個性的なコード進行の作り方|ひねりのあるコード進行はどのような観点によって作られるか

作曲の先生、およびコード進行大好きな内山です。

作曲を続けている人の中には、

  • コード進行がいつもワンパターンになってしまう…
  • コード進行にひねりを加えたいけど、どのようにすればわからない…

という悩みを抱えている人も多いはずです。

こちらのページでは、そんな状態を打開すべく

「どのように個性的なコード進行を作ればいいか」

という点を詳しく解説していきます。

是非、ワンランク上の作曲に活用してみて下さい。

※根本的なコード進行の作り方については以下のページにて解説しています。

【コード進行とは?(コード進行の作り方)】どのような手順に沿ってコード進行は作られるのか?を考える

個性的なコード進行を作るための考え方概要

解説を進めるにあたり、まず個性的なコード進行を作るための手順(考え方)の概要を以下に示します。

  1. コード進行の定型を覚えて活用する
  2. コードを装飾する
  3. ダイアトニックコード外でアレンジする
  4. 「装飾」と「ダイアトニックコード外」を複合させる

上記一覧では通番を割り振っていますが、正確には「2」と「3」は並列的に存在するものです。

それぞれについて、詳しくはこれ以降にて解説していきます。

1. コード進行の定型を覚えて活用する

個性的なコード進行を作るうえで、まずその土台となるのが、いわゆる「王道なコード進行」といわれるものです。

※以下のページではそれらをまとめています。 王道コード進行 全10パターン 作曲や演奏に活用できる定番のコード進行一覧

これを私は「コード進行の定型」などと呼んでいますが、これはその名の通り「定番となっている形(進行)」という意味を込めたものです。

コード進行の定型は「ダイアトニックコード」によって成り立つ

別ページでも述べている通り、通常ポップス・ロック等のコード進行は「ダイアトニックコード」と呼ばれるコードのグループを活用して作られます。

※関連ページ ダイアトニックコードとスリーコード(概要や成り立ち、コードの役割などについて)

これらはキーの概念をもとにした「まとまりを感じるコードのグループ」で、これらを活用することでコード進行は聴きやすく、かつ説得力のあるものになります。

定型を活用するにあたり、まずここで述べた

  • キー
  • ダイアトニックコード

あたりの概念を簡単にでも把握しておくと、その後の作業が楽になるはずです。

よくある形をまず覚えて活用する

以下は、定型として覚えておくと重宝するコード進行10種をキー別にまとめた一覧です。

これらは「定型」といわれるだけあって、本当にさまざまな曲で活用されています

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弾き語りなどを通してさまざまなコードを演奏する機会のある人は、これらをどこかで目にしたこともあるはずです。

これらはよく、ダイアトニックコード内の場所(度数)に置き換えて

  • 1→4→5
  • 1→6→2→5
  • 4→5→3→6

のように数字によって語られることもあります。

※関連ページ コード進行を数字で表す利点・代表的な数字パターンの解説(キー別のコード進行を効率良く覚える/扱うための概念)

また、よくあるコード進行特定の曲名になぞらえて「〇〇進行」のように整理するやり方も定番です。

いずれにしても、なんらかの方法によってまずは定型の進行を把握し、それらを活用してコード進行を組み立てていくことが個性的なコード進行を生み出すための土台となります

※以下のページでは「カノン進行」「ブルース進行」について解説しています。 「カノン進行」によるコードのつなげ方と例|定番のコード進行とそのアレンジについて ブルースコードの概要とコード進行の例・バリエーション(ジャズブルースなど)

2. コードを装飾する

個性的なコード進行を生み出すための次なるステップは「装飾」です。

これは、主に

  • セブンスコードの活用
  • テンションコードの活用

を意味するものです。

ダイアトニックコードは四和音以上にできる

上記でご紹介したダイアトニックコードによる定型のコード進行は、ポップス・ロックなどでは三つの構成音から成る「三和音」によって組み立てられることが多いです。

そのうえで、同じようにキーの音を活用しながらその構成音を四つ以上に増やすことが可能で、これらは

  • セブンスコード
  • 7の和音

などと呼ばれます。

※関連ページ セブンスコードの解説|コードに「7度」の音を含む四和音、その成り立ちと詳細について

詳しい解説は上記ページに譲りますが、例えばキー=Cメジャーにおける「C→Am→Dm→G」という進行は、以下のように四和音によって構成音を増やすことができます

  • 【三和音】「C→Am→Dm→G」
  • 【四和音】「CM7→Am7→Dm7→G7」

四和音による構成を実際に音で確認してみると、音が増えることで響きがより複雑になり、三和音の状態に比べて華やかになった印象を受けます。

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これらは、裏を返せば「コードの響きがぼやける」とも捉えることができます。

