「sus4」(サスフォー)コードの成り立ちと活用方法(3度の音を持たない特殊なコード)

こちらのページでは、数あるコードの中でも特殊なものに分類される「sus4」の形を持つコードの詳細と、その活用方法について解説していきます。

「sus4」コードの概要

「sus4」(サスフォー)コードは構成音の中に「4度」の音を持つコードです。

以下はその例として、「Csus4」の構成音を鍵盤の図によって表したものです。

通常の「メジャーコード」「マイナーコード」等は構成音の中に「長3度」「短3度」が含まれますが、上記図を見るとわかるとおり「sus4」のコードにはそれらが含まれていません

そのような理由から

「メジャー/マイナー」というコードの特性が曖昧になり不思議な響きが生まれる

という点が「sus4」コードの一番の特徴だといえます。

「sus」の解釈

このコードにおいて表記されている「sus」とは「suspended(サスペンデッド)」の略で、この「suspended」という言葉には「吊るされた」「一時停止(保留)された」などいくつかの意味があります。

そこから、「suspended 4th」にも

  • 吊るされた4度
  • 一時停止(保留)された4度

などいくつかの解釈が生まれており、実際のところそれらは解説の仕方によってまちまちです。

  • 3度の音を吊るし上げた状態の4度
  • 3度や5度へ収まる前の中途半端(保留)な状態の4度

というように捉えられていることが多く、いずれにしてもメインになりえない異質なコードとして扱われています。

「7」を加えた「sus4」

上記で述べた通り「sus4」はメジャーコード・マイナーコードのどちらとも言い切れない特殊な構成音を持っていますが、この発展型としてそこに「短7度」の音を加えた「〇7sus4」の形も頻繁に扱われます。

以下は、その例として「C7sus4」の構成音を図として表したものです。

三和音としての「Csus4」に短7度の音が付加されることで、不思議な響きが維持されつつも、そこにブルージーな雰囲気が加わっていると感じられます。

「sus4」コードの活用方法

上記で「メインになりえない異質なコード」と述べたように、ポップス・ロックにおいて「sus4」のコードは他のコードとセットで装飾的に扱われることが多いです。

以下はその代表的な活用方法です。

1. ドミナントコードとセットで使う

「sus4」コードの使い方として最も一般的なのが、ドミナントコードとセットで活用する方法です。

例えば、「キー=C(メジャー)」においてはトニック(I)に向かう流れとして以下のようなコード進行が想定できます。

Dm→G→C(IIm→V→I)

ここでの「G(V)」はその不安定な響きから「C(I)」へとスムーズに進むような性格を持っていますが、ここではそれを「Gsus4」の形として、直前に一度挟み込むような形で連結して活用します

具体的には

Dm→Gsus4→G→C(IIm→Vsus4→V→I)

のようなコードの流れを作るのがこちらでご紹介するやり方です。

また、ドミナントコードには不安定な響きをより強める「ドミナントセブンス(V7)」の形も活用されるため、前述した発展形の「〇7sus4」を使って

Dm7→G7sus4→G7→C(IIm7→V7sus4→V7→I)

のような構成とすることもよくあります。

「不安定」を引き延ばす効果

「sus4」コードは冒頭で述べた通り曖昧で不思議な響きを持っているため、上記でご紹介したようにドミナントコードの直前に挿入されると、それが

ドミナントコード=不安定な響きの前段階(準備)

のような役割を持ちます。

言い方を変えれば、不安定な響きを引き延ばしているような雰囲気が「sus4」コードによって生まれる、ということです。

2. ドミナントコードそのものとして使う

上記で「他のコードとセットで扱われることが多い」と述べていながらも、ドミナントセブンスコードを「sus4」の状態にした「V7sus4」の形は、ドミナントコードそのものを担う形で扱われることもあります

以下は、前述の例におけるドミナントセブンス部分を「〇7sus4」のみにした構成です。

Dm7→G7sus4→C(IIm7→V7sus4→I)

