怖い(不気味な)印象を与えるコード進行のご紹介 全10パターン ホラーなサウンドを表現したいときに使える

こちらのページでは「怖い=不気味」という雰囲気を持ったコード進行をいくつかご紹介していきます。

ホラー系の曲作りや、少し不穏なムードを漂わせたいような楽曲に是非これらの進行を活用してみて下さい。

「怖い」コード進行

1. ディミニッシュコードを活用した、怖いサウンドを持つ代表的な進行

「Adim → A♭dim → Gdim → A♭dim」

「怖い」「不気味」などのテーマでコード進行を考えるにあたり、何よりも先に思いつくのがディミニッシュコードを活用するやり方です。

▼関連ページ ディミニッシュコード 概要と使い方などの解説・パッシングディミニッシュ・セブンス置換

そもそもこのコードは特殊な構成音によって成り立つため、単体で鳴らしただけでもそこから不穏なムードが感じられます

こちらでご紹介しているのは、それら二つをルート半音程でつなぎあわせて繰り返しただけのコード進行ですが、怪しい響きが連続することでその怖い雰囲気は増幅します。

また、同じような観点から、例えば

「Adim → A#dim → Bdim → A#dim」

とルートの音程を上げるようにディミニッシュコードをつなげることもできますが、前述した「A→A♭…」と下がるパターンに比べて不気味さは少し弱まるように感じます。

この辺りの感じ方は人それぞれではあるものの、

不気味=暗く落ち込む=下がる

というような連想によって、ルート音(ここでいう「ラ(A)」や「ラ♭(A♭)」)が下がっていく方がよりそのような雰囲気を感じやすい、とも解釈できます。

もちろん、同じような観点から

「Adim → Gdim …」

というように、半音ではなく全音でルートを下げてつなげることもできます

こちらもまた半音程とは違った怖さがあると感じられます。

全音程+半音だと同じ構成音になる

上記で挙げた状態からさらに音程を広げ、ルート音が「1.5音(全音程+半音程)」の幅になるよう二つのディミニッシュコードをつなぐと、

「Adim → G♭dim …」

のようになりますが、この「Adim」と「G♭dim」は、それぞれ

  • Adim=ラ、ド、ミ♭、ソ♭
  • G♭dim=ソ♭、ラ、ド、ミ♭

というようにルート音が違うだけで同じ構成音を持っているため、実質的には一つのディミニッシュコードを延々と鳴らしているだけ、という状態になります。

このように、ディミニッシュコードの構成音のパターンは全部で三種類しかないことから、つなげ方によっては上記のような「構成音が変わらない」という状態を生んでしまうため注意が必要です。

2. ハーフディミニッシュによる進行

「Am7-5 → A♭m7-5 → Gm7-5 → A♭m7-5」

ディミニッシュコードに次いで怪しい響きを持っているのが「ハーフディミニッシュコード」とも呼ばれる「〇m7-5」のコードです。

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この「〇m7-5」のコードは、ポップス・ロックでは「マイナーセブンフラットファイブ」などと呼ばれます。

「ハーフディミニッシュ」という呼び名が付けられている通り、単体ではディミニッシュコードに近い(やや弱い)不安定な響きを持っているとされます。

▼関連ページ フラットファイブコードとは 概要と表記・使い方(ハーフディミニッシュ)などについて

上記で挙げた通り、このコードもディミニッシュコードと同じくルートが半音程になるようにつなぐことで怖い雰囲気を生み出せます。

また、同じような観点から以下の進行も考えられます。

「Am7-5 → A#m7-5 → Bm7-5 → A#m7-5」
「Am7-5 → Gm7-5 → Am7-5 → Gm7-5」

「〇m7-5」のコードはディミニッシュコードのように特殊な共通性が無いため、つなげ方次第ではさまざまな雰囲気を作り出すこともできるはずです

3. マイナーセブンス+セブンスコード

「Am7 → B♭7 → Cm7-5 → B♭7」

「怖い」という雰囲気を考えるうえでは、暗いサウンドを持った「マイナコード」を使用することも連想できます。

ここでは「Am7」を、その半音上のルートを持つセブンスコード「B♭7」とつなげ、さらにハーフディミニッシュ「Cm7-5」でアレンジしつつ発展させています。

ルート音の不均等なつながりを含め怪しいムードが生まれていますが、前述した「〇dim」「〇m7-5」のコードはこのように流れの中で活用することもできます

4. マイナーセブンス+ディミニッシュコード

「Em → B♭dim → Am7 → B7(♭9)」

こちらは、マイナーコードにディミニッシュコードをつなげた構成です。

基本的な発想はここまでにご紹介したものと同じですが、後半の「Am7→B7」の流れは一般的なものだといえます。

「B7」に付加されている「♭9」はオルタードテンションと呼ばれるもので、このような装飾音も怖さや不気味さを盛り上げるためによく活用されます

5. オンコード(変化しないベース音)の活用

「E♭7onE → F7onE → E♭7onE → F7onE」

こちらは、怖さを演出するために「変化しない低音」を活用した例です。

このような手法は「ペダルポイント」などと呼ばれますが、ここではあえてそれが不協和音を生むようにコードを組み立てています。

▼関連ページ 「ペダルポイント」の解説|詳細と既存曲における例、作曲への活用アイディアについて

低音が保持され、さらにいつまで経っても不安定な響きが解消されないところから不気味な雰囲気が感じられます。

脈絡のないつながりが不気味さを生む

ここまでに挙げた例をまとめると、怖い雰囲気を持つコード進行を考えるうえでは一般的な流れの裏をかくような構成が効果的に働きます。

つまり、

理論的に辻褄が合っているコード進行=整った響きを持つ

と感じられてしまうことから、それをなるべくいびつなものにするほど

予定調和ではない=不穏=不気味

という印象をリスナーに与えることができる、ということです。

具体的には、

  • コード構成音同士の響き(音程)をあえて不協和にする
  • 不安定な音程で進行するような流れを作る

などのやり方が考えられますが、ここで挙げているように「心地良くない音程」を活用することである程度怖いサウンドをコントロールできます。

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ここでいう「心地良くない音程」とは、一般的に「短2度」「増4度」などのことを指します。

まとめ

今回ご紹介したコード進行の中でも、

  • ディミニッシュコード(〇dim)
  • ハーフディミニッシュコード(〇m7-5)
  • マイナーコード

の三種は、怖い=不気味な雰囲気を演出するのに活用できます。

さらに、それらをあえて標準的なコード進行から外れるようにつなぐことで、怪しいムードを生み出せるはずです。

楽器やDAW等で音を出しながら、是非「怖い」「不気味な」コード進行を探求してみて下さい。

ディミニッシュの半音連結をそれっぽいサウンドで表現すると本当に怖いです…

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