作曲のインスピレーションを得るための行動について(良いアイディアが思いつかないときのひらめき)

「ああ、何も思いつかない!」と作曲に頭を悩ませている方に向けて、こちらでは作曲のインスピレーションを得るための行動を考えていきます。

このページの内容が、円滑な創作活動につながれば嬉しい限りです。

インスピレーションの根源は「行動」

インスピレーション(inspiration)とは、直訳すれば「霊感」となってしまいますが、平たくいえば「ひらめき」のようなもの。

作曲を始めとする多くの芸術活動に取り組む人たちが、日々この「ひらめき」を求めてあれこれと試行錯誤しています。

モーション→エモーション

私はこれまで25年以上作曲を行ってきましたが、個人的な経験からいえることは、

作曲のインスピレーションは行動によって生み出される
ということです。

これは、ビジネス書などでよく引用される

モーション(行動)はエモーション(強い感情)を生む

という言葉に似ています。

つまり、頭の中で「なんかいいメロディないかな~」などとぼんやり考えているだけでは、インスピレーションを得ることはできず、そのためには何らかの行動が必要となるのです。

作曲のインスピレーションを得るための具体的な行動アイディア

1. 音楽を聴く

作曲のインスピレーションを得るために最も効果があり、かつ多くの人に活用されているのが「音楽を聴く」というやり方です。

これは主に「既に完成されている楽曲を聴くこと」を指し、言い換えれば「他人の作品に触れること」を意味します。

自分以外の人が生み出したインスピレーションの結果を、そのまま刺激として活用するやり方で、そこから「自分ならこうする」と新しいメロディやコードの流れが思いついたり、純粋にそのサウンドを流用してアレンジすることもできます。

新しい音楽を聴くこと

これにはお気に入りの音楽はもちろんのこと、それ以上に未知の音楽を活用すると思った以上の効果が得られます

若かりし頃の私は、同じようにインスピレーションを得ようとそれまでに自分が聴いてこなかった新たなジャンルの音楽を積極的に聴くようにし、それによって新鮮なひらめきをいくつも得た経験をしています。

check
ちなみに、当時の私が聴いたのはボサノバやMPBなどのブラジル音楽で、その多彩なコードとリズムに圧倒され、その後の作曲にも大きな影響を及ぼしました。

最近では定額制で聴き放題の音楽サービスも充実しており、それらを活用することで気兼ねなく、さまざまな音楽を存分に聴くことができるはずです。

2. 音楽を分析する

前述した「聴く」という行動とあわせ、より作曲に対するインスピレーションを得やすいのが「分析」の行為です。

心に引っかかる音楽に出会ったとき、その内容や感動した理由を自分なりに解釈し、整理することでそれを新たなひらめきにつなげていきます。

「良い音楽」の「メロディ・ハーモニー・リズム」を把握する

「新しいコードの響きやコード進行を活用して2~3曲作ってしまった」というのは作曲をしている人たちにとってよくあることです。

音楽を聴いてそれを「良い」と感じたなら、実際にその曲の楽譜を見たり、自分なりに楽器を触ったりして構造を把握するようにすると再現性が高まり、インスピレーションをより得やすくなります

「作曲」という性質上、「メロディ・ハーモニー・リズム」の三点に対する考察は特に大切で、良い音楽に出会った際には

  • メロディの音階はどのようになっているか
  • どんなコードが使われていてそれらがどうつながっているか
  • メロディ、伴奏はどのようなリズムを持っているか

という点を気にかけ、その内容を自分なりに吟味するようにしてみて下さい。

「良い音楽」の構造を把握する

上記で述べた「メロディ・ハーモニー・リズム」は音楽理論的な側面をより強く持つものですが、それにとどまらず「楽曲の構造」にも良い曲である理由が隠されていることが多いです。

