こちらのページでは
「歌を作ってみたい!」
というあなたのために、歌作りの手順とコツを詳しく解説していきます。
是非魅力的な歌を作り上げてみて下さい。
目次
「歌作り」のために用意するもの
まず、歌を作るために必要なものを以下に挙げます。
- ピアノ(電子ピアノ・キーボード等)
- スマホのボイスメモアプリ
- 筆記用具(ノートとペン等)
とてもシンプルですが、ここでは誰でも無理なく取り組めるという点を重視してこの三点が用意できればそれで問題ありません。
それぞれについて、簡単に解説しておきます。
1. ピアノ(電子ピアノ・キーボード等)
作曲を行う中では楽器を使って和音(コード)を鳴らしつつ、それを伴奏として歌いながらメロディを作っていきます。
この場合、楽器には主にギターかピアノが活用されますが、ここではピアノを使用することをおすすめします。
ギターはそもそも音を鳴らすのが難しい楽器ですが、ピアノは鍵盤を押さえれば音が確実に鳴るため、その点で本筋と違う苦労をせずに済みます。
2. スマホのボイスメモアプリ
作曲をしていく中で思いついたメロディやコードの流れは、スマホのボイスメモアプリなどを活用しながら忘れてしまわないように音声として記録していきます。
もちろん、ハンディレコーダーなどの専用機を既にお持ちの方はそれを使用することも出来ますが、思いついた時にすぐ録音できる、という手軽さを重視して下さい。
3. 筆記用具(ノートとペン等)
前述のボイスメモに加えて、作曲の内容はノートに書き留めながら記録し、検討していきます。
またちょっとした内容でも、書き出すとそれが曲作りのネタになることもあります。
ここでは楽譜(五線譜)をあえて使わないため、市販のノートなどが用意できれば十分です。
「歌作り」の前提・手順の概要
歌作りの前提:歌いながら作る
歌を作るうえで最も重視すべきは
「歌いながら作る」
という点です。
「歌を作る」という以上これは当然のように感じられますが、つまり、メロディを作る際に
- 歌いやすい
- 歌える
- 歌っても無理がない
などを特にきちんと考える必要があるということを意味しています。
「作曲」というと、ピアノの鍵盤上で音を鳴らしたり、現在ではPCやスマホの作曲ソフトでデータを打ち込みながらメロディを作っていく人も多いものです。
もちろんそれらもメロディ作りのひとつの形といえますが、こと「歌作り」という点に限れば上記で述べた「歌う」という行為が大きな意味を持ちます。
それを通して歌い心地を確認しながら作ることで
- 歌っていて楽しい
- 何度も歌いたくなる
というような要素を持った、親しみやすい歌がはじめて作れるようになるのです。
歌作りを進めるにあたり、この点を特にしっかりと心に留めておくようにしましょう。
手順のまとめ
上記を踏まえたうえで、以下は歌を作る手順の概要をまとめたものです。
- コードを鳴らす
- メロディを歌う
- コードを発展させる
- メロディを発展させる
- コードとメロディをひとつのブロックにまとめる
- 同じ要領で次なるブロックを作る
- イントロ・アウトロ・間奏等をつけて曲が完成
- メロディに歌詞をつける
- 歌が完成
この手順に沿って進めていくだけで、ほとんどの人が無理なく歌を作っていくことができます。
それぞれについて、これ以降で詳しく解説していきます。
歌作りの手順と内容詳細
1. コードを鳴らす
まず、一番目の手順は「楽器を使ってコードを鳴らす」という行為です。
これに先立って、今回の手順の中でピアノを使って演奏していく六つのコードをあらかじめ以下に示します。
- C(シー)
- Dm(ディーマイナー)
- Em(イーマイナー)
- F(エフ)
- G(ジー)
- Am(エーマイナー)
こちらでは「無理なくできる」という点を考慮して、ピアノで演奏するコードは上記の六つのみとします。
コードの数は六つと少ないですが、歌作りの体験としてシンプルな曲を作るのにはこの程度で十分です。
その上で、この「手順1」ではその中心となる「C」のコードをピアノを使って鳴らすところから始めます。
このコードの音はこれ以降の手順で伴奏の役割を果たすため、それが曲だと感じられるようにリズムを付けて演奏してみるのも良いでしょう。
2. メロディを歌う
次に、上記で鳴らしていた「C」の響きを伴奏としてメロディを「ラララ~」のように歌って考えます。
この時に活用するのが
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ
の音です。
これは、ピアノの鍵盤における白鍵の部分に存在していますが、それらをポロポロと鳴らすことで音階を確認することも出来ます。
例えば、左手で「C」を押さえて、右手で白鍵のいくつかをメロディだと感じられるよう適当に鳴らすこともできるでしょう。
もちろん、既に述べた通り歌作りの基本は「歌うこと」であるため、白鍵を使うのはあくまでも確認にとどめ、必ずメロディを口に出して歌うようにして下さい。
