作曲初期は質よりも量を重視すべき なるべくたくさん作ることで得られるもの

作曲への取り組み方についてよく、

「質より量を重視すべきか、または量より質を重視すべきか」

というような議論を目にすることがありますが、この点について私は、作曲を始めたばかりの頃は特に「質より量」でいくべきだと思っています。

曲の質にこだわりすぎて作る曲の数が少なくなってしまうくらいなら、曲の質は二の次にしてとにかく数多く曲を作るべきです

こちらではそのあたりについて詳しく述べてみます。

初期はそもそも質にこだわれない

作曲初期に作る曲の「質」を追求しても、いろいろな判断が曖昧になってしまうことから思ったほどの効果が得られないものです。

作曲に慣れていない頃は、

  • 良い曲/良くない曲の基準がわからない
  • 基本的な音楽のルールがわからない

という状態にあることから、曲の品質をきちんと見極めるための明確な尺度を持てていません

そのような中で作曲の質を重視したところで仕上がる曲にはさほど違いがなく、かける時間に対する効果はやはり薄いといえます。

つまり、質にこだわろうにもこだわりようがないのです。

曲を完成させなければ自信も得られない

また、作曲の自信は曲を完成させることで初めて得られるものです。

品質に気を取られすぎて曲の完成を先延ばしにしてしまうと、いつまで経っても経験が積み上がらず、その分自信も得られません。

“check”

人によっては「品質を追求している」という表向きの理由の裏で、ただ単に完成させることをためらっていたり、だらだらと作曲をしているだけだったりするケースもあります

上達を目指すうえでは、経験を積み、その経験を自信に変えていくことが欠かせないため、質にこだわりすぎて経験を後回しにしてしまうやり方は、特に初期においてはやはり好ましいといえません。

量を重視すると自信がついて方向性も見える

一方で、完成させる曲数の方に重きを置くと作曲の経験が積み重なり、それとともに、

「自分でも作曲できるんだ」

という自信もついていきます。

自信がつくとそれが誇りとなり、また「さらに次の曲を作りたい」という意欲にもなります。

結果として作曲を続けていくことになり、それがまた新しい曲の完成にもつながってさらに自信がつき、上達に向けた好循環が生まれていきます

完成した曲の量があることで方向性が見える

また、作る曲の量を重視するとそれなりにいろいろなパターンの曲が揃ってくるため、そこから自分の得意なものや、作るべき音楽の方向性などが見えてきます

例えば、なにげなく同じような感覚で10曲ほど作ってSNSなどに曲を公開したとしても、そこに寄せられるコメントや評価の数には偏りが生まれるものです。

“check”

作り手としてそこまで思い入れがなかったもののいざ公開してみるとやけに評判が良かったり、またその反対に、なかなか良い仕上がりかなと思った曲に対する反応が案外薄かったりと、聴き手からのリアルな評価が得られます。

このような経験は、複数の曲を作りきってこそ得られるものです。

そして、評判が良かった曲やその音楽性こそが「自分が今やれること」と「聴き手からの需要」の重なるポイントだといえます。

それらをヒントにしながら、今後自分がどのあたりを伸ばして、どんな音楽性に取り組んでいくべきかを検討することができます。

量を重視することでそれが品質にもつながる

作曲の量をこなすことで必然的に作曲にも慣れて、作業のスピードは上がり、やれることの幅も広がっていくものです

これも量を重視する利点だといえますが、突き詰めていえば、そのように作曲の量に重きを置くことでおのずと作曲の質も高まり、結果としてそれが作る曲の品質を磨くことにもつながっていきます

そのようにして、

  1. 曲の質よりも量を重視する
  2. そこから、結果として曲の質もあわせて高まっていく

という状態に持っていくのが最も理想的です。

「雑な作業を許容する」ということではない

もちろん「作曲する量を重視する」という言葉を、

「いい加減な作曲を雑に繰り返して質の低い曲を量産すること」

だと履き違えてしまわないように注意すべきです。

なるべくたくさんの曲を作るようにしながらその都度持てる力を振り絞って自分がやれることを精一杯やるべきで、それが考える経験になり、作りきった達成感や既に述べた作曲の自信につながっていきます。

試行錯誤する姿勢を忘れず、その一方であまりに質にこだわりすぎず、なるべくスピーディーに判断を下しながら「曲を完成させること」を優先して作曲を続けていけば、上記で挙げたような好循環が生まれていくはずです。

まとめ

以下はここまでに述べた「作曲初期は質より量を重視すべき」という点のまとめです。

  • 作曲初期は、質にこだわろうとしても判断の尺度が曖昧なため思ったほどの効果が得られない
  • 完成させた曲の量が増えるほど作曲に対して自信がつき、自分の得意なことや取り組むべき音楽性も見えてくる
  • 量をこなしながらそれを質につなげていけると最も理想的
  • ただ雑に量をこなすのではなくきちんと試行錯誤する姿勢も大切

こちらで述べている内容をもとに、特に作曲初期は「質より量」を意識しながらたくさんの経験を積むよう意識してみてください。

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