「sus4」のコードには3度の音が含まれないため、ドミナントセブンス(V7)が本来持つ不安定な雰囲気は「V7sus4」の形になることで曖昧になります

このようなコード進行はそれを逆手に取ったようなもので、「V7sus4」の持つ曖昧な響きを

不安定すぎないドミナントコード=静かにトニック(I)へ向かうドミナントコード

のように活用していると捉えることができます。

「IIm7onV」「IVonV」との共通性

上記と同じような効果を持つコードとして「IIm7onV」というコードが存在しています。

▼関連ページ 分数コード (オンコード、スラッシュコード)詳細と主な種類、代表的な活用方法などについて

このコードは

ドミナントのルート音「V」の上にサブドミナントコード「IIm7」が乗っている

というような、特殊な形を持つものです。

以下は、「キー=C」における「Dm7onG(IIm7onV)」の構成音を表したものです。

Dm7onG(IIm7onV)=ルート音「ソ」+「レ・ファ・ラ・ド」

この例における本来のドミナントセブンスコード「G7」の構成音は

「ソ(ルート音)・シ・レ・ファ」

であり、上記「Dm7onG(IIm7onV)」はそれに近い構成音を持っていながらも不安定な音程が解消され、「静かな(曖昧な)ドミナントコード」のような響きを生んでいるところがその特徴といえます。

その上で、この「Dm7onG(IIm7onV)」と前述した「G7sus4(V7sus4)」の構成音の比較を以下に示します。

  • G7sus4(V7sus4)=「ファ
  • Dm7onG(IIm7onV)=ファ・ラ・

上記を見ると、赤字で示した部分において共通する音が存在し、それぞれの響きが似ているとわかります。

つまり、「V7sus4」のコードは「IIm7onV」の仲間とも捉えることができ、そこから

「V7sus4」=サブドミナント的な性格を持ったドミナントコード

という解釈が成り立ちます。

3. トニック(I)等とセットで使う

「sus4」コードの「他のコードとセットで使う」という概念は、ダイアトニックコードにおける「I」などに対しても流用されます。

以下は、そのコード進行例です。

Dm7→G7→Csus4→C(IIm7→V7→Isus4→I)

前述した例と同じく「ドミナント(V)→トニック(I)」と着地するにあたり、その「I」の直前に「Isus4」を作り挿入している形です。

これによって、「C」というコードの持つ明確なメジャー感が一度曖昧になり、そこから

Csus4→C(Isus4→I)

という流れを経て本来の落ち着きにつながっています。

上記「Vsus4」の部分において「不安定な響きを引き延ばしているような雰囲気」と述べたのと同じように、こちらも

トニックの持つ安定した響きを引き延ばしている

というような印象をリスナーに与えます。

サブドミナント(IV)にsus4が使われるケース

ここで述べている「引き延ばしている雰囲気」は、以下の例のようにサブドミナントのコード(IV)にも活用されることがあります。

C→Fsus4→F(I→IVsus4→IV)

ここでは、「トニック(I)→サブドミナント(IV)」という流れに「IVsus4」が組み込まれ、それにより同じくサブドミナントへの展開が一旦保留されているように感じられます

4. ひとつのコードとして自由に使う

「sus4」コードの一番の特徴は、冒頭で述べたように「3度を持たない」というその不思議(曖昧)なサウンドにあります。

そのため、もっと自由にそれを一つのコードと捉えて使ってしまうケース(以下例)もあります。

Csus4→E♭sus4→Csus4(Isus4→♭IIIsus4→Isus4)

これらのアイディアは、コードの機能的なつながりをあまり考慮せずサウンドの面白さを追求するような曲において活用されます。

まとめ

ここまで「sus4」コードの詳細とその活用方法について解説してきました。

以下はそのまとめです。

  • 「sus4」コードは、「1度」「4度」「5度」によって成り立つコード
  • 「3度」を含まないため、メジャー/マイナーの性格が曖昧で不思議な響きを持つ
  • 「sus4」がつかない状態のコード(IやVなど)とセットで活用されることが多い
  • 響きの面白さを優先して単体で使ってしまうケースもある

「sus4」コードを活用するうえでは、上記でご紹介した「セットで使う」のやり方がもっとも簡単で、かつその響きを体感しやすいはずです。

また、既存の曲でもこの構成によって「sus4」が活用されいることは多いため、コード進行の分析を通して是非理解を深めてみて下さい。

「Vsus4→V」を何度も連続させて引き延ばすパターンなどもあります。

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