演歌の作曲方法を考える(5音メロディ、三和音コード、特有の表現など)

こちらでは、「演歌」のジャンルに分類される曲を作曲するための方法やコツなどについて解説していきます。

※記事最後では、動画による解説、およびその中で演歌作曲の実演も行っています。

演歌だと感じられる要素

ここ最近は「演歌」の分類も曖昧になりつつあります。

その中でも、多くの人が曲を「演歌」だと感じる要素には、主に以下のようなものがあります。

  • 5音から成り立つメロディ(ヨナ抜き音階)
  • 三和音コード
  • 表拍のアクセント
  • ゆったりしたテンポ、伸びるメロディ(こぶし)
  • 予定調和

作曲を行う際、これらの要素を楽曲に盛り込むほど、いわゆる「演歌らしさ」が出るようになります。

それぞれについて、これ以降でより詳しく解説していきます。

1. 5音から成り立つメロディ(ヨナ抜き音階)

演歌の作曲を考える際、真っ先に考えられるのがこの「5音から成り立つメロディ」です。

メロディをこの概念に沿って組み立てることで、一般的に多くの人が演歌だと感じる雰囲気を持ったメロディを作り上げることができます。

「メジャースケール」のおさらい

通常、ポップス・ロックなどの音楽には「メジャースケール」と呼ばれる音階が活用されます。

※関連ページ
メジャースケールの内容とその覚え方、割り出し方、なぜ必要なのか?について

上記のページでも解説している通り、メジャースケールとは平たくいえば「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の並び方(下記図)のことです。

上記鍵盤の図を見るとわかる通り、そもそも音には「ド~高いド」まで「白鍵=7個」+「黒鍵=5個」=12個しかありません。

メジャースケールはその中から白鍵(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)の場所を選んだもの(上記図のI~VII)で、これは

全12音のうちから「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の並び方に沿って選んだ7音

として定義できます。

ペンタトニックスケールの活用

上記に反して、演歌のメロディにはさらに音を絞った「ペンタトニックスケール(下記図)」と呼ばれる音階が活用されます。

上記図の通り、ペンタトニックスケールは前述の「メジャースケール」の中にある四番目、七番目の音を抜いたもので、そこから「四(よ)・七(な)抜き音階」などとも呼ばれています。

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演歌の作曲家として有名な古賀政男さんが広めた音階とも認識されており、「古賀音階」「古賀メロディ」などとも呼ばれます。

これを、前述の「ド」を中心としたキー(Cメジャーキー)で表すと

「ド・レ・ミ・ソ・ラ」

となり、その平行調である「ラ」を中心としたキー(Aマイナーキー)で表すと

「ラ・ド・レ・ミ・ソ」

となります。

※関連ページ
マイナーコードとは? 成り立ちとマイナーキー(短調)によるコード進行の作り方 曲のキー(調)を判別する方法【コードのみからキーを判別する】そもそも「キー」とはどのようなものか?

この音階は和風な雰囲気を持っており、日本らしさや「和」を感じさせる楽曲などにも活用されていますが、同様に演歌を作る際にもこの音階を活用することで、いわゆる演歌らしい雰囲気を持つメロディを作り上げることができます。

以下音源は、上記にある「ド・レ・ミ・ソ・ラ」だけを使って作り上げた簡単なメロディの例です。


これを聴くだけでも、そこから演歌らしい雰囲気を感じ取ることができるはずです。

演歌の作曲においては、この概念を活用してメロディを作り上げてみて下さい。

2. 三和音コード

二つ目に挙げられるのが「三和音のコード」を使う、というアイディアです。

これは、文字どおり三つの構成音から成り立つ和音(コード)を楽曲に活用するやり方を指します。

ダイアトニックコードのおさらい

通常、作曲におけるコードには「ダイアトニックコード」と呼ばれるコードのグループが活用されますが、これは前述した「メジャースケール」をコードに置き換えたものです。

※関連ページ
ダイアトニックコードとスリーコード(成り立ちとコードの役割などについて)

つまり、

  • メロディ=「メジャースケール」
  • コード=メジャースケールをコードに置き換えた「ダイアトニックコード」

によってそれぞれを組み立てることで、メロディとコードに同じ音を活用することとなり、両者が程良く調和するのです。

多彩な響きを生み出す「セブンスコード」や「テンションコード」

そのうえで、上記「ダイアトニックコード」は通常「三和音」をベースとして、そこからさらに構成音を増やした「セブンス(四和音)コード」や「テンションコード」などへと発展させることができます。

※関連ページ
セブンスコード(四和音コード)の成り立ちや意味などについて テンションコード|概要とコード表記、コード進行例などの解説

これは、例えば

C → Am → Dm → G

という三和音コードのみの構成を、

CM7 → Am7 → Dm7 → G7

のような、セブンスコードを活用した構成にそのまま置き換えられることを意味します。

(セブンスコード・テンションコード等は三和音コードの先にある概念のため、三和音で歌えていたメロディがそのまま歌えます)

