コード進行から作曲する方法(特定のコード進行をもとにメロディを考えて曲を発展させる)

こちらでは、コード進行をもとに作曲するための方法をご紹介します。

ポイントとなるのは

  • コード進行からキーを明らかにする
  • そのキーをもとに「主に使える音」を活用してメロディを作る
  • キーをもとに曲を発展させる

という点です。

以下より詳しく解説していきます。

コード進行から作曲するコツと手順

例えば、以下のようなコード進行のみが手元に用意できていたとします。

Am → D → Bm → Em

このコード進行を元に作曲をしたいと考えている場合、どのような発想を持って作業を進めていけばいいでしょうか。

これを行うにあたり、まず欠かせないのが「キー」「ダイアトニックコード」に関する知識です。

「キー」と「ダイアトニックコード」

「キー」とは、簡単に言えば「曲の中で主にどんな音を使うか」ということを意味する言葉です。

例えば「キー=C」であれば、中心音が「ド」、そして主に使われる音は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」です。

そして、「キー=主に使われる音」が決まることにより「ダイアトニックコード」と呼ばれる「主に使われるコード」のグループが決まります。

詳しい解説はここでは省略しますが、全12音のキーそれぞれに対して、12種類のダイアトニックコードが存在します。

以下は、キー別のダイアトニックコード一覧を表にまとめたものです。

※「キー」と「ダイアトニックコード」に関する詳しい解説は以下のページをご確認下さい。
曲のキー(調)を判別する方法【コードのみからキーを判別する】そもそも「キー」とはどのようなものか? ダイアトニックコードとスリーコード(概要や成り立ち、コードの役割などについて)

コード進行からキーを確定させる

コード進行から作曲をするにあたってまず初めにやるべきことは、手元にある「コード進行」が「どのキーに相当するのか?」を明らかにする、ということです。

※より正確には「どのキーとして作業を進めていくかを予測する」ともいえます。

既に述べた通り、キーが確定することで「主にどんな音を使うか」が明らかになります。

すなわち、キーの確定をしっかりと行っておくことで、そのコード進行を背景としてどんな音を使ってメロディを作ればいいかがわかる、ということです。

コード進行をダイアトニックコード一覧と照らし合わせる

ここで話を冒頭のコードに戻します。

Am → D → Bm → Em

このコード進行のキーを確定させるためには、まず既にご紹介した「キー別のダイアトニックコード一覧」と中身を照らし合わせます。

その結果、上記コード進行内にある四つのコード全ては「キー=G」のダイアトニックコードに含まれていることがわかります。

Gダイアトニックコード
G, Am, Bm, C, D, Em, F#m-5

このことから「『Am → D → Bm → Em』というコード進行は『キー=G』ではないか」、と特定(予測)することができます。

キーに答えは無い

ここで「予測」という言葉を使っているのは、音楽に正解は無く、やり方によってはどのようにでも作りこむことができるからです。

例えば上記のコード進行を「キー=G」ではないものとして捉えることもできますし、極端なことをいえばキーを定めずに曲を作ることもできます。

とはいえポップス・ロックにおいては、ほとんどの場合このやり方によって断定的にキーを定めたほうが、作業を進めやすいはずです。

キーをもとに「主に使われる音」を特定する

上記の手順を通してキーが特定できたら、次にそのキーによって使用できる音を確認します。

この場合キーは「G」であるため、「Gダイアトニックコード」内にある七つのコードのアルファベット部分を参照します。

Gダイアトニックコード
G, Am, Bm, C, D, Em, F#m-5

それらは「G, A, B, C, D, E, F#」であるため、主に使用できる音は「ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ#」の七音である、ということがわかります。

コード進行を伴奏として、主に使用できる音を活用しながらメロディを作る

ここまでできたら、あとはコード進行の伴奏をもとにメロディを考えていくだけです。

この例では、前述の「ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ#」を活用しながら「Am → D → Bm → Em」の伴奏に心地よくはまるメロディを作り出すことができるはずです。

メロディを作るときのポイント

ここでポイントとなるのは「長く伸ばす音やアクセントが強い音にはコードの構成音を活用する」ということです。

例えば「Am」の構成音は「ラ・ド・ミ」の三音ですが、そのコードを背景として「(構成音に無い)ソの音」を強く鳴らすと、やはりメロディは心地よく響きません。

このように、メロディを作るときにはコード進行の響きを考慮しながら、なるべくそれに馴染むような音を使っていくことがポイントとなります。

その後の展開について

ここまでの手順を通して特定のコード進行をもとにメロディを生み出すことができました。

そして、これ以降の展開のさせ方=本格的な作曲の手順は通常の作曲と同じです。

すなわち既に定まっているキーをもとに新たなコード進行を検討し、同じくキーの音を使って新たなメロディを生み出していく、というやり方です。

具体的には、「キー=G」のダイアトニックコードをもとに「G」や「Em」、または「G → D → Em」のようなコード進行を生み出し、その響きをよりどころとしてメロディを考え両者を発展させていきます。

このあたりの詳しい手順と、その後の展開のさせ方については以下の記事をご確認下さい。
作曲初心者向け|作曲超入門(1)具体的な作曲方法とやり方のコツ

コード進行からキーを予測するときの特殊な例

コード進行の中には、例としてご紹介したもの以外にも「〇〇7」や「〇〇dim」など、いろいろなコードが含まれることも想定できます。

また、マイナーコードが多く含まれる場合や、コード進行に使われているコードがダイアトニックコードに含まれていないことで、キーが特定しづらい場合もあります。

そのような時には、基本的に特殊なコードを除いてキーを判別するようにして下さい

音楽理論を理解して作曲の経験を積むほどにキーの特定が上達する

そもそもコード進行のパターンは多種多様で、それぞれはいろいろな発想によって出来上がっているため、音楽理論を理解したり、作曲の経験を積むほどにキーの特定がしやすくなっていきます

とはいえ、まずはここまでにご紹介した手順に沿ってキーを予測しつつ、いろいろと試しながら進めるようにしてみて下さい。

そこから「主に使える音」を活用してメロディを作りつつ、コード進行にそれをあてはめながら響きを確認していけば、きっと納得できるメロディや曲展開が生み出せるようになっていくはずです。

キーの特定に関しては、以下のページも参考にしてみて下さい。
曲のキー(調)を判別する方法【コードのみからキーを判別する】そもそも「キー」とはどのようなものか?

まとめ

ここまでコード進行をもとに作曲するための方法について解説してきました。

内容をまとめると以下のようになります。

  • コード進行とダイアトニックコードを照らし合わせてキーを明らかにする
  • キーをもとに「主に使える音」を明らかにし、それを活用しながらメロディを作る
  • その後の展開は、特定できたキーをもとに行う通常の作曲と同じ(キーのダイアトニックコードを活用しながら、キーの音を活用してメロディを作る)

一番の壁となるのが「コード進行をもとにキーを特定すること」かと思いますが、解説をもとに作業を進めていくことで徐々に感覚がつかめていくはずです。

コード進行が先に決まっている作曲はある程度の制約の中で行うものになりますが、是非そこに素敵なメロディをつけて、そこから魅力的な展開を生み出してみて下さい。

コード単体ではなく、コード進行全体の流れを考慮するようにしましょう。

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