特筆すべきは

四和音はセブンスの音を付加しているだけ=三和音がすべて含まれている

という点で、これは「定型をそのままセブンスコードに(装飾)することができる」ということを意味します。

もちろん装飾の有無をどう選択するかは自由であるため、定型にあるコード全てをセブンスコードにしたり、また一部のみを装飾したりと、いろいろなパターンが考えられます。

テンションコードも基本的にはセブンスと同じ

上記でも挙げた通り、コードの装飾にはあわせて「テンションコード」という概念を活用できます。

※関連ページ テンションコード|概要とコード表記、コード進行例などの解説

これには若干のコツが必要ですが、例えば既にセブンスコードによって装飾していたコードを以下のように、さらに複雑なものにすることができます。

  • 【四和音】「CM7→Am7→Dm7→G7」
  • 【テンション】「CM7(9)→Am7(9)→Dm7(9)→G7(13)」

このテンション付加もあくまで一例であり、どのように装飾を加えるかは自由です。

また、三和音・四和音の響きを既に含んでいる点は同じであるため、テンションのつけ方をある程度理解すれば定型を崩さずそのまま装飾によってサウンドを複雑にすることができます

3. ダイアトニックコード外でアレンジする

上記で述べた「装飾」が定型を崩さず響きのみを豊かにする手法であったのに対し、定型そのものに手を加えコード進行をアレンジすることも検討できます。

それがここで述べている「ダイアトニックコード外のコードを活用する方法」です。

ダイアトニックコードから外れる=個性的な響き

既に述べた通り、一般的な楽曲は「キー」「ダイアトニックコード」という概念によってある程度のまとまりを維持して作られます。

そのうえで、キーに無い音を活用することがあわせて検討できますが、これをコード進行に置き換えると「ダイアトニックコードに無いコード(=ノンダイアトニックコード)を導入すること」が考えられます。

※関連ページ 「ノンダイアトニックコード」の意味とその種類の解説(活用のルールやコード進行例等)

その構造の通りキー(=まとまりを感じさせる音のグループ)から外れた音を含むため、ノンダイアトニックコードはリスナーに異質(個性的)な印象を与えます。

ノンダイアトニックコードの活用には理論的な裏付けが必要

ノンダイアトニックコードについて詳しくは上記でご紹介したページにて解説していますが、それらはただやみくもに活用されるわけではなく、基本的には使用に際してなんらかの理論的裏付けが必要となります。

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ノンダイアトニックコードをめちゃくちゃに活用することは、ピアノの鍵盤を無計画に弾いて曲を作るような行為に似ています。つまり、音楽はぐちゃぐちゃなものになってしまいます。

このコードアレンジを実施するにあたり、まずノンダイアトニックコードに相当するいくつかのコードを理論的な裏付けをもとに理解することが前提となります。

例えば、ノンダイアトニックコードの一種として頻繁に活用される「セカンダリードミナントコード」の概念を知っていることで、定型のコード進行を以下のようにアレンジできるようになります。

  • 【定型】「C→Em→Am」
  • 【アレンジ】「C→E7→Am」

※関連ページ セカンダリードミナントコード|成り立ちとその表記などをわかりやすく解説

つまるところ、ノンダイアトニックコードによるコードのアレンジはこれらの手法をいかに多く知っているかで実現できるものです

理論的な成り立ちを理解することで、自分の意図に沿って効果的にそれらを盛り込んでいくことができます。

4.「装飾」と「ダイアトニックコード外」を複合させる

個性的なコード進行を作るうえでの最後のステップは、これまでにご紹介した二つの概念を複合させるやり方です。

それぞれをより高度に作り込んで複合させることで、複雑で独特な響きを持つコード進行を生み出すことができます。

定型を土台として「装飾」と「ダイアトニックコード外」でアレンジした例

以下は、定型となるシンプルなコード進行と、それをここまでの概念によって順番にアレンジした例です。

  • 【定型】「C→F→G」
  • 【装飾】「CM7→FM7→G7」
  • 【ダイアトニックコード外】「C→F→F#dim→G」
  • 【複合】「CM7→FM7→F#dim→G7」

最終的には

「CM7→FM7→F#dim→G7」

という複雑な響きを持ったコード進行が生み出されていますが、これがどのような経緯(考え方)によって作られているかが理解いただけるはずです。

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世の中にある個性的なコード進行のほとんどを、このような概念によって解釈することができます。

つまり、「装飾」と「ダイアトニックコード外」の双方について理解を深め、それらを柔軟に扱えるようになることが個性的なコード進行を作るうえで最も重要だということです。

動画で解説

ここまでに述べた内容を、同じく動画でも解説しています。

是非、参考にしてみて下さい。


まとめ

以下はここまでのまとめです。

  • 個性的なコード進行は「定型」→「装飾」→「ダイアトニック外」→「両者の複合」という観点で作れる。
  • 「定型を華やかにする」、または「定型そのものをアレンジする」という観点が求められる。
  • 装飾の方法やダイアトニックコードにないコードの活用方法を身につけることがポイントとなる。

込み入ったコード進行を目にするとその構造がよくわからずに難解な印象を受けてしまうものですが、ここまでの解説を踏まえると、それらも結局のところ

  • 定型
  • 装飾
  • ダイアトニックコード外

の三つを組み合わせたものにすぎないということがわかります。

無理なく段階を経て、ひねりのあるコード進行を意図的に作り上げることを目指してみて下さい。

定型をまず徹底的に使いこなすことが個性的なコード進行を作れるようになるための第一歩です。

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