作曲初心者用おすすめのコード進行10パターン メロディを乗せやすい・アレンジしやすいなど、初心者にも扱いやすいコード進行をご紹介します。

作曲の先生、およびコード進行を考えるのが好きな内山です。

世の中には数多くのコード進行が存在していますが、こちらのページではその中でも「作曲初心者が扱いやすい」という点を重視していくつかおすすめをご紹介していきます。

※多彩な響きを感じるために、あえていろいろなキーを使用しています。

キー範囲内のコードのみによるコード進行

1. 二つのコードのみによる構成

(キー=Gメジャー)

G → C → G → C

作曲初心者におすすめできる最もシンプルなコード進行は、そのキーの「ダイアトニックコード」における一番目と四番目のコードを繰り返す構成です。

▼関連ページ ダイアトニックコードとスリーコード(概要や成り立ち、コードの役割などについて)

これらは共に静かな雰囲気を持ったコードであるため、二つを繰り返すことで独特な浮遊感のようなものを演出できます。

かつ、響きの変化も少ないことから、そこにいろいろなメロディを当てはめることができるはずです。

なお、以下はアレンジ型です。

アレンジ型
  • GM7 → CM7 → GM7 → CM7
  • G → C7 → G → C7
  • G → Gaug → C → Cm

2. ダイアトニックコード内のコードを順番に上げていく構成

(キー=Fメジャー)

F → Gm → Am → B♭

ダイアトニックコード内のコードを、一番目から「→二番目→三番目…」と順番につなげていくだけでも、それらしい響きを演出することができます。

ここでは「1→2→3→4」と四番目のコードまでつなげていますが、それにより前述した「一番目と四番目を繰り返す構成」にも近い響きが感じられます。

キーの音に沿って順番に音が変化していくため、スムーズな雰囲気もあわせ持ったものだといえます。

アレンジ型
  • FM7 → Gm7 → Am7 → B♭M7
  • F → Gm → Am → Gm
  • F → Gm → A7 → Dm

3. 安定した響きを持つコードを連結させる構成

(キー=Dメジャー)

D → Bm → Em → A

ダイアトニックコードにある「一番目」と「六番目」は安定した響きを持ったコードだとされており、このコード進行ではそれをつなげています。

冒頭二つのコードにかけて響きの変化は少ないですが、その分どっしりとしたムードが感じられます。

また、ここでの「Bm→Em→A」の流れは「強進行」と呼ばれるもので、いくつかあるコードの進め方の中でも特に説得力のあるものに分類されます。

▼関連ページ 強進行について(通称「4度進行」=ドミナントモーションの元になる力強い音の動き)

アレンジ型
  • D → B7 → Em → A7
  • DM7 → Bm7 → Em7 → A7
  • D → Bm → G → C

4. 安定した響きを持つコードを連結させる構成(別バージョン)

(キー=Aメジャー)

A → C#m → D → E

ここでの「C#m=ダイアトニックコードの三番目のコード」も同じく安定した響きを持っており、そのような意味から上記でご紹介したコード進行のアレンジ版とも解釈できます。

ポイントとなるのは「C#m→D→E」の流れで、これはダイアトニックコードの「三番目」→「四番目」→「五番目」にあたります。

作曲初心者にも扱いやすいコード進行を考えるうえで、このような順番に沿った進行(順次進行)は一つの目安となるはずです。

▼関連ページ 「順次進行」「跳躍進行」の解説と、それらを活用したメロディ作りのアイディア

アレンジ型
  • AM7 → C#m7 → DM7 → E7
  • A → C#m → F#m → E
  • A → C#m → G → D

5. 不安定な響きによってストーリーを感じさせる構成

(キー=Eメジャー)

E → B → C#m → G#m

ここまでにいくつかご紹介した「安定した響きを持つコード」に対して、ここでの「B=ダイアトニックコードの五番目のコード」は不安定な響きを持ちます。

このコードを活用することでコード進行に波のようなものが生まれ、それによってリスナーは響きからストーリーを感じられるようになります

聴きごたえのあるコード進行を作るにあたり、このような構成を盛り込むやり方も検討できます。

アレンジ型
  • EM7 → B7 → C#m7 → G#m7
  • E → B → C#m → B
  • E → B → Cdim → C#m

キー範囲外のコードを含むコード進行

6. セカンダリードミナントコードを含む構成

(キー=Dメジャー)