歌作りの中心的作業
上記で述べた
コードの伴奏の上で歌いながらメロディを考えること
は歌作りの中心となる作業です。
これがスムーズにできて、なおかつ親しみやすいと感じるメロディを生み出せるか否かが、良い歌を作るために必要な技術だといえます。
慣れないうちはメロディ作りをすごく大変だと感じることもあるはずですが、感覚が養われていくほどスムーズに行えるようになっていくため、まずは楽しみながら取り組んでみて下さい。
メロディ作りのコツ
メロディを作るうえでポイントとなるのが
- どのような音階を持ったメロディにするか
- メロディによってどのようなリズムを生み出すか
などの点です。
※以下のページでは、メロディのパターンについて五線譜の画像や音源を使用してご紹介しています。
メロディのパターン・種類を考える|音階やリズムによる17のアイディア
音階への配慮
今回の手順においてメロディは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」を活用して作っていくため、例として
- ドレミファ~
- ミソシドドドー
のようなメロディを作ることができます。
ここで、例えば
ドレミファ~
というメロディは、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」を隣の音へ進めていることから、音階の起伏が小さいと感じるはずです。
反面で、例えば
ドソシ~
のようなメロディは「ド」から跳躍させるように「ソ」へと音がつながっているため、音階の起伏が大きいと感じます。
このように、ひとえに「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」を活用するといってもそこにはいろいろな音階の進め方が想定できます。
前述した「音階の起伏が小さい」「音階の起伏が大きい」それぞれは、以下のような特徴を持っています。
- 音階の変化がスムーズなメロディだと感じられる(自然なメロディ)
- 歌いやすい
- やりすぎると幼稚な雰囲気を生み出しやすい
- 音階の変化が大きいためインパクトのあるメロディだと感じられる(個性的なメロディ)
- やや歌いづらい
- やりすぎると不自然な雰囲気を生み出しやすい
これらの点について、詳しくは以下のページでも解説しています。
「順次進行」「跳躍進行」の解説と、それらを活用したメロディ作りのアイディア
上記を考慮すると、まずメロディはなるべく自然なものだと感じられるよう基本的に「なだらかな音階の変化」になるよう心掛けます。
そして、その中にわずかな個性を盛り込むため跳躍の大きい部分を少し盛り込む、という作り方がおすすめできます。
リズムへの配慮
上記で述べた「音階」と共に、メロディを作るうえで重要となるのが「リズム」への配慮です。
これは、とても簡単にいえば
ラ~~ラ~~ラ~~…
と音を伸ばす方向でメロディを作り込むか、または
ララララ…
と音を刻む方向で作り込むか、という点に配慮することを意味します。
もちろん、それぞれを程良く混ぜると「刻みつつ伸ばす」というような性質を持ったメロディができあがります。
音が伸びる程にゆったりとした印象を与え、反対に音が刻まれるとせわしない雰囲気が生まれます。
以下のページでは、この「メロディに使われるリズム」について詳しく解説を行っています。
作曲のコツ|メロディに使われる音符の種類に気を配りリズム的印象を操作する
親しみやすいメロディを作るうえでは、これらを考慮することが欠かせません。
尚、ボーカルメロディ全般については以下ページでも詳しく述べています。
こちらもあわせて参考にしてみて下さい。
ボーカルメロディ(歌)の作り方とコツ(歌える、歌いたくなるメロディをどのように作り出すか)
3. コードを発展させる
「C」の伴奏としてある程度の長さを持ったメロディを思い浮かべることができたら、次に前述した六つのコードのうち残り五つのどれかへコードを切り替えます。
これは、端的にいえば
- C→Em
- C→G
のようなコードの流れをピアノで表現する、ということです。
4. メロディを発展させる
その次に、コードの切り替えにあわせてメロディもその先へ発展させます。
コードを展開させ、メロディも展開させる
歌作りを柔軟に進めていくうえでは、ここまでに述べた通り、
コード→メロディ→コード→メロディ…
というように、それぞれを少しずつ伸ばしていくやり方がおすすめです。
以下はそのイメージ図です。
これによって、
- 発展したコードによって次のメロディが連想できる
- 発展したメロディによって次のコードが連想できる
という相乗効果を生むことになります。
メロディ作りの基本は前述した通りで、音階とリズムを考慮しつつ、親しみやすいメロディを歌いながら考えてみて下さい。
