作曲や演奏をするうえでは
- メロディにコードを組み合わせる
- コードの上にメロディを当てはめる
という行為が求められるものですが、実際のところ両者がどのような関係によって成り立っているかはなかなか把握しづらいものです。
それを踏まえ、こちらのページでは「メロディとコードの関係」と題して、サンプル曲をもとに両者の位置づけや成り立ちを詳しく考えていきます。
メロディ作りやコード進行の組み立てに、是非参考にしてみて下さい。
目次
メロディとコードの前提
メロディとコードの関係を考えるうえで、その土台となるのが「キー」の概念です。
※関連ページ
「キー(音楽)」についての解説|キー=「中心音」と「まとまりのある音のグループ」を意味する言葉
詳しくは上記ページでも述べていますが、「キー」とは、簡単にいえば「どんな音を使うか」を意味するものです。
以下は、それぞれのキーで扱う音を一覧にした表です。
この表にある通り、例えばある曲のキーを「キー=C」というとき、そこでは
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ
の7音が主に使われます。
他にも、例えば「キー=E」では
ミ・ファ#・ソ#・ラ・シ・ド#・レ#
の7音が使われます。
ピアノの鍵盤(以下図)を見るとわかるように、本来音には12個の種類があります。
そのうえで、「キー」という概念によって主に使われる7音が選ばれ、また上記で述べたようにそれぞれのキーによってその7音が変わります。
メロディとコードは基本的に同じ7音で展開される
このページでテーマとしている「メロディ」「コード」のそれぞれは共にいくつかの音によって成り立つものですが、そこでの音使いは上記をその元とします。
つまり、まず前提として「キー」という枠とそれによる「主に使われる7音」が決まっている、ということです。
メロディとコードの関係を考えるうえで、まずこの点を理解して下さい。
ダイアトニックコードについて
例えば「キー=C」の場合、そこでは既に述べたように
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ
の7音が主に扱われます。
ここから、まずメロディラインには直接的にそれらが活用されることがわかります。
これは
- ドードミソーファ…
- ソファーミレードレ…
のようなメロディが作られる、ということです。
一方、コードには同じ音を活用した「Cダイアトニックコード」(以下)が活用されます。
※関連ページ
ダイアトニックコードとスリーコード(成り立ちとコードの役割などについて)
この7つのコードは、以下表にある通り「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」によって成り立っています。
上記を踏まえると、
- 「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のメロディ
- 「Cダイアトニックコード」のコード進行
の両者が調和することがイメージできるはずです。
上記関連ページでも解説している通り、ダイアトニックコードも前述した「キーの音」と同じくそれぞれのキーによってメンバーが変わります。
以下はそれを一覧にした表です。
メロディとコードの関係例
さらにメロディとコードの関係を詳しく確認するために、以下に「キー=C」のサンプル曲を挙げます。
本作の冒頭Aメロ(0分25秒あたり)におけるメロディとコードは、以下のような形になっています。
C | Dm |
ミミソミファ | ミレファ |
コードの構成音を使ってメロディを作る
上記にある「C」というコードは「ド・ミ・ソ」という構成音によって成り立っているため、
- C=ド・ミ・ソ
- メロディ=ミミソミ…
の両者は問題なく馴染みます。
まず、メロディとコードの関係を考えるうえでは、ここにあるように
コードの構成音のみを使ってメロディを組み立てること
が検討できます。
これは、メロディとコードの両者を調和させるための最も簡単な手法です。
メロディに使われる「コード構成音以外の音」の位置づけ
ここで特筆すべきは、以下赤字で示したように、厳密にはコード構成音以外の音もメロディに使われている、という点です。
- C=ド・ミ・ソ
- メロディ=ミミソミファ
メロディとコードの関係を考えるうえで次に挙げられるのが、この「コード構成音以外の音」の位置づけです。
存在感の薄い音は許容できる
ここで例として挙げたメロディ、
「ミミソミファ」
の大部分を占めるのは黒字部分「ミミソミ」の音で、これが「C」というコードの構成音に含まれているためコードと調和することは既に述べた通りです。
