「作曲」=「曲を作る」という行為には、思いのほか体力や精神力が必要になるものです。
なんとなく作曲に興味を持って始めてみたものの
と驚いている方も多いのではないでしょうか。
こちらでは、そんな「作曲にとても疲れてしまうみなさん」に向けて、疲れを少しでも緩和するための方法について解説していきます。
目次
「疲れを感じない状態」の整理
ここでテーマに取り上げている「疲れる」というのは、言い方を変えれば「大変だと感じる」ということです。
この「作曲の疲れ」を感じる人の多くは
という疑問を持っているはずです。
やっている工程は同じはずなのに、かたや自分はこんなにも疲れてしまって、かたや他の人は疲れも見せず次々と曲を作り上げていく…。
そこには一体どのような違いがあるのでしょうか。
楽しいものは疲れを感じにくい
作曲に関わらず、多くの人が「物事に熱中しすぎて時間がすぐに経ってしまった」という経験をしているはずです。
また、
- 寝るのが惜しい
- 食事の時間も忘れてしまう
などもそれに似ていますが、これらはいずれも「やっていることが面白すぎて他のことが考えられない」という状態です。
このように、人間は心の底から楽しくて熱中できるものに対しては精神的に疲れを感じることがない、といわれています。
またその「楽しい」という感覚は肉体的な疲れさえも忘れさせてしまったり、疲れていたとしてもそれに耐えられてしまうほどの威力を持っています。
慣れると疲れなくなる
上記とはまた違った種類のものとして、例えば
- 仕事を始めたばかりの頃は慣れない環境にとても疲れていた
- 仕事に慣れてきて前ほど疲れを感じなくなった
というような経験をしたことはないでしょうか。
この例における「仕事」を、他にも「通勤」や「通学」、またはもっと身近なところでいえば「掃除」「洗濯」「料理」など、生活に密着したものにも置き換えることができます。
これらは、具体的にいうと
ということを意味しています。
「楽しい」と「慣れる」という二点
上記の二点を一旦まとめると
- 楽しいと疲れを感じにくい
- 慣れてくると疲れを感じなくなってくる
ということがいえます。
現在「作曲にとても疲れてしまう」という悩みを抱えている場合、この二点がそれを解決するためのヒントになりそうです。
作曲の疲れに対する具体的な対策
「楽しいと疲れを感じにくい」の活用
作曲の疲れに対して、まず上記二点のうちの「楽しいと疲れを感じにくい」を前提とするなら、
という点を確認することができるはずです。
これは、「作曲を好きだと感じるか」と自分に確認することでもあります。
▼関連ページ
「作曲のセンスがない」は経験値の差|音楽経験を沢山積んで作曲センスを身に付ける
好きと「作りたい」は別物
上記と似たような内容として、以前に以下のような投稿をしています。
作曲が出来ないと悩んでいる場合、そもそも曲を生み出すことがそこまで好きじゃない、ということも考えられます。本当に曲を作りたい人は何が何でも曲完成まで持ってくので。音楽が好き・歌いたい・演奏したいと「曲を作りたい」はまた別物で、無理に作曲しなくても自分が輝ける場所で輝けばいいかと。
— うちやま|作曲の先生 (@sakkyoku_info) January 27, 2020
ここでも述べているように、「音楽が好き」と「曲作りが好き・得意」は違うものです。
「音楽が大好き」「音楽無しでは暮らしていけない」というような人は多いですが、では「その人たち全員が曲作りを楽しめるか?」といわれると、決してそうではありません。
音楽を聴いたり演奏したり、例えば「カラオケで歌うのが大好き」という人が興味を持って作曲をやってみたものの思いのほかそれを楽しめない、ということは本当によくあります。
現在必要以上に作曲に疲れてしまう人も同様に、そもそも「曲作りがそこまで好きではない」ということがその原因として考えられます。
「作曲を楽しめているか?」を自分に問いかけるのと同時に、まずは「作曲をやってみたい」という思いや、曲作りに対する欲求を確認してみて下さい。
その上で、きちんとした「作曲の欲求」を感じられたら、まずその時点では疲れを乗り越えていく素質があるということがいえます。
得意なことで輝けばいい
ここで、「曲を作ることがそこまで好きじゃないかも…」と自分の特性に気付くこともあります。
その際には無理して作曲を続ける必要はなく、もっと好きなことや得意なことで輝けばいいと私は考えています。
私はこれまでに
- 曲を作るのは苦手、だけど演奏は本当に得意
- 曲作りはイマイチ進まなかった、でも歌の練習には熱意を持てる
というような人を何人も見てきています。
また、そもそも音楽は好きだけどそれを表現することがそこまで好きではない、ということも考えられます。
そのような人が疲れを感じてまで、無理して作曲を続ける必要はないのです。
「慣れてくると疲れを感じなくなってくる」の活用