5. コードとメロディをさらに展開させ、ひとつのブロックにまとめる
これ以降、コードとメロディそれぞれをさらに展開させ、ひとつのまとまりを作ります。
心地良いコードの流れ
この「コードを展開させる」という行為はハーモニー(コード進行)を作り上げる行為そのもので、扱い方を間違えると、それがやや不自然なものに感じれらてしまうこともあります。
前述した「C→Em」などの短い構成であればまだしも、それがさらに大きなものへと発展していくにしたがって、その流れには「心地良い」と感じられるなんらかの説得力のようなものが必要となります。
そのようなコード進行を意図的に作り上げるためには音楽理論の理解が欠かせませんが、ここでは「無理なくやれる」という点を重視し、以下に実際に使えるコード進行のおすすめをいくつかご紹介しておきます。
- C→F→G
- C→G→Am
- C→Em→Am→Em
- C→F→G
- C→Dm→Em→F
- C→Am→Dm→G
コードを展開させていくにあたり、是非これらのコード進行を活用してみて下さい。
繰り返しへの配慮
メロディとコードそれぞれを展開させていくにあたり、ポイントとなるのが「繰り返し」の概念です。
▼関連ページ
作曲における曲展開のコツ|繰り返しと規則性をメロディやコード進行に盛り込み、親しみやすい曲にする
詳しくは上記ページでも述べていますが、それぞれを大きなものにしていく際、ただやみくもに発展させればいいということではなく、そこには「わかりやすさ」を盛り込む必要がある、ということです。
歌を聴いたリスナーがすぐに構成を把握できるような形をなるべく目指して下さい。
6. 同じ要領で次なるブロックを作る
ここまでの作業が済んだら、必要に応じて「導入のブロック」「一番盛り上がるブロック(サビ)」などを感じられるように、次なるブロックを作ります。
これを「形式」などと呼びますが、この点について詳しくは以下のページでも解説しています。 Aメロ・Bメロ・サビなどの意味と、それらを活用した「曲の形式」の例
それぞれのブロックを差別化する
基本的なやり方は同じですが、各ブロックを差別化するためにはそれぞれに違った要素を盛りむようにしてみて下さい。
例えば、冒頭の手順ではコードを「C」から始めていましたが、次なるブロックではそれを「F」から始める、というような方法を検討できます。
メロディの音階やリズムなども同様に、なるべく雰囲気の違ったものをそれぞれのブロックに盛り込むほど、双方は違ったものだと感じられるようになり、場面転換が明確になります。
7. イントロ・アウトロ・間奏等をつけて曲が完成
上記までの手順を通して、「歌作り」のほとんどが完了します。
そのうえで、一曲をまとめるためにはそこに「イントロ」「アウトロ」「間奏」などを付けます。
この点についてもさまざまなやり方がありますが、詳しくは以下のページを参考にしてみて下さい。
【作曲】イントロの作り方|ビートルズの曲を例に挙げてイントロのパターンを解説します。
(作曲)間奏の作り方:コード進行や構成のアイディアをビートルズの楽曲から学ぶ
【作曲】アウトロの作り方|曲の終わらせ方のコツや例をビートルズの曲をサンプルとして解説します。
8.メロディに歌詞をつける
ここまで来たら、あとはメロディに歌詞を付けて「歌」の完成です。
歌詞については本当にいくつもの作風があるため、多くの人が想像できるような「歌詞」の言葉をそのまま自由にメロディへ乗せる形で問題ありません。
ここでは詳しいやり方の解説を割愛しますが、まずは楽しみながら自由に言葉を当てはめて歌を作ってみましょう。
既存の曲を分析して参考にする
歌作りを進めるうえでは、やるべきことがわからなくなってしまったり、どのように歌をまとめていけばいいか迷ってしまうことも多いはずです。
そのような時は既存の曲を確認して、それをサンプルにしながら自分の歌に流用するようにしてみて下さい。
私はこの行為を「曲分析」と呼んでおり、以下のページでもその詳細を解説しています。 曲分析の重要性について(曲分析の概要や効果、曲分析を習慣にすると作曲が上達する理由について)
例えば
- メロディの音階
- メロディの形
- コード進行の流れやコードの数
- ブロックの大きさ
など、歌に必要ないろいろな要素は、既存の曲を参考にすれば「どう作ればいいか?」が見えてきます。
ここまでに述べた解説を参考にしつつ、そのうえで曲分析を併用して作業を進めていくと、無理なく歌を作っていくことができるはずです。
まとめ
ここまで歌作りの手順やコツについて解説してきました。
慣れないうちはまず簡単なものから作るようにして、楽しさを優先するようにしてみて下さい。
それを何曲か続けることによって、次第に立派な曲が作れるようになっていきます。
徐々に上達させることを目指しましょう!
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