作曲初心者の方にとって、何より気になるのは
- 作曲とはどのような手順・方法で行われるものなのか?
- 作曲は自分にもできるものなのか?
という点ではないでしょうか。
私は普段から多くの作曲初心者のみなさんと接していますが、「作曲がいつまで経ってもできない」という方にはほぼ出会ったことがありません。
以下のフォルダ画像は、ある生徒さんが作曲したアイディア音源をまとめたものの一部です。
出会った当時の彼はギターが少し弾ける程度で、作曲の経験はゼロという状態でした。
そんな彼でも後に述べるやり方で作曲に取り組んだことで、このフォルダにあるとおり一年間で次々と曲を生み出せるようになっており、それ以外の初心者のみなさんも同様に、同じ方法によって少しずつではありますが着実に作曲できるようになっていきます。
というわけで、こちらでは私が日頃から作曲初心者のみなさんに教えている作曲のやり方や考え方について、順を追って解説していきます。
記事最後には動画でも解説をしていますので、上から順番にすべて目を通すことできっと作曲の理解が深まって、実際に曲を作り始めていくことができるようになるはずです。
※こちらでは「ギターやピアノを使った『ボーカルのある曲』の作曲方法」を前提として解説を進めていきますが、その他の作曲を目指す方も概要は参考にしていただけるかと思います。
目次
作曲とは?
メロディ・ハーモニー・リズムを作る
「作曲」とはすなわち「音楽を作る」ということです。
西洋音楽には「音楽の三要素」という概念があり、「音楽」は
- メロディ
- ハーモニー
- リズム
によって成り立っている、とされています。
メロディは一般的に多くの人がイメージできる「歌」の部分で、声に出して歌える旋律そのものを指します。
ハーモニーは、和音(複数の音の重なり)がつながって変化することでさまざまな雰囲気を演出するものです。
またリズムは、手拍子のように「規律のある一定の動き」を指します。
カラオケを例にとると、みなさんの歌が「メロディ」で、スピーカーから流れて来る伴奏が「ハーモニー」と「リズム」を担っている、と解釈できます。
作曲においては「音楽」の要素となるこの「メロディ・ハーモニー・リズム」の三つを作ることが求められます。
「曲」は、ある程度の長さが必要
曲とはすなわち「楽曲」であり、「楽曲」は時間の経過とともに変化をしてリスナーに印象を持たせて何かを感じさせるものです。
例えばここに5秒程度の短い「歌と伴奏」があるとして、みなさんはこれを「楽曲」だと感じるでしょうか?
…おそらく感じないはずです。
作曲は「楽曲」を作ることであるため、
「メロディ・ハーモニー・リズム」のまとまりをある程度の長さになるように伸ばして、そこからストーリーを感じられるように組み立てていくこと
が必要となります。
歌いながら、ギターやピアノの伴奏のみで表現できる状態を目指す
ハーモニーとリズムについて
前述した「和音」は、ポップスやロックでは「コード」と呼ばれています。
ギターやピアノには「コードフォーム」という概念があり、それに沿って弦や鍵盤を押さえて弾くことで和音を演奏することができます。
また、コードのつながりは「コード進行」と呼ばれ、一般的に「ハーモニー」と同じ意味で扱われます。
コードのみによるギター・ピアノの演奏はハーモニーを最もシンプルに表現でき、かつリズム的な要素もあわせて表現することができます。
メロディについて
ボーカルのある曲は「歌いながら作る」ということが基本となります。
これは「歌われる」ということが前提となるためで、メロディには歌にしたときの心地良さや無理のなさが求められるからです。
簡単に言えば、「歌」のある曲は「歌って」作るべき、ということです。
これらを踏まえ、「作曲」という段階においては
- ハーモニーとリズム = コードのみによる伴奏
- メロディ = 歌
によってそれぞれを表現することとして、
「歌いながらギターまたはピアノのコード伴奏によって演奏できる状態」を作る事
を作曲の最終形として目指します。
「作曲で楽器を使うこと」について
ここまでを読んで、
「そもそも作曲にはやっぱり楽器が必要なの?」
という疑問を持つ人も多いはずですが、私は楽器を使って作曲することをおすすめしています。
もちろん、現在ではPCやスマホによる作曲も一般化してきているためそのような選択肢もありますが、それでも楽器でやる作曲をおすすめするのは、やはりそれが一番やりやすく、かつ作曲の理解も確実に深まるからです。
このあたりで楽をしようとして無駄に苦労をする人も多く見てきているため、きちんと作曲に向き合う場合には楽器を手に入れるようにしてみて下さい。
ギターよりもピアノ
また楽器を活用するうえで、初心者の人にはギターよりもピアノ(を含む鍵盤楽器全般)をおすすめしています。
なぜなら、ピアノは鍵盤を押さえれば音が鳴るからです。
ギターは音を出すことすら難しいので楽器の経験が無い人はピアノで楽器を始めることをまず検討してみて下さい。
ヤマハのPシリーズあたりは本格的な電子ピアノに近いクラスにしては値段も手ごろでおすすめです。
▼ピアノを使った作曲について、詳しくは以下のページを参考にしてみて下さい。
【ピアノで作曲!楽器が弾けなくても大丈夫】作曲初心者がピアノやキーボードで作曲する方法
ここまでのまとめ
以下は、ここまでに述べた内容のまとめです。