ブロックのつながりやメロディの流れなど、全体を通して曲をどう聴かせているかという観点で分析をすることで、その楽曲に対する理解がより深まります。

そこで知った「良い音楽」の例を、自分の創作に対するインスピレーションにつなげていくことができるはずです。

3. 音楽を演奏する

音楽の演奏も、やはりインスピレーションにつながります。

これは前述した「聴く」「分析する」を兼ねるものでもあり、音楽を理解しつつ、その構造を把握したうえでそれを演奏によって再現しているところに意味があります。

check
日頃からPCで作曲に取り組んでいる人が「音楽を演奏するため新たに楽器に取り組む」ということにも、もちろん意味があります。

弾き語りの効果

ボーカルメロディを持つ曲の作曲を目指す際、特に効果があるのが「弾き語り」です。

弾き語りは文字通り「楽器を弾きながら歌うこと」であるため、それに取り組むことで主に以下のような点を体感することができます。

  • コードの響き
  • メロディラインの音階やリズム
  • メロディラインを歌ったときの感じ
  • コードに対するメロディラインの響き

これらが同時に体感できるというところが弾き語りの素晴らしい点で、例えば一曲を演奏するだけでも、一度にこれだけの経験がひらめきの元として蓄積されます。

演奏によって新たな響きを模索する

既に多くの人が経験しているように、ただ単に楽器を触って何気なく演奏することも、もちろんインスピレーションにつながります。

その際には、これまでに自分が経験してこなかった音楽ジャンルの演奏やフレージングに取り組み、新たな響きを模索するようにするとより効果を得やすいはずです。

例えば、

  • ロックばかり演奏してきたからジャズを弾いてみよう
  • クラシックのピアノを習ってきたからポピュラーな伴奏に取り組んでみよう
  • これまでに体験したことのない新しい楽器に挑戦してみてみよう

というような意識を持って取り組めば、日頃からやっている楽器の演奏にも新鮮さが生まれるでしょう。

それと同時に、音楽を演奏する際には既に述べたような「分析」の視点を持つことも大切です。

インスピレーションが得られるパターン

上記の通り「インスピレーションを得るための方法」についてご紹介しましたが、実際のところインスピレーションはどのような時に訪れるのでしょうか。

個人的な経験として、それは「心を落ち着かせたあと」だと考えています。

心を落ち着かせたあとのインスピレーション

ポール・マッカートニーが名曲「イエスタデイ」を夢の中で作ったというのはファンにとって有名な話で、ポール自身も「アイディアが降りてきた」というようなことを語っています。

ご紹介したようないくつかの行動はインスピレーションを得るために欠かせないものですが、その効果がすぐに得られるかといえば、このポールの例のように、そこには時間差があることがほとんどです。

顕在意識と潜在意識

人間の行動について解かれた本には「顕在意識」と「潜在意識」という話題がよく取り上げられます。

それぞれは

  • 顕在意識:自分の意志でコントロールできるもの
  • 潜在意識:自分の意志ではコントロールできないもの

として定義されていますが、それらの本では、基本的に「潜在意識は顕在意識によって養われるもの」だと説かれています。

すなわちこれは、「自分の意志によって起こされた行動(顕在意識)が、コントロールのできない行動(潜在意識)にまで影響する」ということです。

熱意を積み重ねたあとに時間差でインスピレーションがやってくる

ここで挙げている「心を落ち着かせたあとのインスピレーション」もこれに似ていて、それは

音楽を「聴く」「分析する」「演奏する」などの行為(顕在意識によるもの)

曲を生み出すためのインスピレーション(潜在意識によるもの)

という流れによって生み出されたものではないかと捉えています。

つまり、ご紹介したような行動を沢山重ね、それによって良い音楽を追求しようという熱意を蓄積した結果として、ふとした時にインスピレーションが得られるのです。

何気ないときにインスピレーションは訪れる

作曲だけにとどまらず、例えば何気なく歩いているとき、通勤の電車の中、お風呂の中などで思いもよらないアイディアを思いついた、という経験を多くの人がしています。

もちろん

何か良いメロディ・コード・曲構成・曲調はないものか…
と真剣に考えることは大切ですが、日頃から行動を重ね、それに対して真剣に向き合っている人ほど何気ない時にインスピレーションを得られるものです

そのように捉えることで、例え現在良いと思えるアイディアを浮かべることができていなかったとしても、どこかで自分の感性を信頼することができるのではないでしょうか。

まとめ

ここまで作曲のインスピレーションを得るための行動について考えてきました。

まとめると、以下のようになります。

  • インスピレーションは主に「聴く」「分析する」「演奏する」で得ることができる
  • インスピレーションは「時間差で得られるもの」がほとんど
  • いずれにしても「行動する」ということが大切

思うように進まない作曲には時々疲れてしまうものですが、新鮮なひらめきを得るために是非ここまでの解説を参考にしてみて下さい。

作曲のインスピレーションを得るために、「散歩」はお勧めです。

ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る

作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