ウクレレでやる作曲の方法解説|ウクレレを弾きながら歌って作る作曲のコツ

ウクレレを弾くのに慣れてくると、「自分も曲を作ってみたいな」と考える方もいるのではないでしょうか。

というわけで、こちらのページでは日頃作曲の先生として活動している私が、ウクレレを使って行う作曲の方法や手順について解説していきます。

これから曲を作っていきたい方は、是非参考にしてみて下さい。

※こちらでは、ウクレレを使って歌う「ボーカル曲」の作曲を前提として解説していきます。

ウクレレ作曲の概要

そもそも、ここで述べている「作曲」とは

  • 「メロディ」「コード」などを作る
  • それらを組み合わせて発展させる
  • 曲だと感じられる大きさに伸ばしてまとめること

を意味するため、素材として必要となるのは

  1. メロディ=歌
  2. コード進行=ウクレレの演奏

の主に二つです。

そのうえで、これらを満たすために私は

  1. ウクレレでコードを鳴らすこと
  2. そのコードを伴奏として歌ってメロディを考えること
  3. コードとメロディを互いに発展させて一曲にしていくこと

という三点を作曲方法の基本として提唱しています。

※作曲方法については、以下のページでも解説しています。
作曲初心者向け|作曲超入門(1)具体的な作曲方法とやり方のコツ

メロディを歌って作ることの重要性

上記のページでも述べている通り、歌を作る場合、メロディは基本的に歌って考えます。

この「歌って」という点がポイントとなるのですが、それはメロディが「歌われるもの」になるからです。

※歌もの作曲解説ページ
歌もの(ボーカルメロディのある曲)を作曲するためのコツ|歌いやすい、歌いたくなる曲を作るためには?

つまり、歌のメロディには

  • 歌って心地良い
  • 歌っても無理がない

という性質が求められるということで、それを確認するには実際にメロディを歌うのが一番なのです。

最近はパソコンやスマホを使う作曲も主流になりつつありますが、ボーカルのある曲を作る際には、この「歌う」という点を忘れないようにして下さい。

弾き語りをしながら作る

上記で述べた作曲の方法は、言い方を変えれば「弾き語りによる作曲」です。

そのため、

  • ウクレレをコードである程度弾けること
  • ウクレレを弾きながら歌えること

が前提となります。

もし、現時点でそれが全くできない場合、これ以降で解説するやり方に少し苦労するかもしれません。

とはいえ、ご紹介する「初心者向けウクレレ作曲」に使うコードは主に後述する六つだけで、メロディも「スムーズに歌いきる」というよりあくまで「作るために歌う」という点に重きを置いています。

そのため、ある程度ウクレレによる弾き語りに慣れておけば十分ともいえるでしょう。

ウクレレ作曲の実践的方法

ここからは実際の作曲手順について詳しく解説していきます。

まず、ウクレレ作曲の手順を概要として以下に示します。

  1. ウクレレでコードを弾く
  2. そのコードを伴奏としてメロディを歌う
  3. コードを発展させる
  4. メロディを発展させる
  5. コード+メロディを大きなブロックにまとめる
  6. それらをさらに発展させて一曲にする

それぞれについては、これ以降で詳しく解説していきます。

メロディとコードの基本について

手順解説に入る前にここで少しだけ音楽的なお話をすると、作曲を行う際には「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の概念が大きな意味を持ちます。

より具体的にいえば、

  • メロディは主に「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音階を使って歌う
  • コードは主に「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音階を元に作られたものを活用する

ということです。

※この「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音階を音楽的には「メジャースケール」などと呼びますが、詳しくは以下のページでも解説しています。
メジャースケールの内容とその覚え方、割り出し方、なぜ必要なのか?について

ここから、ページ前半で述べたように「コード弾き語りで行う作曲」が、

  • 「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」でメロディを歌う
  • 「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」を元にしたコードで伴奏する

ものになるということがわかります。

そのうえで、こちらでは初心者向けの作曲手順としてコードに以下の六つのみを活用していきます。

どれも基本的で簡単なコードフォームであるため、作曲に入る前の準備としてこれらを軽く弾けるようにしておいてください。

また実際の作業を進める際の前提として、メロディとコードに関する上記二点を頭の片隅に置いておくようにして下さい。

1. ウクレレでコードを弾く

まず、作曲の取り掛かりとしてウクレレでコードを演奏します。

これには、上記で述べた「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」を元にした六つのコードを活用しますが、一番目のコードとしてその中でも中心的な存在となる「C」のコードを使用します。

これを伴奏と感じられるように、自分の得意とするリズム(ストローク)で「チャンチャンチャン…」と弾いてください

2. そのコードを伴奏としてメロディを歌う

次に、弾いていた「C」の伴奏を元にメロディを歌って考えます

この際にポイントとなるのは

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音階を使って歌う
ということです。

以下は、ウクレレにおける「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音をフレット上のマークで示したものです。