そのうえで、構成音以外の音である「ファ」は音の長さが短く、またアクセントも弱いため存在感が薄いことがわかります。
このように、メロディは大きく
- 存在感のある(前面に出て聴こえる)音
- 存在感の薄い音
の二つによって成り立っており、それぞれは以下のように分類されます。
- 何度も繰り返される
- 強いアクセントを持っている
- 長く伸ばされる
- 音の長さが短い
- アクセントが弱い
- 瞬間的に使われすぐに通り過ぎる
この「存在感の薄い音」は文字通り聴覚的に聴き流せてしまうため、コードの構成音に含まれていなくても許容できてしまう性質を持っています。
存在感の薄い「キーの音」のみを許容できる
上記で挙げた
ミミソミファ
というメロディにある「ミ」「ソ」「ファ」のすべての音は、前述した「キー=Cの音」=「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」に含まれています。
ここで、例えば上記の「存在感の薄い音(ファ)」が、「ファ#」や「ソ#」などのキー以外の音になり、
- ミミソミファ#
- ミミソミソ#
のようにメロディが成り立っていたらどう感じるでしょうか。
多くの人が、この例では、「ファ#」や「ソ#」をキーから外れた異質な音だと感じ、上記のメロディを許容できないはずです。
ここから、やはりあくまでも「キーの音」という音使いの土台があり、「コード構成音以外の音」「存在感の薄い音」はそのうえで許容できるものだということがわかります。
ダイアトニックコード以外を使っている場合
上記で述べた通り、
「コード構成音に含まれていない音」かつ「キー以外の音」
は許容しづらいものですが、そこから
「キー以外の音がコード構成音に含まれている状態」
を作り、
「コード構成音に含まれる、キー以外の音」
という状態を「メロディとコードの関係」としてさらに想定することができます。
この場合、コードには「ダイアトニックコード以外のコード」を活用することになります。
キー以外の音がコード構成音に含まれている状態
以下は、前述した「ミミソミファ」というメロディをキー以外の「ソ#」でアレンジし、かつ上記で述べた「ダイアトニックコード以外のコード」である「E7」を伴奏とした例です。
C | E7 |
ミミソ | ミソ# |
ここで挙げている「E7」というコードは「セカンダリードミナントコード」という手法によって活用できるコードです。
※関連ページ
セカンダリードミナントコード|成り立ちとその表記などをわかりやすく解説
コードの用法に関する詳しい解説はここでは割愛しますが、この「E7」の構成音は
E7=ミ・ソ#・シ・レ
であるため、上記で示した
- E7=ミ・ソ#・シ・レ
- メロディ=ミソ#
というコードとメロディは、
メロディの音すべてがコードの構成音に含まれている状態
となります。
コード構成音に含まれていればキー以外の音も許容できる
このような場合、メロディにある「キー以外の音=ソ#」を問題なく許容することができます。
つまり、キー以外の音でもそれがコード構成音に含まれていれば両者は当然のごとく調和し、そこから聴覚的にもそれをすんなりと受け入れることができる、ということです。
上記でも述べているように、これを実現するためにはダイアトニックコード以外のコード(ノンダイアトニックコード)をそこに当てはめる必要があります。
これを実用的な作曲や演奏の順序に落とし込むと、
- メロディにキー以外の音を使う→それに合ったノンダイアトニックコードを活用する
- ノンダイアトニックコードを活用する→そこに含まれる「キー以外の音」をメロディの一部として検討できる
というやり方がとれるようになります。
- 「キー以外の音」がコードの構成音に含まれていればそれを許容できる
- この場合、コードには「ノンダイアトニックコード」を使う必要がある
まとめ
ここまで、メロディとコードの関係について考えてきました。
以下はその簡単なまとめです。
- コードの構成音に含まれる音を使ってメロディを組み立てるとそれぞれは調和する
- メロディの中で存在感の薄い音は、コードの構成音に含まれていなくても許容できる
- コードの構成音に含まれていない音のほとんどは、「キーの音」である場合のみ許容できる
- 「キー以外の音」がコードの構成音に含まれていればそれを許容できる(この場合、コードには「ノンダイアトニックコード」を使う必要がある)
メロディにコードを組み合わせるとき、またコードからメロディを連想するときはこれらを踏まえて作業を進めてみて下さい。
また、以下のページではそれぞれのコツについても解説しています。


これらもあわせて参考にしてみて下さい。
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