ポップス・ロックなどの作曲ではこれらの概念が頻繁に活用され、「セブンスコード」や「テンションコード」によって構成音を増やす程に響きは多彩になり、それによって都会的で華やかな雰囲気を生み出すことができるようになります。

また、これらのコードはジャズやR&Bなど海外の音楽にも頻繁に使われているため、この響きが直接的に「ジャズっぽい」「R&Bっぽい」という印象を抱かせます。

シンプルな響きが演歌らしさを生む

反面で、演歌は一般的に素朴な響きを持っているものと認識されています。

つまり、前述したような「都会的」「華やか」でジャズやR&Bを感じさせるようなものとは対極にあるものとして捉えられている、ということです。

そこから、「セブンスコード」や「テンションコード」等の、構成音の多いコードを多用せず、あえてコードを三和音にとどめることによって演歌らしい響きをそこに生み出すことができるようになるのです。

コードを考える際には、前述した

C → Am → Dm → G

という構成を優先するようにして、なるべくシンプルな響きを目指すようにすると、より演歌らしい雰囲気に近づけることができるでしょう。

3. 表拍のアクセント

三つ目は「アクセントを表拍に置く」というアイディアです。

これも、前述した「ペンタトニックスケール」とあわせて日本的な音楽を考える際よく引き合いに出されます。

「海外の音楽らしさ」から離れる

ポップス・ロックなど、海外で生まれ発展した音楽は「1・2・3・4」という拍の間にある「・」の部分を感じることに重きが置かれています。

これらを「裏拍」などと呼んだりしますが、この部分をきちんと演奏に盛り込んで、ノリを出すことによっていわゆるポップスらしさ、ロックらしさが生まれます。

反面で、日本らしい音楽はこの「1」「2」に相当する部分(表拍)を強く押し出すものとされており、例えば「〇〇音頭」のような音楽のアクセントを考えると、それを理解できるはずです。

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音頭や演歌などの手拍子は、主に一拍目や三拍目で打たれます。

これらを踏まえ、演歌を作る際にも表拍を重視し、そのようなリズムを持つ曲に作り込むことがポイントとなります。

4. ゆったりしたテンポ、伸びるメロディ(こぶし)

四つ目に考えられるのは、演歌特有の「ゆったりした雰囲気」で、これには物理的に曲のテンポを落とすことや、メロディを刻まずに伸ばすことが検討できます。

この点は実際のところ曲調によりさまざまですが、多くの人が「演歌だ」と感じるようなものに作品を仕上げるためには、じっくりと向き合えるような落ち着いた雰囲気を曲に盛り込むべきです。

5. 予定調和

最後にご紹介するのは「予定調和」という点で、これは

このあとこうなってほしい→なってくれた

とリスナーに感じさせる性質を曲に盛り込む、ということです。

メロディやコードの「主音」「主和音」を意識する

予定調和を考えるうえで大切なのが、メロディやコードの進ませ方・落ち着かせ方、です。

これらを円滑に作り込むためには前述したメジャースケールやダイアトニックコードの知識とあわせて、コード進行の基本的なルール、メロディのパターンなどについて理解を深めておく必要があります。

※関連ページ
【コード進行とは?(コード進行の作り方)】どのような手順に沿ってコード進行は作られるのか?を考える メロディのパターン・種類を考える|音階やリズムによる17のアイディア

特に、「主音」「主和音」(メジャースケール・ダイアトニックコード内の一番目)の存在をきちんと聴かせることが重要で、これは例えば「キー=C」の音楽において

F → G → C

というように、要所要所で主和音「C」を登場させることなどを意味します。

同じように、主和音を連想させる「属和音」(ダイアトニックコード内の五番目)も重要で、上記にあるような

G → C(V → I)

というコードの流れが予定調和らしい響きを生みます。

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「予定調和」とは、言い方を変えれば「よくある形」とも解釈できます。

いろいろな曲を聴き、それらによく使われているコードの流れやメロディの音階などを活用することで、演歌らしい曲調を実現できるはずです。

動画で解説

文章ではよくわからない!」という方のために、下記動画でも演歌の作曲について解説しています。

(※動画後半では演歌の作曲を実演しています)

是非参考にしてみてください。

まとめ

ここまで演歌の作曲方法やコツなどについて詳しく解説してきました。

ポイントとなる点を改めて以下にまとめます。

  • 5音から成り立つメロディ(ヨナ抜き音階)
  • 三和音コード
  • 表拍のアクセント
  • ゆったりしたテンポ、伸びるメロディ(こぶし)
  • 予定調和

これらを踏まえ、是非魅力的な演歌の楽曲を作り上げてみて下さい。

上記から発想を広げることで、程良く現代的な演歌に仕上がっていくはずです。

補足

作曲上達の方法について、以下のページにて詳しく解説しています。

【作曲を独学で進めるときの勉強方法】これをやれば作曲は上手くなる!「上達に欠かせない5つの柱」とは?