーマで20曲ほどご紹介してみました。
もちろん、まだまだここに収まりきらないほどいろいろな作品がありますが、気分をリフレッシュしたい時、テンションを上げたい時などには、是非これらの曲を活用してみて下さい。
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