これらをあらかじめ弾いて音で確認しておき、その音を声に出しながら、例えば

  • 「ドレミソラ~」
  • 「ミソーラソソソ」

のような音階を、「ラララ~」のような形でメロディとして歌ってみて下さい。

コードを伴奏としてメロディを歌うことについて

この「コードの響きを伴奏としてメロディを自由に歌う」という点について、初心者の人は特に苦労することが多いです。

これはつまるところ作曲の技術そのものを指すのですが、何度か繰り返してやっているうちに、次第に納得できるメロディが歌えるようになっていきます

まずはシンプルなメロディでも許容する器の大きさを持って、メロディ作りを楽しんでみて下さい。

この点については、以下のページでもコツなどを解説しています。
作曲初心者向け|作曲超入門(2)メロディを作るためのコツ コード(コード進行)からメロディを作る|コードの伴奏の上で自由にメロディを歌うことの概要とそのコツについて

3. コードを発展させる

「C」を伴奏として簡単なフレーズを歌うことができたら、その次にコードを「C」以外のものに変えます。

これには前述した六つのコードのうち「Dm」「Em」「F」「G」「Am」の五つを活用します。

ウクレレを弾きつつ、コードを

  • 「C→Dm」
  • 「C→Em」
  • 「C→F」
  • 「C→G」
  • 「C→Am」

のどれかに発展させてみて下さい。

五つのパターンのうち、歌っているメロディに最も合うと感じた展開を選び、それを二つ目のコードまでの構成として確定させます。

4. メロディを発展させる

コードが二つ目まで確定できたら、次にまた改めてメロディを発展させます。

前述の手順と同じく「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音を活用して、既に完成していたメロディからつなげるように新たなメロディを考えます

メロディを発展させるときの各種アイディア

実際のところ、この「メロディをどのように発展させるか」は作曲の核ともなる作業で、この点をいかにスムーズにセンス良く行うかが、曲の品質や魅力そのものにもつながります。

以下のページではメロディ作りに関するさまざまなことを解説していますので、これらを参考に是非親しみやすいメロディを作ってみて下さい。
作曲のコツ|メロディの形三種のご紹介(同音連続・ギザギザ・音跳び) メロディのパターン・種類を考える|音階やリズムによる17のアイディア 作曲におけるメロディの作り方 リズム、使うべき音、音の進め方を意識することがポイント

メロディ・コードを交互に発展させる

ここから、メロディとコードそれぞれは互いに発展させることでより大きなものにしていきます

もちろん、先にコードのつながりをある程度作っておいたり、メロディをある程度伸ばしたりすることもできます。

しかし、ここで述べているように「コード→メロディ→コード→メロディ…」と双方を徐々に伸ばしていくやり方が一番自由度が高く、かつ最も無駄がありません

これを私は「(メロディとコードの)追いかけっこ」と呼んでいるのですが、既にご紹介したページにも載せているイメージ図をこちらにも示します。

この図のように、

  • 直前のコードを受けて、ではこのコードに合うメロディは何だろう?
  • 直前のメロディを受けて、ではこれに合うコードは何だろう?

という意識を持ちながら作曲を進めていけると、より理想的です。

5. コード+メロディを大きなブロックにまとめる

メロディとコードがある程度発展できたら、次にそれらを「Aメロ」「Bメロ」など、ブロックと呼ばれる大きなまとまりに発展させていきます。

このブロックの概念は「曲形式」とも呼ばれ、ポップス・ロックなどでは

  • A→B→サビ
  • A→B→A

などの構成が一般的です。

この点については以下のページにて詳しく解説しています。
Aメロ・Bメロ・サビなどの意味と、それらを活用した「曲の形式」の例

規則性への配慮

また、メロディとコードをブロックへ発展させる際には「規則性」に配慮すると、それらがより親しみやすいものになっていきます。

この「規則性」とは、簡単にいえば「繰り返しを取り入れる」ということです。

既存の曲をそれらの観点から分析することで、フレーズやコードのつながりがどのように繰り返されているかがわかり、作っている曲をどのようにまとめていけばいいかが把握できるはずです。

▼関連ページ
作曲における曲展開のコツ|繰り返しと規則性をメロディやコード進行に盛り込み、親しみやすい曲にする

6. それらをさらに発展させて一曲にする

ここまで完成したら、あとはそれをさらに発展させていけば一曲に仕上がっていきます

前述した「曲形式」の概念をもとに必要となるブロックを作り、お好みで「イントロ」「間奏」「アウトロ」などを加えて曲が完成します。

イントロのアイディアについては、以下のページでもご紹介しています。
【作曲】イントロの作り方|ビートルズの曲を例に挙げてイントロのパターンを解説します。

動画での解説

ここまでの解説を読んでよくわからない方のために、以下の動画でも弾き語りによる作曲のやり方について解説しています。

※解説にはギターを使っていますが、同じことがウクレレでもできます。

こちらも参考にしてみて下さい。

まとめ

ここまでウクレレを使って行う作曲の方法について解説していきました。

ポイントをまとめると、以下のようになります。

  • ウクレレでコードを弾く
  • それを伴奏として、歌ってメロディを考える
  • メロディとコードそれぞれを互いに発展させる
  • それをブロックにまとめ、一曲にしていく

ウクレレによる弾き語りの感覚がつかめている方は、このやり方を通して一曲を無理なく組み立てていくことができるはずです

また、良い曲を作るためには既存の曲を分析したり、音楽理論を学習したりすることも大切です。

試行錯誤しつつ、是非自分らしい一曲を仕上げてみて下さい。

曲が完成したら、歌詞をつけてみんなの前で披露しましょう!

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