D → F#7 → Bm

ここで扱われている「F#7」はダイアトニックコードの三番目にある「F#m」をセブンスコードにしたものです。

これは「セカンダリードミナントコード」などと呼ばれ、その後に配置された「Bm=六番目のコード」につながる働きを持っています。

▼関連ページ セカンダリードミナントコード 成り立ちとその表記などをわかりやすく解説します

その特徴的な響きにより、キーの音だけで作られていたメロディからさらにアイディアを発展させることができるはずです。

アレンジ型
  • D → F#7 → G
  • DM7 → F#m7 → Bm7 → F#m7

7. サブドミナントマイナーコードを含む構成

(キー=Cメジャー)

C → C7 → F → Fm

こちらの構成には「C7」と「Fm」という二つの異質なコードが用いられています。

「C7」は前述したセカンダリードミナントコード、そして「Fm」はダイアトニックコードの四番目のコードをマイナーにした「サブドミナントマイナーコード」と呼ばれるものです。

▼関連ページ サブドミナントマイナーコード その概要と使い方 代理コード/終止部分への活用など

このコードの響きには独特な雰囲気があり、それがさまざまなメロディの連想につながります。

キーの範囲から外れるコードでありながらも使い勝手がよく、作曲初心者の方にもおすすめできます

アレンジ型
  • C → CM7 → C7 → F
  • C → Caug → C6 → C7
  • C → C7 → F → B♭

8. 「♭VII」のコードを含む構成

(キー=Gメジャー)

G → F → C → D

ここでの「F」はダイアトニックコードに存在していないコードですが、このような構成も頻繁に見かけられます。

この「F」に相当する「♭VII」のコードはダイアトニックコードにおける一番目のコードにつなげて使用することも多く、いわゆる「ロック的」な印象をリスナーに与えます。

▼関連ページ フラット系三種のノンダイアトニックコード 同主調マイナーからの借用

ここで使用されている通常のメジャーコードの他に、下記アレンジ型にも挙げたとおりセブンスコードで活用されることもあります。

アレンジ型
  • G → B♭ → F → C
  • G → F → Am → B♭
  • G7 → F7 → C7 → D7

9. 「♭III」のコードを含む構成

(キー=Aメジャー)

A → C → G → D

このコード進行に含まれている「C」のコードも、上記でご紹介した「♭VII」に似たもの(「♭III」)です。

同じく強い響きを持ったコードとして活用されていますが、比較的扱いが難しいものに分類されます。

この例のように、ダイアトニックコードの一番目のコードに連結させて使用する形が最もメロディをイメージしやすいはずです。

アレンジ型
  • A → C → D → E
  • AM7 → CM7 → AM7 → CM7

10. 五番目に結びつかない「II7」を含む構成

(キー=Eメジャー)

E → F#7 → A → B

最後にご紹介するのは「F#7=ダイアトニックコードの二番目のコードをセブンスコードにしたもの」を含んだ構成です。

このコードは前述した「セカンダリードミナントコード」として通常五番目のコードに結びつくものですが、ここではそれを回避するように活用しています

作曲初心者の時点では、キーの範囲から外れるコードをいくつかリストアップしておき、それをある程度自由に活用してみるとさまざまな展開が連想できるはずです。

アレンジ型
  • E → F#7 → G → A
  • EM7 → F#m7 → AM7 → B7

メロディ作りに強くなる本

メロディ作りのコツについて、「メロディ作りに強くなる本」というコンテンツとしてまとめています。 「メロディ作りに強くなる本」のご紹介

まとめ

作曲初心者におすすめのコード進行10パターンとそのアレンジ型をご紹介してみましたが、もちろんこれらはあくまでもひとつの例でしかありません。

これらを活用しつつそれをより長い構成に発展させたり、繰り返して曲にしていくこともできます。

自分なりの感性を頼りに、ここでご紹介したコード進行をオリジナル曲制作のきっかけにしてもらえるとありがたいです。

上記に挙げたコード進行を音として聴きながら、それに合うメロディを思い浮かべてみて下さい。

ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る

作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