作曲が上手くならない人の特徴3つ 特に注意したい「上達から遠のいてしまう行動」

私は作曲を教える立場として日常的にいろいろな人と関わっていますが、その中には、

  • 初心者のレベルから着実に経験を積み重ねてものすごく上達する人
  • いつまで経っても初期の状態とさほど変わらない人

の両方がいて、レベルアップの度合いは本当に人それぞれだということを肌で感じています。

またなかなか上達しない人には必ずその理由があるもので、「それさえきちんと理解しておけばもっと楽しく作曲活動に取り組めるのに…」と思うこともよくあります。

こちらでは、そんな「なかなか上手くならない人」を減らすことを目的として

どんな人が上達できないのか?(上手くならない人の特徴)

という点について改めて考えてみます。

上手くならない人の特徴

特徴1. 作っている曲を途中で放り出す

例えば「なんとなく作曲をやってみようかな」と思い立って、

短いフレーズを少し作る
→すぐにやめてしまう
→また別のフレーズを少し考える
→またやめる
→また別の…

というようなことを繰り返し、小さなカケラだけを延々と作り続けるようなことをしていても、決して作曲は上達しません。

私の経験上、恐らくこの

作っている曲を途中で放り出す(=曲を作りきらない)

という状態が、もっとも上達につながらないものだと考えています。

check

これまでいろいろな人を見てきた中でも、取り掛かった曲を途中で放り出して作りきらない人は本当に上手くなっていません

作りきることが経験になる

作っている曲を途中で放り出すことがなぜ上達につながらないかといえば、それは、私がいろいろなところで述べているとおり、

作曲の経験値は「曲を作りきること」によってたまるもの

だからです。

上記で例として挙げたような「作ってやめて、作ってやめて…」ということを繰り返している人は案外多いはずですが、それは(厳しい言い方をすれば)「作曲を経験すること」になっていません

メロディを考えたりコードをつなげたりする行為をきちんとした「作曲の経験」にするためには「曲を作りきること」が必要で、そのためには一度始めた作曲を途中で放り出さないことが大前提となります

それは、別の言い方をすれば

なにげなく考えたメロディやハーモニーになんらかの展開を作り、きちんとまとめあげること

であり、その「まとめる」という行為がつまりは「曲作り」になるからです

まとめる経験を積み重ねることがそのまま曲作りの経験になり、それを通して初めて作曲の技術を向上させられるようになります。

いまいちだと思っても作りきらなきゃだめ?

この問題について述べるときによくいただくのが

  • 「いまいちな曲だと思っていてもそれを作りきらなければだめですか?」
  • 「作っている曲に納得できないと作るのをやめたくなってしまう」

という相談です。

これは、恐らく「途中で放り出す」という状態を生む一番の理由になるものですが、結局のところこの点をどう乗り越えるかがこの問題の本質だといえます

つまり、

いまいちな状態を、自分なりに試行錯誤して「いまいちではない状態」「納得できる状態」に持っていき、曲をまとめ上げる作業が作曲の上達に欠かせない

ということです。

check

もっと簡単にいえば、気に入らないからといってそれでやめてしまうのではなく、どうすれば納得できる状態になるかを考えて試行錯誤することが大切だということです。

これは数ある「上手くならない特徴」の中でも、かなり重要な問題であるため、思い当たるふしがある人はぜひ取り組み方を見直してみて欲しいです。

特徴2. 作る曲数が少ない

次の特徴として挙げられるのが「作る曲数が少ない」という点で、これは純粋に行動の量そのものが足りていない状態だといえます。

既に述べた通り曲を作りきらないことは避けるべきですが、作りきったとしても例えばそれが年に1~2曲だとしたら必然的に作曲する感覚はなかなか養われず、上達の速度もその分鈍くなってしまいます。

作らずして上手くなろうとしている状態

この点については、以下のように私もよくSNSでお伝えしています。

あえてはっきり言いますが、いつまで経っても曲を作れるようにならない人は圧倒的に量が足りてない。週に数時間しか作曲のこと考えないのに「全然上手くならない…」ってそれは当然。上手くなる人って実際めちゃくちゃ作ってます。とにかく変に裏技探そうとしないでたくさん作ろう。それで伸びます。

