転調|その2 – 転調の種類(一時的な転調と本格的な転調について)

こちらのページでは、転調の大きな区分である「一時的な転調」と「本格的な転調」の二種類について、それぞれの詳細を解説していきます。

※「調」の種類、および転調の具体的な方法については下記記事をご参照ください。
転調 その1 転調の概要(転調とは中心音と音のグループを変えること)と調の種類
転調|その3 – 転調の方法(ピボットコードやドミナントモーションの活用)

転調の種類

転調には、大きく分けて、曲の中で一時的に他の調に移り、その後もとあった調に戻る「一時的な転調」と、他の調に移ったまま曲を終えたり、または一時とは言えないほど長い時間を費やす「本格的な転調」の二種類が存在します。

一時的な転調

「一時的な転調」は、曲中のあるブロックのみを他の調にして印象付ける、という目的で使われることが多く、Bメロやサビなどで多く見かけることができます。

下記は、ビートルズの「レディ・マドンナ」風のコード進行(キー=A)で、Bメロにおいて一時的な転調を行っています。

  • Aメロ「A → D → A → D …」
  • Bメロ「Dm7 → G → Am ~ E7 →」
  • Aメロ(二回目)「→ A → D → A → D …」

この例では、冒頭Aメロで「キー=A」としてコードが展開されていき、Bメロに入ることで、同主調「Am」への部分転調が行われます。

その後、Bメロの最後に、もとあった「キー=A」のドミナントセブンスである「E7(V7)」を配置することで再び主調「A(I)」を連想させ、「キー=A」に回帰しています。

「一時的な転調」は、上記のように「もとの調に戻す」という点を考慮する必要があり、リスナーにそれを違和感なく提示するため、音の変化が少ない関係調に対しての転調がよく用いられます。

反面で、意外性を持たせることを目的として、サビなどで、あえて関係の薄い調への「一時的な転調」を実施する例もあり、この場合には、リスナーに「突然耳慣れない調へ移った」→「突然戻った」という印象を与えます。

本格的な転調

「一時的な転調」に対し、「本格的な転調」は一般的に調が元に戻らない転調、あるいは相当な時間を転調後の調で費やす転調を指し、そこには様々な調への転調が活用されます

この「本格的な転調」の例として、下記の(キー=C)のように、曲終盤においてサビを繰り返す場面などで、後半に向かってより高い音を使うように、高い調への転調が行われることがあります。

  • サビ1「C → Dm7 ~ G#7 →」
  • サビ2(繰り返し)「→ C# → D#m7 …」

1回目のサビを「キー=C」として展開させ、2回目のサビからは、その半音上のルートを持つ「キー=C#」への転調を行っています。

この例のような場合には、調を上げることで曲の後半に勢いをつけることが主な目的となるため、関係調であるか否かは考慮されず、そのまま半音上、または全音上のルートを持つ調へ転調することがほとんどです。

転調後のコード構成は、転調前と同じになることがほとんどで、多くの場合、もとあった構成を移調しただけ、として提示されます。

動画で解説

文章ではよくわからない!」という方のために、下記動画でも転調の種類と方法について解説しています。

是非参考にしてみてください。

まとめ

ここまで解説をした、転調の種類についてのまとめです。

  • 転調には「一時的な転調」と「本格的な転調」の二種類がある
  • 一時的転調は「もとの調に戻ってくる」「関係調への転調が多い」
  • 本格的転調は「もとの調に戻ってこない(または相当な時間を転調後の調で費やす)」「さまざまな調への転調がある」

曲調や場面に応じて「一時的転調」「本格的転調」のそれぞれを使い分けていきます。

一時的転調を行う際には「もとの調に戻す」というコード進行の技術が必要となります。

次の記事では転調を作曲に導入する際の具体的な方法について解説しています。
転調|その3 – 転調の方法(ピボットコードやドミナントモーションの活用)

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