ここまでを通して作曲に対する欲求がきちんと確認できたら、もう一つのヒントである
を活用できます。
この「慣れ」とは、主に
- 知識や技術を蓄えて、円滑に作曲をこなせる
- 作曲の作業工程・環境そのものに慣れる
という二点を指します。
円滑に作曲をこなせるようになることを目指す
やることが明確にわかっていて、淡々とそれをこなしていくことができれば、疲れも感じにくいものです。
その助けとなるのが
- 作曲の知識
- 作曲のネタ
- 音楽理論
などです。
ここから、作曲や音楽を勉強したり、より作曲のことを考えてそれに親しむことが疲れを緩和させるために効果的だとわかります。
曲分析を通して作曲を深く知る
作曲の知識やネタを効率良く身につけるために、私がお勧めしているのが「曲分析」です。
「曲分析」とは、つまるところ「曲がどのように成り立っているか」を考える作業ですが、これを行うことで「曲とはどのようなものか」が理解できて、それを自分でも再現できるようになります。
結果的に作曲レベルは向上して、作業を円滑に進められるようになるのです。
※以下のページでは、オリジナルの「曲分析ガイドブック」についてご紹介しています。
これらを通して「曲」に対する理解を深めると、作曲の疲れを緩和させることができるはずです。
音楽理論の学習を通して、意図的に曲を組み立てる
また行き当たりばったりの作業ではなく、理論に基づいて作曲を進めることで余分な疲れを無くすこともできます。
この点については、別途「音楽理論」を学習することが必要となります。
▼関連ページ
音楽理論を知りたい人のための「学習の見取り図」※独学に活用できる「音楽理論の何をどの順番で学べばいいか」のまとめ
理論を学ぶことで作業が確固たる判断に基づいたものになり、迷いが減るため作業時間もその分短縮できます。
これらを前述した曲分析に紐付け、実用的な知識としてそれを蓄えることも大切です。
作曲の作業工程・環境そのものに慣れることを目指す
疲れを感じる根本的な原因として「作曲の作業そのものに慣れていない」ということが考えられます。
これは、例えば
- DTM(パソコン)の操作に慣れてない→円滑に操作できない
- 楽器の演奏に慣れていない→円滑に弾けない
- メロディを思い浮かべることに慣れていない→円滑に思い浮かべられない
などを指しますが、これらはいずれも繰り返しそれに取り組むことで慣れ、次第にできるようになっていくものです。
この時に感じる「疲れ」はページ冒頭で述べたように、例えば車の運転や料理など、慣れないことをやろうとするときに感じる疲れと同じです。
何度も繰り返し行い、とにかくそれらに慣れることを目指して下さい。
「作曲の疲れ」緩和策:番外編
効率を追求する
直接的に疲れを緩和させるため効率を追求することもできますが、これは「疲れ」というより「面倒」を解決することに近いです。
例えば
- 何度も繰り返しやっていることを自動化・定型化させて簡単にできるようにする
- 準備に時間が掛かるものをあらかじめまとめておき、すぐに始められるようにしておく
などが考えられます。
これらは、物理的に手間のかかる事柄をアイディアによってより簡略化させていくことを意味します。
このような小さな積み重ねが、ちょっとした疲れを緩和させるのに思いのほか効果を発揮することもあります。
作曲に向かう前の「疲れ」を緩和させる「刺激」と「目的」
作曲中に疲れてしまうことを一度体験すると、作曲に取り掛かる前の時点でその「疲れ」を感じてしまうこともあります。
これは、正確には「疲れを感じている」のではなく「やる気が出ない状態」なのですが、これには「刺激を受けること」や「目的を持つこと」が効果的です。
具体的には
- 他人の作品を聴く
- 自分と同じことに取り組んでいる仲間を作る
- 作曲の目標を明確にする
- やる気を高める本を読む
などが考えられます。
詳しくは以下のページで解説していますので、そちらを参考にしてみて下さい。
【具体策あり】作曲のやる気を高め、モチベーションを維持させる4つの行動|刺激を得てそれをエネルギーに変える
まとめ
ここまで作曲の疲れを緩和するため方法を考えてきました。
ポイントを改めてまとめると以下のようになります。
- 作曲が好きかを?自分に問いかける→楽しんで作曲を進められるため疲れを感じにくい
- 作曲の知識やネタを身につける→作曲を円滑にこなせるため疲れにくい
- 音楽理論を身につける→作曲を円滑にこなせるため疲れにくい
- 繰り返し取り組んで作業や環境に慣れる→やることに慣れて疲れを感じにくくなる
- 効率化を求める→疲れにつながる「面倒」を排除する
- 「刺激」と「目的」でやる前の「疲れ」を減らす→やる気を高める
この中でも、「楽しむ」「慣れる」という二点は根本的な事柄ですが、疲れを緩和させるために最も効果があります。
上記でご紹介したような内容を実践し、「作曲の疲れ」を少しでも軽くすることを目指して下さい。