この投稿でも述べているとおり、多くの人は裏技を探してなるべく曲を作らずに上達しようと考えますが、それは根本的におかしな話です。

というのも、作曲は作曲を通して上達するもので、作らずして上手くなることはありえないからです。

とにかくあれこれ考えず、なるべくたくさん作るようにすればそれがそのまま作曲の経験値となって、より早く上達できます。

check

私が見てきた人の中でも上手くなる人はやっぱり全員もれなくたくさん曲を作っています

作る曲数の目標を立てる

これを解決するために最も効果があるのが「作る曲数の目標を立てる」というやり方で、さらにはただなんとなく目標を立てるだけではそれを達成する意欲も湧きづらいため、

  • (ネットでもリアルでもいいので)なんらかのイベントに参加する
  • SNSやネット配信など通して曲を公開する
  • 特定の誰かに聴いてもらう

などの目的を前提として、作る曲数をきちんと積み上げていくのがおすすめです。

それによって作曲はより継続的になることから、この「作る曲数が少ない」という状態を意図的に回避できます。

定期的なライブ活動をしている人などはこの点で有利だといえますが、いずれにせよただなんとなくやっているような状態を改善して、明確な作曲(音楽)活動だと捉えて行動していくような意識が必要です。

▼関連ページ 作曲のペースを上げ、保ち続けるための方法を考える 日常的に作曲をして曲作りを習慣化させる

特徴3. 作る曲の内容に進歩がない

上記でご紹介したふたつの特徴を改善して、

  • 曲を作りきる
  • 曲をたくさん作る

という二点を満たせば絶対に作曲は上達する、というわけではないのがまた難しいところです。

それにつながるものが、ここで挙げている「上手くならない特徴」の最後のひとつ、

作る曲の内容に進歩がない=ただ何も考えず同じことを繰り返すように作曲をしている

という状態です。

これは、少し作れるようになった人の伸び悩みの原因ともいえるもので、私がこれまでに見てきた人の中でも、

「作曲できるようにはなったけど、成長しているかといわれればそうは言いがたい」

という人の多くが、こちらに相当する特徴を持っているものです。

考えることで上手くなる

もちろん、曲を作りきることで作曲の経験値はたまり、また継続して作曲を繰り返すことで徐々にその感覚は養われていきますが、そのうえでさらに大切なのが

より良くするためにはどうすればいいか?

と考える姿勢です。

何ごとにおいてもそうですが、技術を磨くためにはさらに上を目指す心意気が大切で、具体的には

  • 作り終えた曲を振り返り、何が良くて、またどの点が改善できそうかを考える
  • 新しい作曲のアプローチを身につけるために、音楽理論や作曲を学ぶ
  • 理想とする曲を分析して、自分が作る曲との違いを考える

などを通して、作曲のたびに前回の曲よりも良いものを目指すべきです。

それには、上記で挙げた通り音楽理論および作曲法の学習や曲分析、またそもそも幅広くたくさんの音楽を聴いて、インプットを増やすことも大切です。

私はこれを「作曲上達に欠かせない5つの柱」としてまとめていますが、現在その点に悩んでいる方は是非それらも参考にしてみてください。

▼関連ページ 作曲を独学で進めるときの勉強方法 「上達に欠かせない5つの柱」とは? これをやれば作曲は上手くなる!

まとめ:作りきる、たくさん作る、考える

以下はここまでに述べた内容のまとめです。

  • 作曲が上手くならない人の特徴は「曲を途中で放り出す」「作る曲数が少ない」「曲の内容に進歩がない」
  • 上達のためには、曲を作りきって、曲数を重ね、より良くしようという姿勢を持つことが大切

もちろん、趣味として純粋に楽しみながら作曲をするうえでは、自分のペースで作曲に向き合えば問題ありません。

一方で真剣に上達を目指す場合には、特にここでご紹介した3つの状態は避けるべきだといえます。

これから作曲を始めようと考えていたり、また既に作曲を始めているもののいまいち上手くなっていないことに困っている方は、このあたりを踏まえて状況を改善させるよう取り組んでみてください。

この3つの点に注意しながら作曲を続ければ、必然的に上手くなっていくはずです。

ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る

作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