「曲分析」を習慣にすると作曲が上達する、というお話(曲分析の概要や効果などについて)

私が普段から作曲を教えている中で、特に強調しているのが「曲分析の重要性」についてです。

以前に以下のようなツイートをしました。


作曲初心者に曲分析やるのが大切ですよといつも伝えているのは、結局のところそれが一番勉強になるからです。良い曲にするためのヒントはやっぱり既存の曲にあって、それを読み解くことで曲の成り立ちがわかり、自分でも作れるようになります。分析→作る→分析→作る…のループがやっぱり最強です。

ここに書いている通りなのですが、作曲を上達させたかったら曲を分析しましょうというのが私の持論で、分析にきちんと取り組む人ほど確実にレベルアップしていきます。

こちらのページではそんな曲分析の概要や、その効果などについて解説していきます。

「曲分析」とは?

上記のツイートでも述べている通り、曲分析の一番の目的は「曲の成り立ちを知る」というところにあります。

曲をただリスナーとしてなんとなく聴くだけではなく、それがどのような仕組みになっているかを紐解くのがここでいう「曲分析」の作業です。

そもそもクラシック音楽などには「楽曲分析(アナリーゼ)」という観点での音楽の捉え方がありますが、それらがより学問的であるのに対し、私がみなさんにお勧めしているのはもっと身近で易しく、誰にでも実施できる分析手法です。

また、曲分析には大きく

  1. 作曲のための曲分析
  2. 演奏・編曲のための曲分析

の二つがあり、それぞれによって着眼点が若干変わります。

私は「作曲を上達させること」を目的として前者の分析を主に扱っていますが、時として演奏・編曲的な観点での分析がそこに入り込むこともあります。

分析を通して曲の成り立ちが理解できることでそれを自分でも作れるようになり、結果的に作曲レベルは向上していきます

曲分析の項目

では、「作曲のための曲分析」とは具体的にどのようなものなのかといえば、私が着目するのは、主に曲の中にある以下のような点です。

  • コード
  • メロディ
  • リズム
  • 曲構成

これらは曲を聴くことで確認できる、いわば「データ」的な分析に分類できるものです。

1. コードの分析

ポップス・ロックの作曲を考えるうえで、コードに対する理解は避けて通れません。

コードの分析では、既存の楽曲においてコードがどう扱われ、それぞれがどうつながっているかを確認し、その意図や音として聴いた時の感覚などを吟味します。

これを実施するにあたり必要となるのが「キー」や「ダイアトニックコード」など、音楽理論(コード理論)に関する知識です。

※関連ページ
「キー(音楽)」についての解説|キー=「中心音」と「まとまりのある音のグループ」から成り立つ言葉 ダイアトニックコードとスリーコード(成り立ちとコードの役割などについて)

音楽理論を土台としつつ、理論的なコードの構成が楽曲にどう反映されていたり、それによってどんな響きが生まれているかを考えます。

これにより、理論が「単なる情報」ではなく「活用できる道具」に変わります。

コードの分析をメロディに広げる

後述するようにメロディに対しても別途分析を行いますが、本来コードとメロディは密接に関係しているものです

それは同じメロディでもコードが変わることで印象が変わったり、特徴的なコードを使うことでメロディの選択肢が増えたりすることからも理解できます。

こちらの分析ではコードに着目しつつ、そこからメロディに対して視点を広げることもできます。

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その場合にも、コードの構成音など、音楽理論的な観点を持つことが大切です。

コード進行の分析については以下のページでも詳しく解説しています。
コード進行分析(アナライズ)の方法|手順とコツ・注意点などの解説(キー判別、理論的解釈など)

