「さあ、作曲をやろう!」と始めたものの、いまいち良いメロディやコード進行が思いつかない…。
あれこれやっているうちになんだか疲れてきてやめてしまう、というのはよくあるパターンです。
こちらの記事では、そんな時の打開策となるようなアイディアを考えてみます。
目次
打開策(1):キーやコードを変える
いつも弾くコードを使わない
「自分が作曲しやすいキー」や「手グセのように弾いてしまうコード」は誰しも持っているものです。
初心者の方であれば「キー=C」や、お気に入りとして弾いてしまう「D」のコード、など。
実際の作業の中でも、ついついそのようなコードを使って作曲を始めてしまいがちです。
ここでお勧めするのは、そんなマンネリな雰囲気を変えるための「キーやコードを変える」というアイディアです。
これは、上記のようになんとなく弾いてしまうキーやコードの使用をやめて、意識的にいつもと違うものを使用して作曲に取り掛かる行為を指します。
セーハコードや黒鍵系コードをあえて使う
例えば、ギターを弾く方にとっては「C」「G」「D」などは馴染みの深いコードと言えます。
これらは開放弦を含む「ローコード」と言われるものであり、押えやすいからというのがその主な理由となっています。
反面で「セーハコード(バレーコード)」と言われる、人差し指を伸ばしながら押さえる「F」や「Bm」などのようなコードは少し敬遠される風潮があります。
同じように、ピアノでコードを押える場合にも黒鍵を多く含むコードよりも白鍵の数が多めとなるコードの方がより好まれます。
そこで、ここではそのようなコードを作曲の取り掛かりとしてあえて活用してみることをお勧めします。
いつものコードを少し変える、というアイディアもあり
それらのコードは、具体的には「C#」や「F#」「G#」「B♭」などです。
いつも使わないコードを鳴らすことでそもそもの響きが新鮮に感じられます。
また、そのようなコードから次なるコードへ進めていく行為にも馴染みが無いため、結果的に「コード進行」という観点でも新鮮な感覚が得られます。
これと同じように、例えばいつも「C」のコードを使って作曲を始めてしまいがちであれば、それを「C7」や「Cm」にしてみたりすることも考えられます。
もともとのローコードとは違って少し弾きづらくなりますが、それによりまた新鮮な雰囲気が生まれ、アイディアを導きやすくなります。
カポやトランスポーズの活用
ギターを弾きながら作曲をする方は、「カポ」を使用することで手軽に普段自分が弾かないキーでの作曲が実現できます。
例えばいつも「C」から「C → Am」などというコード進行を手グセのように弾いてしまうとしても、3フレットにカポを付ければ、それは「E♭→ Cm」となります。
響きが手軽に変わるため、前述の通りを新鮮に感じられるはずです。
同じように、キーボードのトランスポーズ(移調)機能を使う、というのも一つの手です。
これは、鍵盤上で「C」を押えつつも、スピーカーから鳴る音を「E♭」などにする機能で、ギターでの「カポを使うやり方」と同じ効果が得られます。
※ただ、「C」を弾いて「E♭」の音がするわけですから、これは絶対音感がある人からすると相当違和感があるはずです(笑)。
打開策(2):リズムを変える
よくあるリズム
ポップスやロックの「作曲」というと、ほとんどの方が「4拍子」のリズムを想定するはずです。
いわゆる「ワン・ツー・スリー・フォー」とカウントできるリズムです。
多くの人はこの「リズム」という側面からもマンネリを感じてしまうため、ここでは「リズムを変える」というアイディアをご提案します。
拍子や音符を変えるだけで新鮮に感じられる
リズムに関して詳しくは下記をご参照いただきたいのですが、上記の「ワン・ツー・スリー・フォー」(拍子)には「4拍子」以外にも「3拍子」という存在があります。
作曲に活用できるリズムの種類(曲作りの幅を広げる)
また、同じく上記記事でご紹介しているとおり、音符の種類も「8分音符」「16分音符」などに分類することができます。
普段なんとなく「タン・タン・タン・タン」と馴染み深いテンポで作曲に取り掛かってしまいがちなところ、そのような観点からリズムを変えてみて下さい。
同じ「4拍子」でも16分音符を導入するだけで雰囲気は大きく変わりますし、「3拍子」で良い雰囲気のリズムが出せればその分アイディアも膨らんでいくはずです。