- 作曲では「メロディ」「ハーモニー」「リズム」を作る
- 「楽曲」と呼べるものにするためには、ある程度の長さが必要
- 「歌」と「ギターまたはピアノのコード伴奏」を作ること、を目指す
これ以降は、初心者向けの作曲手順について概要を解説していきます。
作曲の手順概要
まず、私が日頃からみなさんに教えている作曲の手順は大きく下記のような流れとなっています。
- 楽器でコードをひとつ鳴らす
- その伴奏の上でメロディを考える
- コードを二つ目のものに変える
- メロディをさらに伸ばす
- コードを三つ目以降のものにさらに変えていく
それぞれの項目について簡単に解説していきます。
1. 楽器でコードをひとつ鳴らす
まず、ギターまたはピアノにて特定のコードを鳴らします。
コード演奏の際には、下記リンクにあるようなギターコードフォーム、およびピアノコードフォームを確認しておくと作業が進めやすいはずです。
参考
ギターコードフォーム一覧楽器.me
参考
ピアノコードフォーム一覧楽器.me
2. その伴奏の上でメロディを考える
次に、コードの響きをよりどころとしてその上で自由にメロディを歌いながら考えます。
ポイントとなるのは、既に述べた「歌いながらメロディを考える」という点です。
▼メロディを作るコツについて、詳しくは以下のページをご確認ください。
メロディが作れない(思い浮かばない)時の打開策|メロディはこうやって作る!を解説します。
3. コードを二つ目のものに変える
次に、あるタイミングにてコードのみを最初に鳴らしていたコードではないものに変更します。
(ふたつ目のコードとして使用できるものにはいくつかの法則がありますが、こちらでは割愛します)
具体的には、例えば一番目のコードとして「C」を鳴らしている場合には下記のようなコード進行を作っていく、ということを指しています。
- 「C → Dm」
- 「C → G」
- 「C → Am」
4. メロディをさらに伸ばす
次の手順として、最初に思いついたメロディをさらに伸ばします。
より具体的にいえば、ここまで
- 手順1:ひとつのコードを鳴らす
- 手順2:その響きを伴奏として自由にメロディを歌う
- 手順3:コードがふたつ目のものに変わる=伴奏がふたつのコードに発展する
という順序によって曲が展開してきているため、この段階では
「既に歌っていたメロディ(手順2)」を発展させるように、ふたつのコードにまたがるようなメロディにしていく
というような発想を持って作業を進めていきます。
5. コードを三つ目以降のものにさらに変えていく
ここから後は、ここまで
「コード(ひとつ目)」→「メロディ」→「コード(ふたつ目)」→「メロディ」
と考えてきたことを繰り返していきます。
メロディとコードを互いに伸ばしながら、それぞれを発展させていくような方法で進めていくということです。
以下のイメージ図のように、「メロディ」と「コード」が互いに追いかけっこをするように伸びていく形が理想的です。
6. その後への展開
曲はその後「Aメロ」「サビ」などのまとまりに展開し、そこからさらに大きな一曲へと仕上がっていきます。
ここでは「超初心者の方に向けた解説」ということで、ここまでの説明にとどめておきます。
作業のポイント
上記の手順を進めていくにあたり、ポイントとなるのは
- コードをどう操るか
- メロディをどのように思い浮かべるか
- 曲をどのように組み立てていくか
などです。
これらの知識がしっかり備わっていて、それをスマートにこなせるほど曲作りは簡単に、かつ速くなります。さらには良い曲として仕上がっていきます。
初心者の時点で全てを完璧にこなすのは難しいですが、やっていくうちに少しずつコツをつかんでいくはずです。
どうすればいいかわからない場合の対処法
上記手順に沿って作曲を進めていく中で、慣れないうちは、
- メロディをどんな形にするか
- コードはどのような順番でつなげるか
- サビはどれくらいの大きさにするか
など、いろいろなことに迷ってしまうはずです。
そのようにやるべきことが分からなくなってしまった場合には、自分の好きな曲を題材として、作曲者の観点からそれを分析してみて下さい。
この「曲分析」の作業は、作曲の上達に最も効果があり、曲作りと並行して既存曲の分析を熱心に行うことで「曲とはこういうものだ」ということが次第に理解できるようになります。
作曲に迷ってしまったら「曲分析をする=既存の曲からヒントを得る」、と心に留めておいてください。
▼以下のページでは、曲分析のやり方についてまとめた「曲分析ガイドブック」をご紹介しています。
まとめ
ここまで、作曲超初心者向けに作曲とその手順の概要などについて解説しました。
初心者の時点では、まず上記手順を把握してメロディを歌ったり伴奏となるコードをつなげていく作業に慣れることが大切です。
「自分にできるかな…??」と考えてしまいそうですが、まずは気楽な気持ちで取り組んでみて下さい。
番外編
特にPC(パソコン)を使ってこれから作曲を始めてみたいという方のために、必要となる機材を以下のページでまとめています。
作曲に必要なものとは?PCを使った作曲・音楽制作に必要なもの(機材)と費用の目安を詳しく解説します。
こちらも是非作曲活動に役立ててみて下さい。
動画で解説
「文章ではよくわからない!」という方のために、以下の動画でも作曲の基礎や手順について解説しています。