実体験から作曲上達への道を考える「私はこうやって作曲を上達させました」(3/6)

上京、そして成長

音源制作により編曲を学ぶ

高校卒業と同時に、私は地元である静岡から上京することになります。

アルバイトをしながら作曲を継続し、この頃録音機材を一式買い揃えて自宅での音源制作も始めます。

現在で言う「DTM」のようなもので、当時は「MTR」という専用の機材を使っていました。

もちろん学生時代にも友達の家でレコーディングを経験していましたが、自宅で好き勝手に機材を動かせるというのはこの上なく楽しいものです。

オリジナル曲のギターや歌はもちろん、ベースを自分で弾いたり、ドラムパターンやコーラスを考えたり、初めて「編曲」をしっかりと勉強し始めました。

これも作曲と同じく独学ですべて進めていきましたが、ゼロから音楽を構築していく過程がとにかく楽しくて、制作に没頭していました。

「自分のための作曲」は「リスナーのための作曲」に

そこから20歳になるとソロでのライブ活動や路上での弾き語りを始めて、徐々に人前で演奏する機会を得ていきます。

その後、21歳の時に組んだユニットでは、作曲・編曲・作詞など作品に関わる役割を受け持ち、初めて真剣に音楽活動に取り組んでいくことになります。

作曲を始めて五年ほどたったその頃には音楽的な知識も増え、また沢山の曲作りを経験していることから作業もかなりスムーズになっていました。

作れる曲のバリエーションも増えて、作曲に対してそれなりの自信とプライドを持つようになっていました。

作曲はもはや自分の「アイデンティティ」とも言えるものになっていて、「作曲ができる自分」が嬉しくて、それに誇りも持っていました。

次々と新曲を作って、毎月ライブをやっていく日々。

趣味で自分のためにやっていた作曲はいつしかお客さんのため、ひいては曲を聴いてくれるリスナーのための作曲に変わっていきます。

もちろんそれまでも友達とユニットを組んだりして、オリジナル曲を披露することはありました。

しかし、ライブ活動を始めて実際にライブハウスに来てくれるお客さんのことを考えるようになったことで、曲作りにそれまでとはまったく違った、良い意味での緊張感が生まれるようになりました

アーティスト的な作曲

リスナーのことを考えながら作曲に取り組み、あわせてライブで演奏するために編曲という観点からも曲作りをする

より真剣に音楽と向き合うようになっていった自分は、ライブの出演を通して他のアーティストとも交流を持つようになります。

そこから、彼らの音楽性に触れることで自分のアーティスト性についても考えるようになっていきます。

音楽仲間のオリジナル曲を聴いてそれをうらやんだり、自作曲にも取り入れたりしながら「自分はどういう曲をやりたいのか」「どんな曲が自分の個性だといえるのか」というようなことをよく考えていました。

それらを踏まえ、より質の高い作品作りに対して模索が始まったのもこの頃からです。

ただの作曲好きな自分がライブ活動を通してアーティスト的に制作に取り組んでいったこの時期。

それまでよりもさらに深く作曲のことを考えるようになった、自分にとっての「第二次・作曲レベルアップの時期」として位置づけられています。

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