こちらのページでは、コードの中でも複雑な響きを持つ「テンションコード」について解説していきます。
記事最後には動画による解説も行います。
目次
テンションコードの概要
「緊張」=「テンション」
「テンションコード」とはコード表記の中に「9」「11」「13」を含むもので、構成音中の高音部に特定の音が付加されたコードを指してそう呼ばれます。
一般的な三和音や四和音に比べ構成音が増えることで響きが複雑になるため、それらの和音が持つ緊張感を総称してテンション(緊張)コードという名称によって分類されています。
四和音に対してさらに音を付加する
コードは、メジャースケール中にある七つの音のうちの基準となる音から「1番目(1度)」「3番目(3度)」「5番目(5度)」の音を使用して形成されます。
コードの構成音:キー=Cでの例
「C(I)」の構成音
- ド(1度)、ミ(3度)、ソ(5度)
「C(I)」に7度の音を付加した例 ※CM7
- ド(1度)、ミ(3度)、ソ(5度)、シ(7度)

「2度」「4度」「6度」を活用する
前述の通り四和音のコードが作られている時点では、既にメジャースケール中の「1度」「3度」「5度」「7度」が使用されています。
コードの構成音例(四和音):CM7
この状態から新たな音を付加するにあたっては、メジャースケール中でまだ利用されていない「2度」「4度」「6度」を活用します。
それぞれの音は通常ルート音から1オクターブ以上離れた上部に付加されます。
オクターブ(7音)経過したあとの「2度」「4度」「6度」であるため、例えば「2度」であれば「7+2」で「9度」などと呼ばれます。
「ド」を「1度」とした場合の「9度」
「4度」「6度」についても同じような概念から「11度」「13度」などと呼ばれ、コード表記におけるそれぞれは「ナインス」「イレブンス」「サーティーンス」として扱われます。
- 2度=9度=ナインス
- 4度=11度=イレブンス
- 6度=13度=サーティーンス
下記は、「ド」を「1度」としてそこから「3度」「5度」「7度」「9度」までを積み重ねたコードの図です。
「CM7」に「ナインス」が付加された状態であるため、「CM7(9)[シーメジャーセブンナインス]」のような形で表記されます。
「CM7(9)」の構成音
- ド(1度)、ミ(3度)、ソ(5度)、シ(7度)、レ(9度)
テンションコードの利用例
「9th」の付加
テンションコードの中でもロック・ポップスにおいて頻繁に利用されるのが「9th(ナインス)」です。
ナインスのテンションは通常ダイアトニックコード内の「IM7」「IIm7」「IVM7」「V7」に活用されます。
また、中でも「V7」においてはテンションノートの変形が認められており、ナインスを半音上下させて「♭9th(フラットナインス)」「#9th(シャープナインス)」とすることもあります。
下記は、四和音の状態のコード例です。
- CM7 → Dm7 → G7 → CM7(IM7 → IIm7 → V7 → IM7)
- CM7(9) → Dm7(9) → G7(♭9) → CM7(IM7(9) → IIm7(9) → V7(♭9) → IM7)
ここでの例の様に、通常の四和音の構成にナインスを付加して、手軽にテンションを含むコード進行を作り出すことができます。
また、テンションコードは四和音の構成を発展させた概念であるため、四和音の構成で歌えていたメロディも問題なく歌うことができます。
「13th」の付加
ダイアトニックコード内の「V7」に対する「13th」の付加も、R&Bなどで頻繁に見かけられる手法です。
またナインスと同じように、こちらでも「13th」を半音下げた「♭13th(フラットサーティーンス)」が活用されます。
下記はサーティーンスを含んだコード構成の例です。
- CM7(9) → Dm7(9) → G7(13) → CM7(IM7(9) → IIm7(9) → V7(13) → IM7)
ここでの例を踏まえると、ダイアトニックコード内の「V7」にはさまざまなテンションを付加できるということがわかります。
「add9」の構成
既にご説明した通り、テンションコードは四和音を前提としてその先にある概念となっています。
反面で、ロック・ポップスにおいては三和音の状態に直接ナインスの音を付加する「add9(アドナイン)」というコードも同様に活用されます。
「add」とは「付け加える」というような意味を持つ英単語ですが、「add9」とはすなわち「9thを付け加えている」ということを意味しています。
例えば「Cadd9」というコードであれば、「C(ド・ミ・ソ)に9th(レ)を付け加えている」=「(セブンスを含まない)三和音の状態に直接9thが付加されている」ということを表します。
これは本来の意味での「テンションコード」とは違った特殊なコードに分類されるようなものですが、ナインスの利用とあわせて覚えておくと整理しやすいはずです。
「add9」は通常ダイアトニックコード内の「I」または「IV」に対して実施されます。
下記は「add9」を活用したコード構成の例です。
- Cadd9 → Fadd9(Iadd9 → IVadd9)
三和音の響きに直接ナインスが付加されるため、セブンスを含むテンションコードに比べてそこからは神秘的な印象を受けます。
動画で解説
「文章ではよくわからない!」という方のために、以下の動画でもテンションコードについて、実演を交え解説しています。
是非参考にしてみてください。
まとめ
下記はテンションコードのまとめです。
- テンションコードは四和音を前提とした概念である
- 「9th」「11th」「13th」がある
- ロック・ポップスで頻繁に使われるのは「9th」
- 「V7」にはいろいろなテンション付加が認められている
一見難しそうなテンションコードも、ダイアトニックコードの延長として捉えると理解しやすいはずです。
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