2. メロディの分析

コードと共に曲を印象付けるのが「メロディ」です。

こちらではメロディの音階や形などについて確認し、それらがどのような効果を生んでいるかを確認していきます。

またメロディには「音域」という概念があり、メロディの分析ではその点について考えることもできます。

※関連ページ
作曲のコツ|メロディの音域に注意して作曲をすることの重要性について

リズム的な観点からメロディを分析する

メロディの良し悪しはリズムによるところが大きいもので、そのような意味からメロディの分析はリズム的な観点を伴います。

それは、具体的には

  • メロディがどんなリズムを持っているか
  • どんなタイミング(アクセント)でメロディが鳴っているか

などを考えることを指します。

3. リズムの分析

上記で述べたように、リズムの分析は「メロディ」と直結することが多いです。

あわせて曲のリズムそのものに対する分析も行いますが、ポップス・ロックの楽曲の多くは基本的に曲の中で拍子が統一されています

これは、言い方を変えれば「リズムに大きな変化が無い」ということです。

アクセントやコードチェンジのタイミングに着目する

リズムの分析は、アクセントコードチェンジのタイミングなどを意味することがほとんどです。

また、曲によっては変拍子が加えられていたり、特殊な小節が存在することもありため、そのような点についても着目することができます。

4. 曲構成の分析

作曲をするうえで、音楽理論的な観点と共に重要となるのが「どのように曲を構成(展開)させるか」という点です。

この「曲構成の分析」では、曲がどんなパーツによってどう組み合わされて展開しているかを確認します。

これは前述した「コード」「メロディ」の分析など、音に直結する内容とはまた種類が違いますが、この点にきちんと着目することで曲分析の質はより高まっていきます。

構成面を先行させて曲を捉える

曲構成の分析では、主に以下のような点を確認します。

  • 曲の形式
  • 各ブロックごとの違い
  • サビを目立たせるための仕掛け
  • メロディが無い部分(空白)

もちろん、曲の構成は「コード」「メロディ」などによって成り立つため、構成の分析はある意味で「コード」「メロディ」の分析であるともいえます。

これは、(どのように成り立っているか、という)構成面を先行させてコードやメロディを捉えること、とも言い換えることができます。

データに収まらない部分の分析

前述した四つの項目は、既に述べた通り「曲のデータ」に関する分析に相当するものでした。

そのうえで、私が提唱しているのは「データに収まらない部分」も同時に分析する、というやり方です。

これを私は「『気持ち編』の分析」などと呼んでいます。

整理すると、曲分析には

  1. データ編
  2. 気持ち編

の二種類がある、ということです。

「なぜ良いか?」を考える

「気持ち編」の分析は、文字通り自分の気持ちに向き合う作業です。

それは、

  • なぜ「良い」と感じるか
  • なぜ何度も聴きたくなるのか
  • なぜ歌いたくなるのか

などをあれこれと考える行為のことを指します。

この場合の分析結果は記述式で記載していくことが望ましく、より深く分析できるほど記述の量は増えていきます

「気持ち編」を取り入れた経緯

そもそも、私が自分なりに曲分析を始めたころは、前述した「データ編」の部分のみに着目して曲に向き合っていました。

しかし、分析を何曲か進めていくうちに、曲を「良い」と感じる要因はデータだけにとどまらない、ということに気付いたのです。

そこから、分析を行う際には上記で挙げたような「良い曲の理由」を必ず考えるようになりました。

それにより、それまで以上に曲にきちんと向き合うことができるようになって、結果としてそれはデータ編の分析を充実させることにもつながりました

補足

以下のページでは、私がオリジナルでまとめた「曲分析マニュアル」をご紹介しています。

音楽理論の学習などと違って、特に自分一人では実施することが難しい曲分析の作業を円滑に進め、それを確実に作曲の上達につなげてもらうことを目的としています。

曲分析マニュアルのご紹介

まとめ

ここまで曲分析の概要や、その効果などついて解説してきました。

解説のまとめは以下の通りです。

  • 「曲分析」とは、曲がどのような仕組みになっているかを紐解く作業
  • データ編として、メロディ・コード・リズム・曲構成などに着目する
  • あわせて「気持ち編」の分析を行う
  • 曲の成り立ちがわかることで作曲が上達する

曲分析に慣れないうちは、まず曲を聴いてメロディの音階を楽器やDTM上に置き換えてみるだけでも得るものがあるはずです。

そのような行為を通して、曲に対して「作曲の視点」から向き合うことを習慣にしてみて下さい。

音楽理論や方法論の学習が進むほどに、分析の内容もより充実していきます。