シャッフルを含む、いろいろな音楽のリズムを想定する
これに加えて、上記の別記事にもあるとおりリズムには「シャッフル(スウィング)」という概念があります。
これは「タタタタ~」を「タッタタッタ~」というような形で捉えるリズムのことで、「跳ねるリズム」とも言われます。
普通の「4拍子」のリズムをシャッフルリズムによって跳ねさせてみる、というのもアイディアの一つと言えるでしょう。
これらをもとに、例えば「R&Bっぽくしてみよう」とか、もっと具体的に「あの曲のあんな感じのリズムでやってみよう」というように、曲調をイメージできるといろいろなアプローチが考えられるはずです。
打開策(3):サブドミナントからコードを始める
「IV」からコードを始める
最後にご紹介するのは、少し音楽理論的になりますが「サブドミナントコードからコードを始める」というアイディアです。
※「サブドミナントコード」について、詳しくは下記の記事をご参照ください
ダイアトニックコードとスリーコード 概要や成り立ち、コードの役割などについて
多くの人は、例えば「C」というコードを弾くとそれを「キーの元となるコード(トニック)」と捉えてメロディを発想してしまいがちです。
そのため、コード進行も同じく「C → Am」のようにトニックを前提として発展させていくこととなります。
このやり方は初心者向け作曲の基本とも言えるため無理もないのですが、ここでご紹介しているのは「それをやらない」というアイディアです。
具体的には、「キー=C」のダイアトニックコードである「C, Dm, Em, F, G, Am, Bm-5」を活用しつつも、「C」からコードを始めずに、サブドミナントコードである「F」(IV)からコードを始める、ということです。
トニックをまず初めに意識することがポイント
このアイディアでは、サブドミナントコードを使用することでコードの響きがいつもと変わります。
「どう変わるのか?」と言われると説明が難しいのですが…、いわゆる「サブドミナント的」になります。
そのため、上記の例で言う「C」(トニック)のコードとはまた違った雰囲気がそこに生まれ、それによりいつもは思いつかないようなアイディアを思い浮かべることができるはずです。
注意すべきは「サブドミナントコード」として弾いているコードを「トニック」と捉えないことです。
この例で言う「F」から例えば「F → Dm」という展開は、「キー=F」でいう「I → VIm」とも捉えることができるため、キー=Cでいう「F → Dm」とそれを混同しないように注意が必要です。
ポイントは、コード進行とは別に「最初にトニックのコードを鳴らしておく」ということで、それにより一旦「『キー=C』である」ということをしっかりと意識します。
その上で「F」からコードを始めてメロディやコード進行を思い浮かべていくと、それをサブドミナントコードとして扱っていくことができるはずです。
まとめ
ここまで、良いメロディやコード進行が思いつかない時の打開策について考えてみました。
それぞれのアイディアをまとめると下記の通りとなります。
- コードやキーを変える。カポやトランスポーズを使うと手軽に実現できる。
- リズムを変える。さまざまなリズムを思い浮かべてそれを作曲に取り入れる。
- サブドミナントコードから始める。あくまでも「サブドミナントコード」ということを意識することがポイント。
作曲を続けるほどに、新鮮なメロディやコード進行を思い浮かべることが難しくなっていくと感じられますが、反面で経験を積むほどに引き出しが増えていくのも事実です。
ここでのアイディアをもとに、いろいろな可能性を探りながら曲作りに取り組んでみて下さい。
補足
上記の内容と関連して、「どのように作曲の経験を積めばいいのか?(作曲上達への正しい道筋)」という点について以下のページで解説しています。
是非参考にしてみて下さい。
作曲を独学で進めるときの勉強方法 「上達に欠かせない5つの柱」とは? これをやれば作曲は上手くなる!
ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る
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