マイナーコード(マイナーキー・短調)によって作られた有名曲の例 邦楽・洋楽からのまとめ

こちらのページでは、一部で根強い人気を持つ「マイナーコード(マイナーキー・短調)によって作られた曲」を有名曲の中から厳選してまとめました

※それぞれの曲には、キーとその曲における象徴的なコード進行をあわせて記載しています。

マイナーコード(マイナーキー)によって作られた有名曲:邦楽編

「Lemon(米津玄師)」

  • キー:G#マイナー
  • コード:「G#m→F#→E→B」

いかにもマイナーらしい響きを持つ曲で、サウンドはどことなくオシャレです。

また、曲全体を通して「ただの暗い曲」で終わらせないためのいろいろな仕掛けが盛り込まれていると感じます。

「都会的なマイナーキーの曲」というような印象の曲です。

「女々しくて(ゴールデンボンバー)」

  • キー:F#マイナー
  • コード:「F#m→E→D→C#7」

こちらは、いわゆるビジュアル系の楽曲によくあるような曲調で、あえてその辺りを狙って作られているのかなと推測できて面白いです。

コードの流れやメロディラインは、いわゆるフォークソング的なマイナーキーの楽曲と紙一重なところがあると感じます。

サウンドやテンポ、リズムなどによってそれをロックにもできてしまう、という一例だといえそうです。

「フライングゲット(AKB48)」

  • キー:Cマイナー
  • コード:「Cm→B♭→F→A♭→B♭」

マイナーキーは、もちろんこの楽曲のように躍動感のある曲調にも活用されます。

アイドルグループのシングル曲として、このようなマイナーのサウンドが前面に打ち出されているところもまた興味深いです。

イントロから歌われているリフとしてのメロディも、マイナーキーとしてそれを歌うことでより際立って聴こえます。

「サウダージ(ポルノグラフィティ)」

  • キー:Eマイナー
  • コード:「Em→Am→D→G」

こちらの曲も、前述の「フライングゲット」と同じくラテン調で勢いのあるサウンドに仕上げられています。

マイナーキーのサウンドは、このような、少し異国の雰囲気が感じられる曲調にも活用できます。

こちらでも適度にサウンドを複雑にしたり、曲中で転調を入れたりと、ひねりのあるアレンジが加えられています。

「地上の星(中島みゆき)」

  • キー:Dマイナー
  • コード:「Dm→Am→B♭→F」

この楽曲は、マイナーキーを壮大な曲調として作り込んだ例だといえます。

マイナーコードが根本的に少し曇ったような響きを持つため、この曲のように、それを哲学的(神秘的?)な雰囲気に活用することもできます。

メジャーキーの明るさとはまた違ったアプローチができるところも、マイナーキーのひとつの魅力だといえそうです。

「if…(DA PUMP)」

  • キー:C#マイナー
  • コード:「C#m→G#m→A→B→C#m」

この曲のように、マイナーキーによってスタイリッシュな雰囲気を出すこともできます。

同時期の洋楽にも同じようなアプローチによって作り込まれた曲がいくつもあり、そのサウンドは「マイナーキー版のR&B」のようなものです。

前述した「地上の星」と同じく、映像も含めて神秘的なムードが感じられます。

「Winter, again(GLAY)」

  • キー:Bマイナー
  • コード:「Bm→A→E→F#」

マイナーの音使いがどことなく日本的で、個人的に「和風なロックの曲」という印象を持っています。

同時期のシングルに「口唇」「誘惑」などの同じくマイナーキーを活用した楽曲があり、作曲者のTAKUROさんも当時この路線の曲作りを追求していたように感じます。

「Automatic(宇多田ヒカル)」

  • キー:Fマイナー
  • コード:「Fm→Cm7→Fm→Cm7」

衝撃的だったこのデビュー曲も、マイナーキーを活用した楽曲です。

演歌や歌謡曲などから連想される、いわゆる日本的なマイナーの楽曲とR&Bの融合がヒットの理由だと解釈されることも多く、詳しく紐解いてみるとメロディラインが特に和風だと感じられます。

ボーカルの表現力も、マイナーキーの良さをさらに際立てていると感じます。

「DEPARTURES(globe)」

  • キー:Fマイナー
  • コード:「Fm→Cm7→D♭M7→Cm7→Fm」

こちらも、マイナーキーとクラブサウンドを融合させた作品です。

小室さんも、古くはTM NETWORKの「Get Wild」や「Love Train」など、マイナーのサウンドを感じさせる楽曲を多く生み出しているひとりですが、前述した「Automatic」同様に、そのメロディラインはやはりどことなく和風です。

「日本人が聴きなじみのある雰囲気を意図的に盛り込んでいるのかも?」、などと推測できたりして興味深いです。

「LOVE PHANTOM(B’z)」

  • キー:Bマイナー
  • コード:「Bm→G→A→D」

この曲はマイナーキーの曲調の中にクラシカルな雰囲気もあり、ロック、クラシック、和風サウンドなど、いろいろな要素が詰まっていると感じられます。

サビにマイナーコードを多く含む、「愛のままにわがままに~」と同じ系統に位置するような曲だといえます。

B’zの楽曲には他にも「BE THERE」「太陽のKomachi Angel」「ZERO」など、マイナーコードのサウンドを感じる楽曲が多く、マイナーキー作曲の教材としても最適です。

