コード進行本のおすすめ7選|コード進行を知りたい・理解したい・作れるようになりたい人のための本をご紹介します。

こちらのページでは、音楽理論系の本の中でも「コード進行」に特化した本について7冊ほどご紹介していきます。

日頃から作曲を教えている私も、これまでコード進行については特にあれこれと試行錯誤してきました。

そんな「コード進行マニア」的視点からのご紹介となるため、コード進行についてより理解を深めたいという皆さんにはきっと役立ててもらえるはずです。

※書籍は「コード進行実例紹介系」と「コード理論学習系」に分けてご紹介しています。

コード進行実例紹介系

「かっこいいコード進行108」

音楽理論書のベストセラー「実践コードワーク」の著者としてもおなじみの篠田元一さんが監修した、コード進行のネタ本的な書籍です。

タイトルの通りさまざまなコード進行の実例が108個紹介されていますが、「かっこいい」という言葉がついているようにジャズやR&Bなど、都会的な響きのするコード進行に特化しているところが特徴の一つです。

篠田さんがキーボーディストということもあってコードは五線譜により掲載されているため、これらをギターで演奏したい方は別途ギターによるコードの押さえ方を確認する必要があります。

コード進行を構造で理解できる

この本のもうひとつの特徴は、掲載されているコード進行に「D=ドミナント」「SD=サブドミナント」など、コードの機能的な解釈が併記されている点です。

それにともなって「ドミナントモーション」の流れも記されていたり、「見なしツーファイブ」という言葉もあるなど、コード進行を構造から把握してもらおうという著者の気遣いが感じられます。

さらに、コード進行解説本によくある「MIDIデータ」のダウンロードも可能なため、紹介されているコード進行をそのままDAWに読み込ませて音楽制作に直接活用できます

解説も親しみやすく、いろいろと痒い所に手が届く構成はさすが篠田さんの本、という感じです。

「スグに使えるコード進行レシピ」

以前に出版された本ですが、コード進行実例紹介の本として長く親しまれているのが本書です。

こちらもDTMユーザーを対象に想定しており、実用的なコード進行が多数紹介されています。

「ニューヨーク」「パリ」「ロンドン」など、コード進行の醸し出す雰囲気を世界の都市名に置き換えて紹介しているところも興味深いです。

「『ニューヨークテイスト』のコード進行ってどんな感じだろう?」と思ってしまいますが、それらの意味するところも章の冒頭にきちんと解説されており、代表的なアーティストとアルバムの紹介もあります。

このあたりは、コード進行の例と実際の音源を紐付けて、それを音楽的な興味につなげられる良い試みだと感じています。

理論の解説もあり

本書もやはりDAWでの使用を想定して、コード進行がそのままMIDIデータにてダウンロードできるつくりとなっています。

特筆すべきは書籍の前半で基礎となるコード理論についての説明があるところで、これを一通り読んでおくことでその後の実例と解説がより理解しやすくなります。

前述した「かっこいいコード進行108」と同じく、こちらもギターのためのコードダイアグラムが掲載されていないため、ギターでの演奏を目的とする場合には注意が必要です。

「決定版 コード進行スタイル・ブック」

こちらも、コード進行の実例紹介系書籍としてロングセラーとなっている本です。

書籍の冒頭にコード理論に関する基礎知識が解説されているのは前述の「スグに使えるコード進行レシピ」と同じです。

また、前述の二冊がコード進行の実例をずらずらっと紹介しているのに対し、本書はコード進行の手法別に章を区切っているところが特徴的です。

それぞれの手法を具体的に解説し、そこでの基本形からそれをどうアレンジしていくか、という観点でさまざまなコード進行が取り上げられています。

やや硬派なつくり

著者の成瀬さんはギタリスト向けの書籍を得意とする方であるため、ギターによるコードの押さえ方が併記されているとより実用的だったのですが、こちらはより簡素に、コードネームと度数表記のみでコード進行が記されています

また、それぞれのコード進行には実際の曲における実例もあわせて紹介されているため、音源を聴きながら実際にコードの響きを確認することができます。

数ある実例紹介系の書籍の中でも、やや硬派な本に分類されるかなという印象を持っています。

「クラブ・ミュージックのための今すぐ使えるコード進行+ベース&メロディ」

こちらはタイトルの通り、クラブミュージックに使えるコード進行に特化した書籍で、紹介しているコード進行をDTM(DAW)で扱うことが前提となっています

MIDIファイルによるコード進行データのダウンロードはもちろんのこと、オーディオのファイルも付属されています。

本書もやはり前半でコードに関する基礎的な内容が解説されていますが、「クラブミュージック」ということで、それらがシンセサイザー等のデジタルサウンドで演奏されることを目的として解説されている点が興味深いです。

