「作曲」と「編曲」の違いを考える|一般的な意味は違う、でも同じような意味で使われることもある

こちらでは、初心者の人が疑問に持つ「『作曲』と『編曲』の違い」について解説します。

一般的に、ポップス・ロックなどにおいてそれぞれは

  • 作曲=メロディとコード進行など、曲の骨組みにあたる要素を作ること
  • 編曲=上記「作曲」を経て完成したものを作品として聴ける状態に整えること、または既存曲を(骨組みだけ残しつつ)新たな観点で別の状態に作り変えること

として捉えられています。

このように両者の意味するところは若干違うものでありながら共通する部分もあり、局面によっては同じような意味を持つこともあります。

これ以降は、それぞれが持つ意味について詳しく考えていきます。

一般的な意味で「作曲」と「編曲」は別物

「作曲」で作るのは「骨組み」

既に述べた「『作曲』と『編曲』の違い」の一般的意味をもっとわかりやすくシンプルに表現すると、

  • 作曲=メロディとハーモニーだけがわかる状態として曲を作ること
  • 編曲=曲を完成品として仕上げること

と定義づけることができます。

この場合の「作曲」はメロディとハーモニーさえわかればいいので、ポップス・ロックにおいては弾き語り状態の曲(コードの伴奏に歌メロディが乗っている状態)を作る、ということを指すことが多いです。

他にも例えばクラシックなどにおいては、オーケストラアレンジされることが前提となっている曲の初期段階として「ピアノ一台(左手演奏+右手演奏のみ)に曲がまとまっている状態」を作ることも同じ意味を持ちます。

平たくいえば「(演奏表現は後回しとして)メロディとハーモニーはなんとなくこんな感じ」というレベルまで曲を作ることが作曲である、と言い換えることができます。

「編曲」は「曲を整えること」

それに対して「編曲」は、上記の「作曲」の状態を経て「曲を完成品として仕上げること」を指します。

ポップス・ロックでは「ドラムはこんな感じ」「ベースはこんな感じ」「ギターは…」など、伴奏としてどんな音を配置するか、そしてそれぞれの楽器がいつ・どんなフレージングをするか、までを決めます。

クラシックなどでは、「ピアノ一台の演奏」をオーケストラ編成としてどんな楽器でどう演奏するかということに置き換える工程を指します。

そもそも「編曲」の「編」という字は「編む」という言葉に使われるものですが、「順序良く並べる」「整理する」などの意味を持っています。

「編集」や「編成」などの言葉を考えるとイメージしやすいはずです。

同じような理由から、「編曲」という言葉も「曲を扱いやすい(聴きやすい)状態に整える」という意味で使われています。

編曲次第で大きく印象が変わる

この「編曲」という工程は、曲の印象を大きく左右するものでもあります。

例えばひとつの「作曲されたメロディ」があった場合、それをピアノの音色で表現するか、またはギターの音色で表現するかは編曲の仕方次第で変わります。

他にも、例えば作曲者が「ここは『C』というコードで」と決めて作曲していた場合にも、「C」の構成音である「ド・ミ・ソ」をそのまま「ド・ミ・ソ」という順番で重ねて演奏したり、編曲によっては「ソ・ド・ミ」という順番で重ねて表現することもできます。

同じような観点から、例えば静かな曲を騒がしいロックにしたり、童謡をお洒落なR&B風にしたり、ということもできます。

「作曲」と「編曲」が同じような意味を持つこともある

サウンドを聴かせる音楽の場合

ここまで「作曲」と「編曲」の違いを述べてきましたが、その反面で、状況によってそれぞれの言葉が同じような意味で使われることもあります

最近特にそれが顕著になっていると感じるのが、PCやスマホを使った音楽制作の場面です。

例えばEDMなどのジャンルでは、メロディやハーモニーと同じくサウンドそのものが重視されます。

そのため「さあ曲を作ろう」と作業を始める時、直接的に「編曲」にあたる「どんな楽器が・どんな音色で・どんなフレージングをしていくか」というところから考え始めていくことが多くなります。

果たしてこれは「作曲」なのか、または「編曲」なのかというと…、どちらとも言い難い部分があるはずです。

「曲を作っている」という観点では「作曲」であり、曲の演奏部分を作って完成品として仕上げているという観点では「編曲」である、とも言えそうです。

このように、「編曲」もある意味で曲を作り上げる行為であるため、「作曲をしながら同時に編曲もしている」という状態が生まれることがあります。

クラシックの場合

上記の例と同じように、クラシックなどでも「作曲」と「編曲」は同じような意味で認識されています。

例えば、歴史に名前を残す偉大な作曲家はオーケストラが演奏する状態までを楽譜に起こして作品としています。

曲のメロディやハーモニーを考えて、それをオーケストラの演奏に置き換えているため、厳密に言えばそれは「編曲」という行為になりそうなのですが…。

世の中では、それぞれの作品は例えば「作曲=モーツァルト」のように認識されているはずです。

その「曲のメロディやハーモニーを考えてそれをオーケストラの演奏に置き換える」ということそのものが「曲を作ること=作曲」だと捉えられているのです。

このような状態が、「作曲」「編曲」それぞれの意味を分かりづらくしている要因であるともいえそうです。

まとめ

ここまで「『作曲』と『編曲』の違い」について考えてきました。

既に述べたように、上記の「EDM」と「クラシック」の例で挙げたような「作曲をしながら編曲もする局面」でそれぞれは同じような意味を持ち、それがこの二つの言葉の意味を難しくしていると考えられます。

現在のように「作曲」と「編曲」という言葉が並列で使われるようになったのは、「編曲者」という担当が存在するように「編曲」がひとつの作業工程として確立されたためだと考えられます。

それでも、ひとまずは「広く楽曲全般を作ること」を「作曲」、そして「楽曲の骨組みが既にある状態をいろいろな演奏形態に整えること」を「編曲」として捉えておくと、まずはそれぞれの言葉の意味を大きく把握できるはずです。

「作曲」と「編曲」、考え出したら奥が深いですね!