「WON’T BE LONG(バブルガム・ブラザーズ)」

  • キー:Bマイナー
  • コード:「Em→A→Bm」

レゲエ調のサウンドを持った曲で、上記のコード進行を繰り返す形で曲は展開していきます。

こちらは、既にご紹介した「サウダージ」とはまた違った意味での異国風なサウンドを持った曲です。

シンプルな構成でありながらも、このマイナーコードのつながりからは不思議な気持ちよさを感じます。

「フレンズ(REBECCA)」

  • キー:Eマイナー
  • コード:「Em→C→D」

こちらも「和風ロック」的な雰囲気を持った作品です。

バンドサウンドによってアレンジされていますが、そこからは演歌に近いような哀愁と、切ないムードも感じられます。

「あの日にかえりたい(荒井由実)」

  • キー:Fマイナー
  • コード:「Fm→Cm→Fm」

こちらではマイナーコードを使って曲をボサノバ調にアレンジしており、その分都会的なムードが生まれています。

メジャーセブンスのコードと浮遊感のあるメロディラインによって、歌謡曲的な暗い雰囲気を遠のけているようにも感じます

マイナーコード(マイナーキー)によって作られた有名曲:洋楽編

「Englishman In New York(Sting)」

  • キー:Bマイナー
  • コード:「Em→A→Bm」

スティングもマイナーコードやマイナーキーの曲作りを得意としているところがあり、この曲はその代表ともいえるものです。

前述した「WON’T BE LONG」と同じようなアイディアによってコードは組み立てられていますが、こちらは曲名にある「Englishman」という言葉の通り、どことなくヨーロピアンなムードを持っています

「Livin’ On A Prayer(Bon Jovi)」

  • キー:Eマイナー
  • コード:「Em→C→D→G→C→D」

ボンジョビの有名曲もマイナーコードによって成り立つもので、この歌謡曲的で切ないメロディラインが日本人に受け入れられたのかなとも考えられます。

80年代に流行したアメリカのバンドは、この系統に位置するようなマイナーキーの曲を残していることが多いです。

「Billie Jean(Michael Jackson)」

  • キー:F#マイナー
  • コード:「F#m→G#m→A→G#m」

マイケルの出世作となったこちらの作品も、紐解いてみればマイナーキーが活用されています。

これ以外にも「Thriller」「Bad」など、マイナーコードの音使いはマイケルと相性が良かったのかもしれません

「The Stranger(Billy Joel)」

  • キー:Eマイナー
  • コード:「Em→Am→Em」

ビリー・ジョエルもマイナーキーの名曲をいくつか生み出していますが、そのサウンドはやはり洗練されており、そこからは彼のポップセンスが感じられます。

またセブンスコードの音をスパイスとして活用するなど、ブルージーなアプローチも確認できます。

「Money, Money, Money(ABBA)」

  • キー:Aマイナー
  • コード:「Am→B7→E7→Am」

「Dancing Queen」のイメージによってハッピーな曲ばかりを作っていると思われがちなABBAも、実はマイナーの名曲を沢山残しています。

中でも本作は、マイナーコードの持つ切ない雰囲気を力強く前面に押し出した作品だといえます。

「Long Train Runnin(The Doobie Brothers)」

  • キー:Gマイナー
  • コード:「Gm7→Cm7→Gm7」

本作は、彼らの音楽の象徴ともいえる「ウェストコースト・ロック」のサウンドをマイナーキーで解釈した好例です。

ページ前半で上記でご紹介した、「マイナー=和風」というアプローチとは全然違ったものになっているところも興味深いです。

イントロのギターカッティングにも華があります。

「Stairway to Heaven(Led Zeppelin)」

  • キー:Aマイナー
  • コード:「Am→E7→C→D」

ハードロックの元祖ともいえるようなレッドツェッペリンも、このように哀愁の漂うマイナー曲に取り組んでいます。

アマチュアギタリストの間では定番のコピー曲で、この楽曲におけるマイナコードのつながりはどことなく和風です。

「25 or 6 to 4(Chicago)」

  • キー:Aマイナー
  • コード:「Am→G→D→F→E」

デビュー当時、シカゴがまだブラスロックを開拓していたころの代表曲です。

彼らの武器でもある重厚なコーラスによって、どことなくリッチな雰囲気があります。

「A Hazy Shade of Winter(Simon & Garfunkel)」

  • キー:Dマイナー
  • コード:「Dm→C→B♭→Am」

イントロのギターリフからしてマイナーなムードにあふれていますが、この曲からはフォークソング的なマイナーっぽさが感じられます。

彼らは他にも「サウンドオブサイレンス」「スカボローフェア」など、マイナーキーの名曲をいくつも残しています。

「California Dreamin’(The Mamas & the Papas)」

  • キー:C#マイナー
  • コード:「C#m→B→A→B」

最後は1965年リリースの曲、ということでかなり古いですがこちらもマイナーコードを活用した名曲として知られています。

1960年代のアメリカンフォークの曲調で、哀愁のあるメロディがいかにもマイナー的です。

まとめ

こうしてまとめてみるとマイナーコードのアプローチにもいろいろなスタイルがあり、それらはサウンドによっても、またメロディラインによっても全く違ったものに感じられることがわかります。

これ以外にもマイナーキーを活用した曲はまだまだ沢山存在するため、是非いろいろな曲を聴き比べてみて下さい。

邦楽・洋楽を聴き比べると「和風なマイナー」と「洋風なマイナー」があることがわかります。

ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る

作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