DTM用途として最適

上記で述べた通り、本書にはPC(DAW)の存在が不可欠で、コード進行の解説にはDAWにあるピアノロールの画面が活用されています。

また、タイトルにある「ベース&メロディ」もそのピアノロールの画面を使って紹介されており、コード進行に合わせてどんなベースをつければいいか、どんなメロディが例として想定できるか、という点が視覚的にわかる仕組みとなっています。

「DTM用途として幅広くいろいろなコード進行を知りたい」という人にはうってつけの書籍だといえるでしょう。

「曲想が決まる!コード進行本」

こちらはまた前述の数冊とは違い、コード進行を「曲想」という観点で分類した書籍です。

「モダン」「アヴァンギャルド」「プログレッシブ」などの大きな柱の中に「ダークなイメージ」「ジャジーで大人な響き」などのタイトルによってコード進行がいくつも紹介されています。

なかには「ざわめく心」などという詩的なタイトルが付けられたコード進行もありますが、実際に響きを確認してみるとなんだかやけに納得できてしまいます

実際に演奏することを目的とした書籍

本書の特徴はコード進行の演奏を第一に考えている点で、広い鍵盤の絵を使って両手によるコードのボイシングをきちんと示しているところはこの本ならではです。

またギターのコードダイアグラムが掲載されているのも同じ理由からだと感じますが、「曲想」というタイトルのとおり、作曲へ活かすという意味ではとても実用的な書籍だと感じます。

本のサイズも大きくて見やすいため、そこからは「コード進行を実際に演奏してその響きを体感してほしい」という著者の意気込みが感じられます。

コード理論学習系

「コード理論大全」

書籍のタイトルにある通り、コード理論をいちからすべて解説した本です。

音楽理論系書籍をまとめたページでもご紹介していますが、コード進行を理論的に把握するという意味でとても有益な内容が扱われているため、こちらにも加えました。

厚めの書籍で百科事典的な風貌もあわせ持っており、存在感もあります。

コード理論の教科書的な内容

内容は楽典にも近い「コード理論の教科書」のようなもので、音程や調号の仕組みから始まって、基本的なコード進行からマイナーキーを経てノンダイアトニックコードの手法やテンションコード、転調やスケールの解説もあります。

その網羅性はなかなか他に無いほどですが、その分細かい文章と五線譜による譜例の連続となるため、この手の理論書が肌に合わない人にとっては堅苦しい内容だと感じられてしまうかもしれません

一方で、コード進行について真面目にきちんと理解を深めたいという人にはとても役立つ書籍だといえるでしょう。

「ピアニストのためのコード学習帳」

最後にご紹介するのは、ピアノによるコードの演奏を前提としたコード理論系書籍です。

前述した「コード理論大全」が完全なる教科書的な作りだったのに対し、こちらはより親しみやすく、演奏しながらコードを理論的に理解する、ということを目的としています。

主にクラシックピアノ経験者を対象とした本ですが、純粋にコード理論をいちから学びたいという方にもお勧めできる内容だと感じています。

楽しみながら学びたい人に最適

既に述べた通り、和やかでフレンドリーな雰囲気を持っているところが本書の一番の特徴です。

文体も柔らかく、印刷もポップで見やすいため、楽しみながら学びたいという人には最適なコード理論書といえます。

もちろん内容はきちんとしており、ピアノの前に座りながらこの本を読み通すだけで、その内容がコード進行を作ることの大きなヒントとなるはずです。

まとめ

ここまで、コード進行に関連する本の中でも特にお勧めできると感じた書籍をいくつかご紹介してきました。

実際にリリースされている本は、ページ前半で取り上げているような直接的にコード進行をご紹介する「実例紹介系」に属するものがほとんどだという印象を持ちます。

とはいえ、コード進行を自在に作り上げるためにはそれらを理論的に把握しておくことも欠かせません。

後半にご紹介したコード理論系の書籍もあわせて読みながら、是非コード進行に対する理解を深めてみて下さい。

まずは実例紹介の本を使って、実際にコード進行を音に出して響きを体感しましょう。

補足

音楽理論全般に関する書籍については、以下のページでご紹介しています。
音楽理論本おすすめ9冊 作曲にも演奏にも使える音楽理論の知識を書籍で身に付ける

ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る

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