こちらのページでは、音楽の理解を深めるために学習すべきだといわれる、
- 音楽理論
- 楽典
のそれぞれについて、主に「どのような違いがあるか」という観点から考えていきます。
「音楽理論」と「楽典」の要約
まず、「音楽理論」および「楽典」の一般的な意味を要約すると、以下のようになります。
それぞれは若干似ていますが、お互いを紐づけると、
- 音楽理論=仕組み
- 楽典=上記仕組みを成り立たせるための部品
という関係にある、とも解釈できます。
「音楽理論」について
一般的にいわれる「音楽理論」とは、上記で述べた通り
「音楽の成り立ちや仕組みを理論的にまとめたもの」
を意味する言葉です。
この「音楽理論」という言い回しは総称のようなもので、実際は「〇〇論」「〇〇法」のような呼び名によってより細分化されています。
以下は、その例を一覧にしたものです。
- ・和声法
- 主にクラシック音楽におけるハーモニーのつなげ方を論じたもの
- ・コード理論
- ポピュラー音楽で扱われるコードの仕組み、コード進行の成り立ちや構造を論じたもの
- ・対位法
- 二つ以上の旋律を重ね合わせる方法を論じたもの
- ・楽式論
- クラシック音楽における曲の形式について論じたもの
- ・管弦楽法
- クラシック音楽における楽器の特性やそれを踏まえた配置(編曲)について論じたもの
これら以外にも、作曲や演奏などに関するさまざまな技法を「〇〇法」「〇〇論」などと称して音楽理論に含むケースもあります。
「楽典」について
一方で「楽典」は
音楽用語の意味や概念をまとめたもの
であり、既に述べたとおり「音楽の辞典=楽典」としても解釈できます。
より簡単にいえば、楽典は「用語集」や「概念集」のようなもの、ともいえます。
そこから、楽典では何かについて深く論じられることはなく、言葉の意味や概念が淡々と解説されることが多いです。
▼関連ページ 「楽典」とはなにか? 作曲学習における楽典の必要性とおすすめの本
楽典で扱われている内容については上記でも詳しく解説していますが、以下にそれらを一覧として示します。
- 音程
- 音階
- 調
- 和音
- 拍子
- その他、五線譜の表記に関する全般的な決まりなど
音楽理論の中で扱われる「楽典的な解釈」
「音楽理論」と称して音楽の構造や技法を理論的に解釈する際、そこではもちろんさまざまな音楽用語や概念が活用されます。
それらは楽典的なものであるため、そこから冒頭で述べた
- 「音楽理論」は仕組み
- その仕組みを成り立たせるための「楽典」
という関係が成立します。
補足
上記で述べた通り、「楽典」は「音楽の辞典」的な性質を持つものであるため、より発展的に考えると例えば
- ハーモニーの概念
- 楽曲の概念
などもそこで用語と共に扱ってしまうことができます。
そこから、「楽典」と称して、いわゆる「和声法」「楽式論」などに相当する知識をそこにまとめるケースもあります。
このあたりが「音楽理論」と「楽典」の違いをわかりにくくしている要因ともいえるところで、このようにそれぞれの違いはある意味で曖昧です。
お勧めの書籍
以下のページでは、「音楽理論書」「楽典」それぞれのお勧めの書籍をご紹介しています。
音楽理論本おすすめ9冊 作曲にも演奏にも使える音楽理論の知識を書籍で身に付ける 「楽典」とはなにか? 作曲学習における楽典の必要性とおすすめの本
音楽理論に関するページ
以下のページでは、ポップス・ロックの理解に欠かせない音楽理論として、主に
- コードに関する理論
- スケールに関する理論
などをどのような順番で、どんな内容に絞って学ぶべきかについて解説しています。
音楽理論を知りたい人のための「学習の見取り図」※独学に活用できる「音楽理論の何をどの順番で学べばいいか」のまとめ
まとめ
「音楽理論」と「楽典」の違いを把握するにあたり、
- 音楽理論はより広く、音楽に関してさまざまな内容を論じたもの
- 楽典はそれらを解説するために必要な用語の意味や概念をまとめたもの
と捉えると、お互いの関係を理解しやすいはずです。
上記で挙げたいくつかのページではおすすめの書籍もご紹介しているため、さらに知識を深めたい場合には、是非それらに目を通してみてください。
ポップス・ロック作曲の上達につながる「曲分析ガイドブック」について知る
作曲がぐんぐん上達する「曲分析ガイドブック」のご紹介ページ