こちらでは作曲における曲展開のコツとして、親しみやすい雰囲気を生み出すために欠かせない「繰り返し」と「規則性」という概念について解説していきます。
「繰り返しと規則性」の概要と例
リスナーは構成を聴いている
リスナーは潜在的に曲構成を把握しながら曲を聴いています。
そのため、曲を展開させる際に構成面でのわかりやすさを曲に盛り込むで、それは捉えどころのあるものとなり「親しみやすい曲だ」とリスナーに認識されます。
ここでいう「構成面でのわかりやすさ」とはすなわち「繰り返し」と「規則性」を指しています。
メロディの構成、コード進行、ブロックの小節数などに繰り返しと規則性を設けることで、それらがわかりやすさを生みます。
繰り返しと規則性の実施例:メロディ
以下は、親しみやすさに配慮したメロディとそうでないものの比較例です。
- メロディA:ドレミ・ドレミ・ドレミファ
- メロディB:ドレミ・ミソ・ファレドレ
この例では、一聴してAの方に親しみやすさを感じるはずです。
「ドレミ・ドレミ」という繰り返しによって構成に規則性が生まれており、つながっているフレーズがひとつのまとまりとして意味のあるものに感じられます。
それとは反対にBは構成に規則性がなく、単に音がつながっているだけで散漫なものに感じられます。
繰り返しと規則性の実施例:コード
次に、下記はコード進行において親しみやすさに配慮した構成とそうでないものの比較例です。
- コードA:C→C→Dm7→G7→C→C→Dm7→G7
- コードB:C→Em→Dm→F→G→F→Em→Am
メロディの例と同様にAは構成を容易に把握できて、親しみやすいものに感じられます。
反面で、Bはコードの構成に意図が感じられません。
Bはコードの展開に規則性がなく、ただ単にコードがだらだらと並んでいるだけだと感じられます。
上記比較例からわかること
上記の「親しみやすいメロディ・コード」に共通していることは、音やコードの流れをある程度のまとまりで区切り、それを適度に繰り返して規則性を持たせている、ということです。
この「要素をまとめる」ということ、そしてそれを「繰り返す」ということ、さらにはそこに「規則性を持たせる」という点はポップス・ロックを作曲する上でのポイントとなります。
作曲においてメロディやコードに親しみやすさを盛り込む際には「どのようにそれらを繰り返しながら展開させていくか」という発想のもとに作業を進めるようにしてみて下さい。
さまざまな繰り返しの手法
既に述べた「繰り返す」という概念は、ポップス・ロックの作曲においてさまざまな手法で活用されています。
以下はその例です。
- 同じメロディをそのまま繰り返す
- メロディの音階を変えてリズムのみを繰り返す
- メロディを繰り返しながらコードは展開させる
- コードを繰り返しながらメロディを展開させる
- 数小節の構成を二回繰り返してAメロとする
- 曲の最後にサビのブロック繰り返す
直接的に同じことを繰り返すというやり方はもちろんのこと、さまざまな解釈によって繰り返しが演出されています。
さらには、これらを踏まえたうえで「あえて繰り返さない」という構成を意図的に盛り込むことも検討できます。
直前に細かい繰り返しが配置されている場合などは、それとの対比によって「繰り返しがない=次々と展開してく」という構成が新鮮なものに感じられます。
まとめ
ここまで、作曲における曲展開のコツとして「繰り返し」と「規則性」の手法について解説してきました。
既に述べた通り、ポップス・ロックの作曲においてこれらは欠かすことができない概念です。
既存の曲の中で同じ要素がどのように提示されて繰り返されているかを分析していくと、曲展開についての理解を深めることができるはずです。
「繰り返し」と「規則性」を上手に操って、是非魅力的な楽曲を生み出してください。
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